築30年前後の家は、いまも売れています。このサイトの全国集計では、築21〜30年の戸建ての真ん中の値段は2,400万円でした。
ただ、戸建てとマンションでは話が違います。戸建ては土地の価値に支えられます。マンションは、築30年を過ぎたあたりから大きく下がります。
もう一つ、築30年前後は値段以外のところで話が止まりやすい時期です。買い手のローン、建物の書類、30年前の購入額の証明。この記事では、値段の目安とあわせて、そこを順に見ていきます。
全国の集計で見る、築21〜30年の実際の価格
国土交通省の不動産情報ライブラリの成約価格を、築年帯ごとに集計しました。「築21〜30年」は、2026年時点でおおむね1996年〜2005年に建てられた家です。
このサイトが集計しているのは全国379市区町村です。表の数字は、市区町村ごとの真ん中の値段を並べたときの真ん中です。全国の平均ではありません。
| 築年数 | 戸建て(件数) | マンション(件数) |
|---|
| 築10年以内 | 3,675万円(116,146件) | 4,000万円(62,875件) |
| 築11〜20年 | 2,900万円(29,133件) | 3,100万円(67,680件) |
| 築21〜30年 | 2,400万円(38,808件) | 2,300万円(71,759件) |
| 築31〜45年 | 1,900万円(56,681件) | 1,350万円(74,236件) |
| 築46年以上 | 1,100万円(42,788件) | 955万円(34,103件) |
築21〜30年の戸建ては2,400万円、マンションは2,300万円です。
この表は、地域の差をならした数字です。同じ「築21〜30年」でも、地域が変われば価格帯そのものが変わります。自分の家に近いのは、自分の市区町村で実際に売れた値段です。
外壁の色あせは、買い手が値段を下げる理由にはなりにくい部分です。塗り替えの費用は、売値に戻ってきません。
築30年を境に、マンションは大きく下がる
上の表を、戸建てとマンションで縦に見比べてください。下がり方が違います。
マンションは、築21〜30年から築31〜45年にかけての下がり方がいちばん大きく、-41.3%でした。築30年前後のマンションは、ちょうどその手前にいます。
戸建ては、いちばん大きく下がるのがもっと先です。築31〜45年から築46年以上にかけてで、-42.1%でした。
違いを生んでいるのは土地です。戸建てには土地の価値が乗っています。
地価は年数で減りません。マンションの土地は住戸ごとの持分なので、建物の古さがそのまま値段に出やすくなります。
木造住宅の法定耐用年数は22年です(出典: 国税庁)。税務・会計上の計算では、築22年を過ぎると建物の帳簿価格はほぼゼロに近づきます。ただし、これは計算上の話で、実際の取引価格がゼロになるわけではありません。
築30年前後の戸建ては、この22年をもう過ぎています。値段の多くは土地の分だと考えて、ほぼ外しません。
建築士の視点(二級建築士・施工管理技士)
築30年前後の戸建てを見るとき、私が先に確認するのは築年数ではなく、雨漏りとシロアリ、基礎の状態です。ここが健全なら、内装が古くても買い手はリフォームを前提に評価できます。逆に、雨や水まわりの傷みが構造まで達していると、土地の価値だけでは支えきれなくなることがあります。中央値はあくまで目安です。実際の価格は、建物の状態と立地で個別に変わります。
建物と土地では、価格の下がり方が違う。建物は年数とともに評価が下がっていくが、土地は残る。築年数が古い家の価格は、土地の値段に近づいていく。図は考え方を示したもので、実際の下がり方は建物の造りや手入れの状況で変わる。
真ん中の値段だけを見ると、自分の家の値段を読み違える
表の数字は真ん中の値段です。半分はそれより安く売れています。だから「築30年の戸建てだから2,400万円」とはなりません。
同じ市区町村、同じ築年数でも、成約価格は大きくばらつきます。この幅を作っているのは、主に土地の条件です。
広さが違えば価格はそのまま変わります。前面道路の幅や間口、土地の形も影響します。
同じ面積でも、車が入りにくい細い道の奥と、広い道路に面した角地では、買い手の数が変わります。用途地域によって建てられる建物の規模も違います。このあたりは間口と前面道路で売却価格はどれだけ変わるかと土地の形と用途地域に、実データで整理しています。
建物の状態も価格に影響します。ただ築30年前後になると、建物の評価はどの家も低めに出ます。差がつきやすいのは土地のほうだと考えておけば、大きく外しません。
使い方はこうなります。まず自分の市区町村の真ん中の値段で、だいたいの水準をつかみます。次に、自分の土地が広いか狭いか、道路付けが良いか悪いかで、上側か下側かの見当をつけます。
ここまでやってから査定を受けると、出てきた金額が高いのか安いのか、自分で判断できます。真ん中の値段を最初から期待して、査定でがっかりする、という順番にならずに済みます。
値段の次に大きいのは、買い手のローン
築30年前後の家は、価格を決めただけでは話が進みません。買い手がいくら借りられるかで、手が届くかどうかが変わります。
住宅ローンの審査では、建物の築年数も見られます。扱いは金融機関ごとに違います。木造の中古住宅だと、融資期間を短めに見るところもあります。
期間が短くなれば、毎月の返済額は上がります。同じ価格でも、買える人が減ります。内見は来るのに決まらない、というとき、この事情が絡んでいることがあります。
売主の側でできるのは、書類をそろえておくことです。建築確認済証、検査済証、増築や大きなリフォームをしていればその記録。これらは、買い手や金融機関に建物の素性を説明するのに使います。
築30年前後の家では、検査済証が手元に無いことも珍しくありません。無いから売れない、ということではありません。ただ、買い手側の確認に手間と時間がかかります。
順番はこうです。まず、家にある書類を全部出して並べます。次に、足りないものを不動産会社に伝えます。
査定の段階で伝えておけば、取り寄せや代わりの資料の手当てを、売り出し前に進められます。買主が現れてから探し始めると、そこで話が止まります。
どの書類がいるかは不動産売却の必要書類に一覧で整理しています。書類が査定でどう使われるかは不動産査定の仕組みを見てください。
ネットで見る価格と、この表の価格は別物
不動産ポータルで近所の物件を見ると、この記事の表より高い金額が並んでいることがあります。見ているものが違います。
ポータルに出ているのは売り出し価格です。売主が「この値段で買い手を探している」段階の金額で、売れた金額ではありません。
上の表は成約価格です。実際に取引が成立した価格を集計しています。売り出してから値下げしていれば、下げたあとの金額が入ります。
決まらずに取り下げた物件は、そもそもこのデータに入りません。だから売り出し価格だけを並べて相場をつかむと、実際より高めに見えます。
築30年前後の家は、新しい家より買い手が絞られます。売り出し価格のまま決まるとは限りません。
見当をつける順番はこうです。まず成約価格で、自分の地域の水準をつかみます。次にポータルで、同じ地域・同じくらいの築年数の物件がいくらで出ているかを見ます。
あわせて、その物件が何か月出続けているかも見ます。長く残っている価格帯は、その値段では買い手が付いていない価格帯です。半年前から同じ物件が同じ金額で載っていれば、それは相場ではなく売主の希望です。
自分の家の売り出し価格を決めるときも、この順番が使えます。成約価格の水準を軸に置き、そこから上に振るか下に振るかを考えます。ポータルの金額を基準にすると、最初から高すぎる値付けになりやすくなります。
相場データの見方は不動産の相場の調べ方、査定で出た金額と実際に売れる金額のズレは査定額と売却額は違うに整理しています。
売れる値段と、手元に残る額は違う
査定額の見当がついても、その額がそのまま入るわけではありません。売却価格から引かれるものがあります。
引かれるのは、主にこの4つです。
- 仲介手数料(不動産会社に払う)
- 登記の費用(住所変更や抵当権の抹消)
- 印紙代
- 譲渡所得税(利益が出た場合)
ローンが残っていれば、引き渡しのときに残債を一括で返します。手元に入るのは、そのあとです。
築30年前後なら完済している家も多いですが、借り換えや増改築で残っていることもあります。まず残高証明で今の残債を確かめます。
築30年の家で厄介なのが、買った金額の証明です。譲渡所得税は「売った額 − 買った額 − 経費」で計算します。買った額を示す書類が無いと、売った額を基準にした概算の取得費で計算することになります。
実際の購入額より低く見積もられ、税額が上がることがあります。30年前の売買契約書は、探しても出てこないことがよくあります。
契約書、領収書、通帳の記録。まず家の中を探してみてください。
特例もあります。自分が住んでいた家なら、マイホームを売ったときの特別控除が使えることがあります。
使えれば税金がかからない場合もあります。適用には条件があるので、税務署か税理士に確認してください。
査定額が出たら、そこから引かれる分をざっと差し引いてみます。住み替えなら、その手取りが次の家の資金になります。査定額のまま資金計画を立てると、あとで足りなくなります。
かかる費用の内訳は不動産売却でかかる費用の一覧、買った金額が分からないときの扱いは概算取得費の考え方に整理しています。
引き渡したあとに不具合が出たら、誰が直すのか
築30年の家は、売って終わりとは限りません。引き渡したあとに雨漏りやシロアリ、給排水の不具合が見つかることがあります。このとき売主が責任を問われることがあります。
契約不適合責任といいます。買主から補修や代金の減額を求められる場合があります。
築30年前後の家は、どこかに傷みがあるのが普通です。傷みがあること自体が問題になるわけではありません。問題になるのは、契約書に書かれていなかった不具合が出たときです。
売主の側で先にやれることは2つあります。
1つは、知っていることを全部書いて渡すことです。物件状況報告書(告知書)という書類に、雨漏りの履歴、シロアリの駆除歴、給湯器や水まわりの不具合などを書きます。
ここに書いて、買主が了解したうえで契約すれば、その部分は不適合になりません。
逆に、知っていて黙っていた不具合は、免責の特約があっても免責されません。隠すのが一番損をします。
もう1つは、責任の範囲を契約でどう決めるかを、不動産会社と先に相談しておくことです。個人が売主の場合、責任を負う期間を区切る特約や、対象を雨漏り・シロアリなどに絞る決め方があります。
何をどこまで負うのかは、契約書に書かれた内容で決まります。売り出す前に確認してください。
買取だと、この責任を負わない形で契約できることがあります。傷みが深くて引き渡し後が不安な家では、そこも比べてください。
仲介との違いは仲介と買取の違いに整理しています。契約から引き渡しまでの順番は家を売る流れは7ステップを見てください。
高く、確実に売るなら。直すか直さないかの判断
築30年前後の家を売るとき、最初に「解体」や「全面リフォーム」を決めてしまうと、費用も税金も先に出ていきます。まず今の状態で価格を確かめ、そのうえで直す・直さないを判断するのが無理のない順番です。売る前に自分でも確認しておきたい項目は、売れる家か売りにくい家かのセルフチェックにまとめています。
| 売り方 | 向いているケース | 主な費用・手間 | 注意点 |
|---|
| 直さずそのまま売る | 早く手放したい/傷みが浅い | 残置物の片付け程度 | 買取なら片付け前でも相談できる |
| 直して売る(部分補修) | 雨漏りや設備の不具合がある | 補修費(範囲で変動) | 全面リフォームは費用が価格に乗りにくい |
| 買取で売る | 傷みが深い/早く現金化したい | 仲介より価格は下がりやすい | 内見・広告なしで進められる |
傷みが浅ければ、そのままの状態で仲介に出しても買い手が付くケースは珍しくありません。逆に、構造や水まわりの傷みが深い場合は、買取のほうが確実に、早く現金化できることがあります。どちらが向いているかは、今の状態を査定してみないと分かりません。
築40年を過ぎた家の値段と、建て替えや解体の考え方は、築40年の家はいくらで売れるかで見ています。
再建築不可や、傷みが深く通常の仲介では売りにくい物件も、買取なら状態そのままで査定を依頼できます。種類別の売り方は訳あり・難あり物件を売る記事にまとめています。