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査定と相場の見方

土地の形と用途地域で、価格はどう変わるか(愛知の実データ)

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結論から

土地の形と用途地域は、成約価格の中央値に数百万円単位の差を生みます。名古屋市中川区の実データでは、戸建て(土地建物)の中央値は長方形で3,600万円(241件)です。不整形は3,100万円(60件)でした。用途地域別では、準工業地域が3,600万円(221件)です。第一種低層住居専用地域は3,000万円(92件)でした。ただし刈谷市では不整形の中央値のほうが高く、地域によって結果が異なります。この金額は土地と建物を合わせた成約総額のため、建物の築年数や広さの違いも含まれます。形や用途地域だけで価格を断定はできません。

同じ区の同じ広さの土地でも、形と用途地域が違うだけで、成約価格の中央値は数百万円単位で変わります。名古屋市中川区の実データでは、戸建て(土地建物)の中央値は長方形で3,600万円(241件)です。不整形は3,100万円(60件)でした。

用途地域別に見ると、準工業地域が3,600万円(221件)です。第一種低層住居専用地域の3,000万円(92件)を上回っています。二級建築士の立場から、この差がどこから来るのかを整理します。

中川区の実データ|土地の形で、戸建ての中央値は500万円変わる

中川区の戸建て(土地建物)の成約価格を、土地の形ごとの中央値で見ます。期間は2023年第2四半期〜2026年第1四半期、出典は国土交通省 不動産情報ライブラリです。

なお、ここで扱う金額は国のデータ区分「宅地(土地と建物)」の成約価格で、土地と建物を合わせた総額です。土地だけの値段ではないため、同じ形の区分どうしを比べても、建物の築年数・広さ・構造の違いがそのまま金額に含まれています。形の影響だけを切り出した数字ではない、という前提で読んでください。

  • 長方形:241件、中央値3,600万円
  • ほぼ長方形:190件、中央値3,700万円
  • ほぼ台形:36件、中央値3,800万円
  • ほぼ正方形:18件、中央値3,450万円
  • 不整形:60件、中央値3,100万円

長方形とほぼ長方形は、3,600万円台〜3,700万円台に集まります。不整形は3,100万円で、500万円ほど低くなっています。

不整形は価格のばらつきも大きく、下位25%で1,300万円、上位25%で4,900万円まで開いています。長方形は下位25%が2,800万円、上位25%が4,500万円で、幅が狭くなっています。

建築士の視点 不整形地や旗竿地は、敷地の面積が同じでも、建物を配置できる範囲が狭くなります。用途地域ごとに上限が決まる建蔽率・容積率の数字を、そのまま使い切れないことが多いためです。道路に接する間口が狭い旗竿地では、駐車スペースの取り方や、隣地との距離による日照・採光の確保も難しくなります。設計の自由度が下がる分、買う側が想定する使い方の幅も狭まり、価格に反映されやすくなります。

自分の土地が長方形か不整形かは、法務局の公図や測量図で確認できます。境界確定測量図があれば、形と正確な面積の両方が分かります。境界確定測量の進め方は、土地を売るで扱っています。

刈谷市では逆の結果に。形だけで価格は決めつけられない

同じ愛知県内でも、結果が逆になる地域があります。刈谷市の戸建て(土地建物)を同じ区分で見ると、次の通りです。

  • ほぼ整形:26件、中央値5,450万円
  • 不整形:28件、中央値5,000万円
  • ほぼ長方形:109件、中央値4,600万円
  • 長方形:106件、中央値4,400万円
  • 袋地等:20件、中央値3,850万円

刈谷市では、不整形の中央値が5,000万円で、長方形の4,400万円より高くなっています。中川区とは逆の並びです。

この差だけで「不整形地のほうが高い」とは言えません。中央値の差には、面積や築年、駅からの距離など、形以外の条件も含まれています。

刈谷市の不整形の事例には、上位25%が8,000万円まで伸びる広めの区画が含まれています。件数も28件と中川区の60件より少なく、少数の高額な取引に中央値が引っ張られやすい規模です。

建築士の視点 形の悪さは、面積が広い土地では影響が小さくなることがあります。有効に建てられる範囲が多少削られても、必要な床面積を確保できる余地が残るためです。逆に、狭い敷地で形が悪いと、建てられる建物の規模そのものが制約されます。「不整形地は安い」と決めつけず、面積との組み合わせで見る姿勢が実務では必要です。

自分の土地の形と価格の関係を見るときは、同じ形の分類だけでなく、面積が近い事例と見比べる必要があります。地域ごとの実測相場の確かめ方は、相場の調べ方で扱っています。

夕方の郊外の戸建て住宅街
同じ市のなかでも、駅からの距離と土地の形で価格は変わります。まず自分の地域の実際の成約価格を見ます。

用途地域とは何か。建てられるものの上限を決める区分

用途地域は、住居・商業・工業など、市街地の土地利用の大枠を定める都市計画の区分です。国土交通省近畿地方整備局の説明によると、全部で13種類あり、指定されると建てられる建物の種類が決まります。

このうち第一種低層住居専用地域は「低層住宅のための地域」です。小規模な店舗や事務所を兼ねる住宅、小中学校などは建てられますが、規模の大きい建物は建てられません。近隣商業地域は「まわりの住民が日用品の買い物などをする地域」で、住宅や店舗のほかに小規模な工場も建てられます。

準工業地域は「主に軽工業の工場やサービス施設等が立地する地域」です。環境悪化が大きい工場のほかは、ほとんどの用途が建てられます。

建てられる用途の幅が広い地域ほど、店舗や事業用地としての需要が乗る余地が生まれます。第一種低層住居専用地域のように住環境を守るための地域は、建てられる規模そのものが抑えられています。

建蔽率(敷地に対してどれだけの面積で建てられるか)と容積率(延べ床面積をどれだけ積めるか)にも上限があります。これも用途地域ごとに、都市計画で指定されます。

第一種低層住居専用高さの上限がある第一種住居地域住宅が中心近隣商業・準工業店舗や工場も建つ
用途地域は、その土地に建てられる建物の用途と大きさの上限を決める区分。住居専用の地域は静かに暮らせる一方で建てられる規模が小さく、商業系・工業系の地域は建てられる幅が広い。同じ広さの土地でも、区分が違えば評価も変わる。

中川区の実データ|用途地域別の中央値。準工業・近隣商業が高い

中川区の戸建て(土地建物)を、用途地域別の中央値で見ます。

  • 近隣商業地域:57件、中央値3,900万円
  • 準工業地域:221件、中央値3,600万円
  • 第1種住居地域:557件、中央値3,300万円
  • 第1種低層住居専用地域:92件、中央値3,000万円
  • 第2種住居地域:48件、中央値3,000万円
  • 第2種中高層住居専用地域:41件、中央値2,700万円

準工業地域と近隣商業地域が、第一種低層住居専用地域より600万円〜900万円高くなっています。マンション(区分所有)の実データでも、同じ並びが見られます。

近隣商業地域は中央値2,500万円(76件)、準工業地域は1,800万円(107件)です。どちらも第一種住居地域の1,600万円(74件)を上回っています。

この差も、用途地域だけの効果とは言い切れません。準工業地域や近隣商業地域は、幹線道路沿いなど利便性の高い立地に指定されていることが多い区分です。立地条件の違いが、価格に重なっている可能性があります。

建築士の視点 準工業地域や近隣商業地域は、住宅だけでなく店舗や事務所、軽工業の用途としても使えるため、買う側の選択肢が広くなります。事業用地として検討する層が加わる分、需要の裾野が広がりやすい地域です。一方、第一種低層住居専用地域は、建てられる規模が抑えられている代わりに、静かな住環境が守られています。どちらが良い悪いではなく、何のために土地を使うかで評価の軸が変わります。

自分の土地の用途地域は、名古屋市内であれば「名古屋市都市計画情報提供サービス」で確認できます。住所を入力するか、地図上をクリックすると表示されます。電話での照会は用途地域照会窓口(052-972-2797・平日8時45分〜正午、13時〜17時15分)でも受け付けています。

愛知県内の他市町村では、県の「マップあいち」や、各市町村の都市計画課の窓口で確認できます。市街化調整区域に入っている土地は、用途地域とは別の制約を受けます。詳しくは市街化調整区域の土地を売るで扱っています。

不整形地だと分かったあと、査定でこれを聞く

自分の土地が不整形だと分かっても、それだけでは打つ手が決まりません。査定を受けるときに、担当者へ次の3つを聞いてください。

1つ目は、査定の比較に使った成約事例です。どの事例と比べたのか、その土地の形と面積はいくつかを聞きます。形の違う事例と比べているなら、その分の調整をどう入れたかも聞けます。

2つ目は、形を理由に金額を下げたかどうかです。下げたのなら、その理由を言葉で説明してもらいます。「不整形なので安くなります」で終わる説明は、根拠として弱いです。

3つ目は、この土地に何が建てられると見ているかです。駐車場を何台取れるか、建物を何階建てで想定しているか。

買う側が気にするのはここです。ここを説明できる担当者は、土地を見たうえで査定しています。

同じ土地でも、査定額は会社によって差が出ます。差が出たときは、金額の高さではなく、理由を説明できるほうを基準にしてください。査定額の根拠の確かめ方は不動産査定の仕組みで扱っています。

なお、間口が狭い土地や旗竿地は、形の分類よりも前面道路と間口の影響が大きく出ることがあります。この点は間口と前面道路で売却価格はどれだけ変わるかで扱っています。

不整形な土地は、誰が買うかで値段が変わる

形が悪いと分かっても、売れないわけではありません。買う相手が変わるだけです。

相手を決めないまま値段だけ下げると、時間もお金も減ります。売り出す前に、次の順で当たり先を考えてください。

最初に検討するのは、隣の土地の所有者です。不整形な土地は、隣地と合わせると形が整うことがあります。隣の人にとっては、間口が広がる、駐車スペースが取れる、建て替えのときに使える範囲が増えるといった実利が出ます。

第三者より高く買う理由を持てる相手です。ただし相手に買う意思と資金がなければ話は進みません。

媒介契約を結ぶときに「隣地に打診してもらえるか」を聞いてください。やらない会社もあります。

次に、業者に売るか個人に売るかで見方が違います。建売業者は、決まった間取りの建物を並べられるかで土地を見ます。形が崩れていると手を出しにくくなります。

一方、注文住宅を建てたい個人は、設計で対応できる範囲なら受け入れることがあります。相手が見つかるまで時間はかかります。

ただし形を理由に値切られにくいのはこちらです。急いでいないなら、売り出し期間を長めに見る前提で組んでください。

古家が建っているなら、更地にするかどうかも先に決めます。間口が狭い土地や旗竿地は、重機を入れにくく、解体の手間が読みにくいことがあります。

解体を決める前に、現地を見た業者から見積もりを取ってください。判断の順番は更地で売るか、古家付き土地のまま売るかで扱っています。

売る期限が決まっている場合は、買取も選択肢に入ります。仲介より価格は下がりますが、形を理由に断られにくく、引き渡しの日程が読めます。

価格と期間のどちらを優先するかで選び方が変わります。違いは仲介と買取の違いで整理しています。

用途地域が2つにまたがる土地は、どちらのルールで見るか

地図で自分の土地を確認すると、用途地域の境界線が敷地の中を通っていることがあります。幹線道路沿いに多い形です。

道路側が近隣商業地域、奥が第一種住居地域、といった分かれ方をします。この場合、どちらのルールで建てるのかが問題になります。

決め方は、用途と、建蔽率・容積率で分かれます。

建てられる用途は、敷地の過半を占めるほうの用途地域で決まります。そのルールが敷地全体にかかります。奥側が第一種低層住居専用地域で、そちらが過半なら、道路側の部分も含めて低層住居専用のルールで見ることになります。

建蔽率と容積率は、これとは違います。それぞれの部分の面積で按分して計算します。

かかっている面積の割合で足し合わせる形です。過半のほうの数字をそのまま敷地全体に当てはめると、実際と合いません。

売るときに効いてくるのは、この違いです。買う側は「ここに何が建てられるか」で値段を見ます。またがっている土地は、地図の色を見ただけでは判断がつきません。

境界線が敷地のどこを通っているかを、市町村の都市計画課で確認してください。境界線の位置は、窓口の図面で確認できます。

査定を頼むときは、その情報も渡してください。担当者が用途地域を1つだけ見て査定していると、建てられる規模の前提がずれます。査定前に揃えておく資料は土地の査定で必要な資料で扱っています。

用途地域別の中央値を、中川区と愛知県内で並べて比べる

記事に出てきた用途地域ごとの中央値を、中川区と愛知県内の水準で並べます。愛知県内の値は、市区町村ごとの中央値を並べたときの真ん中です。

用途地域中川区の中央値(戸建て)愛知県内の水準(戸建て)建てられる用途の幅
近隣商業地域3,900万円(57件)3,700万円住宅・店舗のほか小規模な工場も可
準工業地域3,600万円(221件)3,150万円環境悪化が大きい工場以外はほとんど可
第1種住居地域3,300万円(557件)3,000万円
第1種低層住居専用地域3,000万円(92件)3,200万円低層住宅が中心。規模の大きい建物は不可
第2種住居地域3,000万円(48件)3,800万円

出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ(不動産取引価格情報)を家売却ラボが集計

中川区では準工業地域と近隣商業地域が上位ですが、愛知県内の並びでは第2種住居地域が上に来ます。順番は地域で入れ替わるため、用途地域だけで高い安いは決めず、自分の市区町村の事例で確かめてください。

自分の家の条件を確かめる方法

自分の土地の形と用途地域は、査定を依頼する前に確認できます。

土地の形は、法務局で取得できる公図や地積測量図で確認します。公図は位置と形のおおよそを示す図面で、正確な境界は確定測量図でないと分かりません。

証明書はオンライン請求もでき、10分程度の手続きで郵送か窓口受け取りを選べます。査定に必要な資料の全体像は、土地の査定で必要な資料で確認できます。

用途地域は、名古屋市内であれば「名古屋市都市計画情報提供サービス」で確認できます。それ以外の愛知県内であれば、「マップあいち」や各市町村の都市計画課で確認できます。地図上で自分の土地をクリックすると、用途地域とあわせて建蔽率・容積率も表示されます。

形と用途地域は、それぞれ単独で価格を決める要素ではありません。面積や立地と組み合わさって、査定の評価に反映されます。まず自分の土地がどの分類に入るかを確認したうえで査定を依頼すると、担当者の説明を理解しやすくなります。

よくある質問

不整形地は必ず評価が下がりますか?

一概には言えません。名古屋市中川区の実データでは、不整形の戸建て(土地建物)の中央値は3,100万円です。長方形の3,600万円より低くなっています。一方、刈谷市では不整形の中央値が5,000万円で、長方形の4,400万円より高くなっています。中央値の差には面積や立地条件の構成差も含まれるため、形だけで判断せず、面積が近い事例と見比べる必要があります。

用途地域は、どこで確認できますか?

物件がある市区町村の都市計画課の窓口や、公開型の地図サービスで確認できます。名古屋市内であれば「名古屋市都市計画情報提供サービス」で確認できます。愛知県内の他市町村であれば、「マップあいち」や各市町村のホームページで、住所や地図上のクリックから用途地域が分かります。名古屋市の電話窓口は用途地域照会窓口(052-972-2797)です。

準工業地域や近隣商業地域は、住宅を建てても問題ありませんか?

問題ありません。準工業地域は、環境悪化が大きい工場以外はほとんどの用途が建てられる地域です。近隣商業地域は、住宅や店舗のほかに小規模な工場も建てられる地域です。どちらも住宅を建てられます。ただし周辺に工場や店舗が混在しやすい地域でもあります。住環境の静けさを重視する場合は、第一種低層住居専用地域など住居専用の地域と比べて検討することが必要です。

参照した情報源

  1. 国土交通省「不動産情報ライブラリ」(不動産取引価格情報)・確認日 2026-07-30
  2. 国土交通省近畿地方整備局「用途地域」・確認日 2026-07-30
  3. 名古屋市「地域地区について」・確認日 2026-07-30
  4. 愛知県「マップあいち」(愛知県統合型地理情報システム)・確認日 2026-07-30
  5. 法務局「登記事項証明書(土地・建物)、地図・図面」(取得方法の案内)・確認日 2026-07-30

本記事は下書きにAIを活用し、出典との照合・建築士監修を経て公開しています。

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