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築古・古家を売る

売る前にリフォームすべきか。愛知の実成約データで見る【建築士監修】

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結論から

改装済みのほうが高く売れるとは限りません。愛知県内で改装済みと未改装の両方の成約が取れた39市区町村のうち、改装済みの中央値が高かったのは30市区町村で、未改装のほうが高かった市区町村も9あります。差の真ん中は250万円ですが、市区町村ごとの幅は-950万円から900万円まで開きます。工事費を回収できるかは物件ごとに変わるので、直す前に現況のまま査定を取ってください。

「このまま売っても買い手が付かない気がする。先に直したほうがいいのだろうか」。築年数の経った家を売るとき、ほとんどの方がここで止まります。

結論から言うと、直せば高く売れるとは限りません。 実際に売れた値段のデータを見ると、改装済みのほうが安く売れている市区町村もあります。

改装済みと未改装で、実際にいくら違ったか

国土交通省が公開している実際の成約価格を、市区町村ごとに集計しました。中古マンションには「改装済み」「未改装」の区分が付いているので、同じ市区町村の中で並べて比べられます。

愛知県内で両方の成約が取れたのは39市区町村でした。そのうち、

  • 改装済みの中央値が高かった市区町村: 30
  • 未改装の中央値が高かった市区町村: 9

差の真ん中は250万円です。ただし市区町村ごとの幅は-950万円から900万円まで開きます。対象にした成約は6,558件です。

出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ(不動産取引価格情報)を家売却ラボが集計

ここで大事なのは、平均するとプラスに見えるのに、個別に見ると逆の市区町村がいくつもあるという点です。「リフォームすれば◯万円上がる」と一律に言える数字ではありません。

なお、市区町村をまたいだ中央値は出せないため、上の価格は市区町村ごとの中央値を並べたときの真ん中を指しています。

なぜ、直しても上がらないことがあるのか

建物の状態が良くなっても、買い手が同じだけ払ってくれるとは限らないからです。理由は3つあります。

①買主は自分の好みで直したい。 壁紙も床も設備も、買った後で自分の好きなものに替えたい人がいます。売主が先に仕上げてしまうと、その工事は評価されないどころか「やり替える手間が増える」と見られることもあります。

②築年数が経つほど、土地の値段で取引されるようになる。 建物の評価が小さくなっていくので、建物にかけたお金が価格に乗りにくくなります。

③工事費がそのまま価格に上乗せできるわけではない。 100万円かけたから100万円高く売れる、という関係ではありません。

直す価値がある箇所と、そうでない箇所

工務店を経営していた立場から見ると、判断の分かれ目は「買い手がその場で減点するかどうか」です。内見の数十分で目に入るもの、においで分かるものは、値段の交渉材料にされます。

内見でどう見られるか売る前に手を入れる意味
雨漏りの跡・水染み構造の不安に直結する。指摘されると大きく引かれるある。原因を止めて記録を残す
水回りの汚れ・においその場で顔に出る。生活の想像がしにくくなるある。清掃と部分補修で足りることが多い
残置物・荷物部屋が狭く見え、傷みも隠れて見えるある。片付けは費用の割に効く
壁紙の全面張り替えきれいだが、買主が自分で選びたい部分小さい。費用ほど価格に乗りにくい
設備のグレードアップ標準品との差が伝わりにくい小さい。買主の好みと合わないこともある
間取りの変更工事費が大きく、好みが分かれる小さい。売却前にやる工事ではない

先に解体するのも避けてください。 解体費がかかるうえ、更地にすると住宅用地の特例が外れて土地の固定資産税が上がるのが一般的です。傷んだ家でも「古家付き土地」や業者買取で売れることがあります。

築年数のどこで値段が変わるか

同じデータから、築年数帯ごとの成約価格も出しています。愛知県内の戸建て(市区町村ごとの中央値を並べたときの真ん中)は次のとおりです。

築年数戸建てマンション
築0-10年3,300万円3,450万円
築11-20年2,825万円2,700万円
築21-30年2,500万円1,700万円
築31-45年2,000万円1,100万円
築46年以上1,000万円520万円

出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ(不動産取引価格情報)を家売却ラボが集計

いちばん落ちるのは築31-45年から築46年以上のところで、戸建てで-50%、マンションで-52.7%です。段差の手前にいるなら、工事より先に売る時期を考えたほうが効きます。

築年数ごとの価格は 築30年の家はいくらで売れるか のクラスターにもまとめています。

リフォームせずに、そのまま売る方法

直さないと決めたあとの売り方は、二つに分かれます。仲介で現況のまま売るか、買取業者に売るかです。

仲介で売る場合、傷みは価格に織り込んで売り出します。買った人が自分で直す前提の値付けです。このとき、知っている不具合は隠さず不動産会社に伝えてください。

雨漏りのような不具合を黙って売ると、引き渡しの後で補修費を求められることがあります。直す義務はありませんが、伝えることは省けません。むしろ「ここは傷んでいるが、その分の値段にしてある」と示せるほうが、話が早く進みます。

傷みが大きい家なら、買取も候補になります。買取業者は買い取ったあと、自社の費用で直してから売り直します。つまり、工事は業者側の仕事です。

売主が先に直しても、その分を上乗せして買ってくれるわけではありません。壊れたまま、荷物が残ったままで引き取る業者もあります。

そのかわり、価格は仲介で売るより下がるのが普通です。価格差とスピードの違いは 仲介と買取の違い にまとめています。

分かれ目は、傷みがどこまで進んでいるかです。内見の減点で収まる程度なら、清掃と部分補修をして仲介で売ります。雨漏りや構造まで傷みが進んでいて、直す予算も気力も無いなら、買取の査定も取ってください。

仲介と買取の両方の金額を並べてから決めれば、先に工事の見積もりを取る必要はありません。誰が買い取り、なぜ仲介より安いのかは 不動産買取の仕組み で説明しています。

戸建ての場合はどう考えるか

改装済みか未改装かの比較データは、中古マンションのものです。国の成約データで改装の区分が付くのはマンションだけで、戸建てには付いていません。ならば戸建ては話が別かというと、判断の向きはむしろ同じです。

戸建ては築年数が進むほど、価格に占める土地の割合が大きくなります。建物にかけたお金は、マンション以上に価格へ乗りにくくなります。

実際、築年数の表でも、いちばん落ちる段差の位置は戸建てもマンションも同じです。フルリフォームしてから売る理由は、戸建てだと余計に見つけにくいというのが実感です。

一方で、内見の減点はマンションより戸建てのほうが出やすくなります。見られる場所が多いからです。外壁、屋根まわり、床下、庭、隣地との境。

マンションなら管理組合が面倒を見ている部分も、戸建ては全部売主の持ち物です。だから戸建てで先にやることは、工事の見積もりではなく現状の把握です。雨漏りの跡のように減点に直結する箇所は、直すかどうかを決める前に、まず状況を確かめてください。

建物より先に確かめることは 戸建てを売る にまとめています。自分の家が売りにくい側に入っていないかは 建築士視点のセルフチェック で確認できます。

不動産会社にリフォームを勧められたら、どう判断するか

査定に来た会社から「直してから売りましょう」と言われることがあります。その場で受ける前に、確かめることが二つあります。

一つ目は、根拠を数字で出してもらうことです。どこを直すのか、工事費はいくらか、直すと売値がいくら変わる見込みか。

この三つを紙で出せない提案は、受ける理由がありません。「きれいなほうが売りやすい」という話だけでは、工事費を回収できるかどうか分かりません。

二つ目は、提案する側の立場です。リフォーム会社と提携している不動産会社もあり、工事の紹介が会社の収益になる場合があります。提携があるから悪い提案だ、とは言いません。

ただ、売主の得と会社の得が、別の方向を向くことはあります。勧めてきた会社以外にも査定を取り、直さず売る前提の金額も並べてください。

断っても構いません。リフォームの工事契約と、売却を任せる媒介契約は別のものです。工事を断ったうえで、売却だけ依頼して構いません。

もし工事を条件のように言われたら、その会社に任せるかどうかから考え直してください。媒介契約の種類と選び方は 媒介契約は3種類 にまとめています。

順番だけ間違えないでください。工事の契約を先に結ぶと、あとで「直さないほうがよかった」と分かっても戻れません。査定額の根拠をどう確かめるかは 不動産査定の仕組み で説明しています。

直してから売る場合、時間の損はどう考えるか

リフォームには、お金だけでなく時間がかかります。ここを数えずに決める方が多いです。

工事は、頼んだ日に始まるものではありません。業者を探し、見積もりを取り、仕様を決めて、契約してから着工です。終わるまで、売り出しは止まったままです。

その間も出ていくお金があります。空き家なら、固定資産税や光熱費は工事中もかかり続けます。住みながらなら、工事中の暮らしの負担が乗ります。

築年数も待ってくれません。上で見たとおり、価格は築年数の段差のところで落ちます。

段差の手前にいる家ほど、売り出しの遅れがそのまま不利になります。工事で上がる見込みと、遅れて下がる分は、必ず両方並べてください。

相場も動きます。工事を終えて売り出す頃に、今と同じ相場である保証はありません。

上がるか下がるかは読めません。読めないものを待つより、今の相場で査定を取って比べるほうが確実です。

売却そのものにも時間がかかります。査定から引き渡しまでの期間の目安は 家を売る流れは7ステップ にまとめています。直してから売るなら、この期間の頭に工事の分が丸ごと乗ります。

だから「いつまでに売りたいか」から逆算してください。住み替え先の入居日が決まっているなど、期限のある売却で工事を挟むと、完成を待てずに値下げで調整する羽目になりがちです。

それなら最初から現況で売るほうが筋が通ります。売りと買いの順番は 住み替えは売り先行か買い先行か にまとめています。

給湯器やエアコンなど、設備が壊れている場合はどうするか

壁や床とは別に、設備の故障で迷う方も多いです。給湯器が動かない。エアコンが古い。

換気扇から音がする。結論は雨漏りと同じで、売る前に直す義務はありません。ただし、壊れていることは不動産会社に必ず伝えてください。

進め方は決まっています。設備ごとに「動くか、壊れているか、残すか、外すか」を売主が申告し、契約の前に書面で確かめます。

ここで正直に書いておけば、引き渡しの後で「聞いていない」と言われずに済みます。逆に、分かっていて黙っていた故障は、後から補修を求められる元になります。

直すかどうかは、壁紙と同じ物差しで考えてください。買主が入居後に自分で選び直す設備は、先に新品へ替えても評価されにくいです。エアコンが典型です。

古いだけなら、残すか外すかを買主に選んでもらえば足ります。一方、お湯が出ない家は、すぐ住みたい買主とは話が止まりがちです。

それでも先に直すと決めつけず、直す場合と、その分を値段で調整する場合を並べてください。どちらが得かは、不動産会社と相談してから決めれば間に合います。

保証書や取扱説明書が残っている設備は、まとめておいてください。動く設備の裏付けになり、引き渡しの準備も楽になります。

売却で使う書類は 不動産売却の必要書類 にまとめています。故障が一つ二つではなく、家全体の傷みと重なっているなら、訳あり・難あり物件を売る も読んでください。

同じマンションでリフォーム済みが売りに出ていたら

未改装のまま売ると決めても、同じマンションや近所でリフォーム済みの部屋が売りに出ていると、迷いが戻ってきます。「向こうがきれいな分、うちが売れ残る気がする」と。

まず、そのリフォーム済みの多くは業者の商品です。業者が部屋を買い取り、直して、売り直しているものです。

値段には仕入れ値と工事費と業者の利益が乗っています。個人が現況で売る部屋とは、値段の水準がそもそも違います。

買い手も同じ人ではありません。お金を足してでも、手を入れずにすぐ住みたい人はリフォーム済みを選びます。総額を抑えたい人や、自分の好みで直したい人は、未改装を探しています。

未改装を安く買って自分で直すほうが、総額で安く付くことがあるからです。未改装で売るなら、あなたの買い手は後者です。

いちばんまずいのは、リフォーム済みに張り合って中途半端に直すことです。業者の仕上がりには届かず、値段だけ上がります。結果として、どちらの買い手からも選ばれにくくなります。

やることは、価格差をはっきり付けることです。同じマンションや近くのリフォーム済みが、いくらで出ているかを調べます。そのうえで、買主が直す費用を見込んでも割安に見える位置に値段を置きます。

売り出し中の物件の調べ方は 不動産の相場の調べ方 にまとめています。マンション特有の準備は 中古マンションを売る を読んでください。

迷ったときの順番

  1. 現況のまま査定を取る。 直す前、片付ける前で構いません。ここを飛ばすと比べる基準が無くなります
  2. 「直した場合いくらになるか」も聞く。 差額が工事費を上回るかを、見積もりを取る前に確かめます
  3. 手を入れるなら、減点される箇所だけに絞る。 雨漏り・水回り・においと、片付け
  4. 解体は最後に考える。 更地にすると税負担が上がり、戻せません

工事の領収書は残しておいてください。売却時の譲渡所得を計算するとき、資本的支出にあたる工事費は取得費に含められる場合があります(国税庁「取得費となるもの」)。判断は税理士や税務署にご確認ください。

よくある質問

リフォームしてから売ると、高く売れますか?

必ずしも高くなりません。愛知県内で改装済みと未改装の両方の成約データが取れた39市区町村を比べると、改装済みの中央値が高かったのは30市区町村、未改装のほうが高かったのは9市区町村でした。差の真ん中は250万円ですが、幅は-950万円から900万円まであります。ここでの価格は、市区町村ごとの中央値を並べたときの真ん中です。工事費を上回るかどうかは物件によって変わるため、直す前に現況のまま査定を取るのが安全です。

売る前に直したほうがいい箇所はありますか?

買い手が減点する箇所に絞るなら意味があります。雨漏りの跡、水回りの汚れ、においは、内見でその場で判断されます。反対に、壁紙の全面張り替えや設備のグレードアップは、費用ほど価格に乗らないことが多い工事です。買主が自分の好みで直したい部分でもあるため、こちらで仕上げても評価されないことがあります。判断に迷うときは、工事の見積もりを取る前に不動産会社の査定を受けて、直した場合とそのままの場合の想定価格を聞いてください。

古い家は、直すより解体したほうがいいですか?

先に解体するのは避けたほうが安全です。解体費がかかるうえ、更地にすると住宅用地の特例が外れて土地の固定資産税が上がるのが一般的です。傷んだ家でも「古家付き土地」や業者買取で売れることがあります。愛知県内の戸建ては、築31-45年から築46年以上のところで中央値が-50%変わります。段差の手前にいるなら、そのままの状態で査定を取ってから、解体するかどうかを決めてください。

参照した情報源

  1. 国土交通省 不動産情報ライブラリ(不動産取引価格情報)(国土交通省)・確認日 2026-08-03
  2. 国税庁「No.3252 取得費となるもの」(国税庁)・確認日 2026-08-11

本記事は下書きにAIを活用し、出典との照合・建築士監修を経て公開しています。

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