板橋区で売られる家は、マンションが戸建ての3倍
板橋区の実成約を、国土交通省の不動産情報ライブラリで数えました。中古マンションが5,204件、戸建てが1,705件です。
戸建ては、土地と建物をセットで売った取引を数えています。土地だけの取引は475件で、三つの中でいちばん少ない数です。
マンションの中央値は3,200万円です。面積あたりでは1平方メートルあたり76万円になります。戸建ての中央値は6,000万円です。
真ん中の半分は、4,500万円から8,200万円の間に入ります。土地の単価の中央値は1平方メートルあたり56万円です。
このページは、マンションの話から始めます。板橋区で売る人の多くはマンションを売る人で、戸建ての事情を先に読んでも自分の話になりにくいからです。戸建てと土地は後ろにまとめました。
3LDKが最多で、次が1K。同じ区の中に、家族向けと単身向けの二つの市場がある
板橋区の中古マンションで成約がいちばん多い間取りは3LDKです。次に多いのが1Kです。間の2LDKや1LDKではなく、広い部屋と小さい部屋が上位に来ています。
この並びは、売るときの比べ方を決めます。3LDKを買うのは、そこに住む家族が中心です。1Kは、自分で住む人のほかに、貸す目的で買う人が多く混ざります。
買い手の目的が違うと、同じ棟でも値段の付き方が違います。住む人は間取りと階数と管理状態を見ますが、貸す目的の人は家賃から逆算して上限を決めます。
査定書に「同じ棟の成約」が載っていたら、間取りを確かめてください。3LDKを売るのに1Kの単価から計算した金額が出ていることがあります。小さい部屋は面積あたりの単価が高く出やすいので、それを3LDKに掛けると、実態より高い金額になります。
逆に1Kを売るときに3LDKの単価で計算されると、低く出ます。自分と同じ間取りの成約を根拠にした金額かどうかを、最初に聞いてください。
マンション特有の準備は、中古マンションを売る にまとめています。管理費や修繕積立金、総会議事録など、戸建てでは聞かれない項目はそちらを見てください。
板橋区のマンションは築46年以上でも3割ほどの下げ。段差は築30年の手前に集まっている
板橋区の中古マンションは、築10年以内と築46年以上を比べると、中央値の差は3割ほどです。築46年以上は1980年以前に建った建物ですが、それでも値段が大きく崩れてはいません。
下がり方は一定ではありません。いちばん大きく下がるのは、築21〜30年から築31〜45年へ移るところです。
そこを過ぎると、築46年以上に移っても下げ幅は小さくなります。つまり板橋区のマンションは、築30年の手前で一度値段の帯が変わり、その後は長く平らに近い形で推移しています。
この形には、売る側にとって二つの意味があります。
一つは、築25〜30年の部屋を持っている人の判断です。今は築21〜30年の帯の成約と比べられますが、数年たつと次の帯の成約と並べられます。急いで売る理由にはなりませんが、査定書が今どちらの帯を根拠にしているかは確かめておいてください。
もう一つは、築40年を越えた部屋を持っている人の受け止め方です。「古いから値段が付かない」と思い込んで、最初から買取だけに絞る必要はありません。
板橋区の実成約では、築46年以上の帯でも成約が続いており、中央値は築10年以内の半分より上にあります。仲介で売り出した場合の査定と、買取の査定を両方取ってから決めるのが順当です。
建築士の視点
築30年の手前で帯が変わる理由は、一つではありません。建物の側から言えるのは、築25〜30年は2回目の大規模修繕の時期に重なることが多い、という点です。外壁や屋上防水だけでなく、給排水管の更新が議題に上がる時期で、積立金が足りなければ一時金や値上げの話が出ます。買い手は長期修繕計画と総会議事録でそれを見ます。
同じ築31〜45年でも、修繕が計画どおり進み、積立金に余裕がある棟は、帯の中で上のほうに付きます。逆に、修繕が先送りされている棟は、築年数以上に見られます。売る前に管理会社から長期修繕計画と直近の議事録を取り寄せ、査定のときに先に見せてください。築年数の帯で一律に見られるのを、自分の棟の事実で押し返す材料になります。
直近1年は、マンションも戸建ても「やや」上がった。上乗せの根拠にはしない
板橋区の直近1年の中央値は、中古マンションも戸建ても、その前の1年よりやや上がっています。どちらも大きな動きではなく、「やや」の幅です。
この動きを、売り出し価格に上乗せする根拠に使わないでください。中央値が少し上がったことと、自分の部屋が前より高く売れることは、別の話です。
中央値は区全体の真ん中の値で、自分の部屋は築年・階数・間取り・管理状態で、その真ん中から上下どちらかにずれています。区全体の「やや上」を足す前に、自分の部屋が真ん中のどちら側にいるかを決めるほうが先です。
査定書を受け取ったら、根拠に使われた成約の時期を見てください。直近1年の成約を根拠にした金額と、数年前の成約を根拠にした金額は、元になる帯が違います。どちらも査定書には同じ「相場」と書かれています。
古い成約を根拠にしている査定書は、低めに出ていることがあります。逆に、直近の高い成約だけを選んで並べた査定書は、高く見せるために作られていることがあります。どちらも、成約の時期と件数を聞けば分かります。
査定額は、その金額で売れる約束ではありません。根拠の成約を確かめたうえで、売り出し価格を決めてください。
改装済みの中央値には、買取再販の値段が混ざる。自分で改装して同じ値段を狙わない
板橋区の中古マンションは、改装済みの成約の中央値が、未改装より高くなっています。この事実だけを見ると、「売る前に改装すれば高く売れる」と読めます。そう読まないほうがいい理由が二つあります。
一つ目は、改装済みの成約の中身です。改装済みとして成約した部屋には、不動産業者が未改装で買い取り、改装して、利益を乗せて売り直した部屋が含まれます。
この場合、成約価格には改装費だけでなく、業者の利益と広告費と、持っている間の経費が乗っています。個人が同じ改装をして売り出しても、買い手が同じ金額を払うとは限りません。
二つ目は、改装する部屋が選ばれている点です。改装してから売りに出されるのは、改装しないと売りにくい古い部屋か、改装して高く売れる見込みのある部屋です。改装済みの中央値が高いのは、改装した結果なのか、もともと高く売れる部屋が改装されたのか、データからは分けられません。
現実的な進め方は、改装する前に現況のまま査定を受けることです。そのときに「直した場合と直さない場合で、査定額がいくら変わるか」を聞いてください。
改装費より査定の差が小さいなら、直さずに売ったほうが手元に残ります。この判断の材料は、売る前にリフォームすべきか にまとめています。
板橋区の戸建ては、築31〜45年までの下げが小さく、築46年以上で半分を切る。境目は1981年の耐震基準
ここからは戸建ての話です。板橋区の戸建ては1,705件の成約があり、中央値は6,000万円です。マンションほどではありませんが、比べる材料が足りない数ではありません。
築年数で見ると、戸建ての下がり方はマンションと逆の形をしています。マンションは築30年の手前で大きく下がり、その後は平らに近い形でした。
戸建ては、築31〜45年までは段差が小さく、築31〜45年から築46年以上へ移るところでいちばん大きく下がります。築46年以上の中央値は、築10年以内の半分を切ります。
築46年以上の建物は、1980年以前に建っています。建築基準法の耐震基準は、1981年6月に改正されました。それより前に建築確認を受けた建物は、今とは違う基準で設計されています。
買い手の多くは、この帯の戸建てを「住む家」としてではなく「建て替える土地」として見ます。建物の値段がほぼ消え、土地の値段に近づくので、中央値が半分を切ります。
この帯の家を売る人に伝えたいのは、値段が消えるのは建物の分だけで、土地の分は残るということです。土地の値段を決めるのは、次の二つの節で書く用途地域と前面道路の幅です。建物の古さを気にする前に、そちらを確かめてください。
築31〜45年の帯で売る人は、次の帯との境目が近いことを知っておいてください。築44年と築46年では、比べられる成約の帯が変わります。
数年で大きく状況が変わる帯なので、売る時期を決めるときは、今どの帯で査定されているかを確かめておくのが安全です。戸建てを売る前に確かめることは、このあとの用途地域と前面道路の節で続けます。
戸建ての成約がいちばん多いのは第1種中高層住居専用地域。中央値は商業地域が上、第1種低層住居専用地域が下
板橋区の戸建ての成約を用途地域で分けると、いちばん多いのは第1種中高層住居専用地域です。中央値がいちばん高いのは商業地域で、いちばん低いのは第1種低層住居専用地域です。
第1種低層住居専用地域は、用途地域の中でいちばん規制が強い地域です。都市計画法では、低層住宅の良好な住環境を守るために定める地域とされています。建築基準法により、建物の高さは10mまたは12mに制限されます。
店舗や事務所も原則として建てられません。住む側から見れば静かな環境ですが、土地を買う側から見れば、建てられる床面積の上限が小さい土地です。
土地の値段は、そこに何を建てられるかで決まります。商業地域は高さの制限がゆるく、店舗や事務所も建てられるので、同じ広さでも使い道が多く、値段が上に付きます。
第1種低層住居専用地域は、戸建てしか建てられないに近い土地なので、買い手は戸建てを建てる人に限られます。板橋区の戸建ての中央値がこの地域で低いのは、家の質が低いからではなく、土地の使い道が狭いからです。
売る側がやることは二つです。一つは、自分の土地の用途地域を確かめることです。重要事項説明書に書いてあります。
手元に無ければ、区が公開している都市計画図で調べられます。もう一つは、査定の根拠に使われた成約が同じ用途地域かを確かめることです。
第1種低層住居専用地域の家を、商業地域の成約で査定されると高く出ますが、その値段では売れません。逆なら安く出ます。
第1種中高層住居専用地域は、成約がいちばん多い地域なので、同じ地域の成約を根拠にした査定を受けやすい地域です。ここに当てはまる人は、根拠の成約が同じ用途地域かを確かめるだけで、査定の精度がかなり上がります。
用途地域と土地の形が値段に与える影響は、土地の形と用途地域で、価格はどう変わるか で実データを見ています。
前面道路の幅は、自分で測らず、区の窓口で確かめる
板橋区の戸建ては、前面道路の幅が4m未満、4〜6m、6m以上のどれに入るかで中央値が変わります。道路の幅は後から変えられないので、建物の状態よりも先に値段の帯を決める条件です。
気をつけたいのは、見た目の幅と、法律上の幅が違うことがある点です。建築基準法では、建物を建てる敷地は幅4m以上の道路に2m以上接している必要があります。見た目が4m未満の道路でも、法律上は「幅4mの道路」として扱われていることがあります。
その場合、建て替えのときに道路の中心線から2m下がるまで敷地を後退させます。この後退(セットバック)の分は、敷地面積に入っていても、建物を建てられる面積には入りません。
だから、前面道路の幅は自分で巻き尺で測った数字を使わないでください。区役所の道路や建築を担当する窓口で、道路の幅員と、建築基準法上のどの種類の道路かを確かめます。
過去に後退済みかどうかも、そこで分かります。査定のときにこの情報を先に出せば、担当者は「4m未満だから」と一律に下げず、実際に建てられる面積で値段を出せます。
建築基準法上の道路に2m以上接していない土地は、建て替えができません。その場合は売り方が変わるので、査定の前に接道の状況を確かめてください。
土地の単価は1平方メートルあたり56万円。ただし用途地域で割ると件数が足りない
板橋区の土地だけの成約は475件で、三つの種別の中でいちばん少ない数です。単価の中央値は1平方メートルあたり56万円です。
単価で見ると広さの違いを越えて比べられるので、土地を売る人はまずこの数字を物差しにします。ただし、この数字は区全体の真ん中です。前の節で書いたとおり、板橋区では用途地域で値段が大きく変わります。
475件を用途地域で分けると、自分の土地と同じ地域の成約はさらに少なくなります。成約が少ない帯では、1件の高い成約や安い成約で中央値が動きます。中央値だけを見ず、同じ用途地域の成約が何件あって、その幅がどこからどこまでかを聞いてください。
土地を売る前に決めることは二つあります。境界が確定しているかと、古家があるなら残すか壊すかです。どちらも 土地を売る に整理しています。
古家を壊すかどうかは、前の節の築46年以上の戸建ての話と同じです。買い手が建て替える前提で見る土地なら、先に壊さずに査定を受けるほうが選択肢が残ります。
板橋区で売るとき、担当者に投げる質問を先に書いておく
このページで書いた板橋区の事実は、そのまま査定のときの質問に変えられます。査定を受ける前に、次の質問をメモしておいてください。
マンションを売る人は、三つです。根拠に使った成約は自分と同じ間取りか。
根拠の成約は築何年の帯か、築21〜30年と築31〜45年のどちらか。根拠の成約はいつの時期のもので、何件あるか。
戸建てを売る人も、三つです。根拠の成約は同じ用途地域か。
前面道路の幅は、区の窓口で確かめた法律上の幅か。築46年以上なら、建物の値段と土地の値段をどう分けて見ているか。
この質問に数字で答えられる担当者は、板橋区の成約を実際に見ています。答えが「だいたいこのくらい」で止まる担当者は、区全体の中央値をそのまま当てはめているだけかもしれません。複数社に査定を頼むときは、金額の高い安いより、この質問への答え方で比べてください。
売却の全体の流れと、かかる費用の話は 家を売る流れは7ステップ にまとめています。板橋区に限らない話なので、ここでは繰り返しません。