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物件タイプ別に売る

戸建てを売る。建物より先に確かめる3つのこと【建築士監修】

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結論から

戸建て売却では、境界(隣地との境界線)・接道(道路への接し方)・建物の状態の3つを、建物の傷み具合を見る前に確かめておくと安全です。境界が曖昧だと引き渡し後にトラブルになることがあり、接道義務(建築基準法第42条・43条)を満たさない土地は建て替えができません。雨漏りやシロアリは素人目で判断せず、既存住宅状況調査(インスペクション)などで確かめる方法があります。査定は土地と建物を分けて見るのが基本です。

戸建てを売るとき、マンションと大きく違うのは「土地」の扱いです。マンションは敷地全体を区分所有者で共有しますが、戸建ては境界も道路との関係も、その土地一つで決まります。境界・接道・建物の状態、この3つを建物の傷み具合より先に確かめておくと、査定の場で話がかみ合いやすくなります。

戸建て特有の論点は、境界・接道・建物状態の3つ

戸建ての査定では、建物だけでなく土地そのものの条件で価格が決まります。中でも確認しておきたいのが、隣地との境界、道路への接し方(接道)、建物の状態です。

境界が曖昧だと、引き渡し後に隣地とのトラブルにつながることがあります。接道の条件を満たさないと、建て替えができない土地(再建築不可)になっている場合があります。建物の状態は、雨漏りやシロアリ被害の有無で、査定額の見方が変わります。

いずれも、建物をリフォームしても解決しない土地・法律の話です。先に建物の見た目を整えるより、この3つを確かめるほうが、査定の見立てが早く固まります。

境界:塀や屋根の越境は、測量図の有無で調べ方が変わる

まず確認したいのが、隣地との境界です。確定測量図(隣地の立ち会いのもとで境界を確定した図面)があれば、境界の位置ははっきりしています。一方、古い戸建てでは測量図が見当たらない、あるいは現況測量図(実測はしているが隣地の同意を得ていない図面)しかない、というケースも珍しくありません。

境界がわからないまま売却を進めると、引き渡し後に隣地の塀やブロック塀が越境(境界線をまたいで建っている状態)していたことが判明し、トラブルになることがあります。越境の解消は、多くの場合、隣地の所有者との話し合いで進めることになります。

境界そのものが争いになっている場合は、法務局が扱う筆界特定制度を使う道もあります。裁判をしなくても、専門家の意見を踏まえて筆界(登記上の境界線)を明らかにできる制度です(出典:法務省)。手続きの中で測量が必要になることがあり、その場合は費用負担が発生します。

築年数の経った戸建ての外壁とベランダ
外壁の色あせは、買い手が値段を下げる理由にはなりにくい部分です。塗り替えの費用は、売値に戻ってきません。

接道:建て替えができるかどうかは、道路への接し方で決まる

戸建てが建っている土地は、建築基準法上の道路に2m以上接していなければならないという決まりがあります(接道義務、建築基準法第43条)。対象となる道路は、原則として幅員4m以上のものです(同法第42条、出典:名古屋市・長岡市)。

この条件を満たさない土地は、今の建物を壊すと同じ場所に建て替えができません。旗竿地(敷地の一部が細い通路状になっている土地)や、古くからの住宅密集地でよく見られる事情です。相続で引き継いだ戸建てが、実は接道義務を満たしていなかった、というケースもあります。

自分の土地がどの道路に接しているかは、役所の建築指導課で確認できます。図面だけで判断せず、窓口で確かめておくと、あとの見立てがぶれません。

建築士の視点

工務店を経営してきた立場から見ても、境界と接道は、建物の見た目には出てこない分、見落とされがちなところです。

特に古い戸建ては、増築や塀の設置が、測量図のないまま進んでいることがあります。売る前に境界と接道の状況を確かめておくと、査定の場で「土地としての条件」を正しく伝えられます。

建物:雨漏り・シロアリは、素人目で判断せず調査で確かめる

境界・接道と並んで確認したいのが、建物そのものの状態です。特に雨漏りとシロアリ被害は、外から見ただけではわかりにくく、査定額にも影響します。

国土交通省は、既存住宅状況調査(インスペクション)の技術者講習制度を設けています。第三者の技術者が、目視を中心に建物の劣化状況を調べる仕組みです。2018年4月からは、この調査の結果が、既存住宅の取引における重要事項説明の対象になっています(出典:国土交通省)。

調査を受けるかどうかは任意ですが、雨漏りやシロアリの有無をあらかじめ把握しておくと、買主との交渉で話がそれにくくなります。仲介を依頼する不動産会社に、調査のあっせんができるかをたずねてみる方法もあります。

査定は、土地と建物を分けて見る

戸建ての査定は、土地の評価と建物の評価を分けて考えるのが基本です。境界がはっきりしているか、接道義務を満たしているかは、主に土地の評価に関わります。雨漏りやシロアリ、老朽化の程度は、主に建物の評価に関わります。

木造住宅は年数が経つほど建物の評価が下がりやすく、築年数が経った戸建てでは、土地の価格が査定額の中心になることも珍しくありません。築古住宅の建物価値の見方は、名古屋市で築30年の家を売るで整理しています。近隣の実際の成約価格は、国土交通省の不動産情報ライブラリで確かめられます。

庭木・物置・浄化槽は、残すか撤去するかを先に決めておく

戸建ての売買では、建物と土地のほかに、敷地の中にあるものの扱いも決めます。カーポート、物置、庭木、門扉、井戸、浄化槽。マンションではまず出てこない話です。

これらは契約のときに「付帯設備表」という書面で整理します。何を残し、何を撤去するか、動くか動かないか。売主が書いて買主に渡す書面です。

あわせて「物件状況等報告書(告知書)」も作ります。こちらには雨漏りやシロアリの履歴、過去の修繕、近隣との取り決めなどを書きます。

大事なのは、知っていることを書き落とさないことです。引き渡し後に書面と違う点が見つかると、売主が責任を問われることがあります(契約不適合責任)。以前に雨漏りを直した、シロアリの駆除をした。

こうした履歴は、隠すより先に伝えたほうが話が早く済みます。修理の記録や業者の書類が残っていれば、一緒に用意しておくと説明しやすくなります。

判断に迷いやすいのが、庭木と大きな物置です。買主が「撤去してほしい」と言うこともあれば、「そのまま使いたい」と言うこともあります。

売主の側で先に処分してしまうと、その費用が無駄になることもあります。急いで片付ける前に、不動産会社へ「これは残したほうがいいか」と聞いてください。

浄化槽や井戸がある家では、いま使っている状態かどうかも確認しておきます。使っていない井戸の埋め戻しなど、引き渡し前の対応を求められることがあります。手続きが自治体で決まっている場合があるため、窓口に確かめてください。

家の中の設備は、内見の前に一度ずつ動かしてみると、書面に書く内容が固まります。内見での見せ方は住みながら家を売るで整理しています。

前面道路が私道なら、通行と掘削の承諾を確かめる

家の前の道が公道とはかぎりません。戸建てでは、前面道路が私道(個人や複数の人が所有している道)になっていることがあります。見た目は普通のアスファルトで、歩いていても区別はつきません。

まず、その道が誰の名義かを調べます。法務局で道路部分の登記を取れば、所有者と持分がわかります。

自分の持分が入っていることもあれば、近所の何軒かで共有していることもあります。古い分譲地では、開発した会社の名義のまま残っている場合もあります。

問題になりやすいのが掘削です。買主が建て替えやリフォームをするとき、水道管やガス管を入れ替えるために道を掘ることがあります。このとき、私道の所有者の承諾がいります。

承諾が取れないと工事が進みません。買主の側も、そこがはっきりしない家は判断に迷います。

そのため実務では「通行・掘削承諾書」という書面を用意します。私道を通ってよい、必要なら掘ってよい、という所有者の合意を書面にしたものです。

家を買ったときにすでに取ってあることもあります。手元の書類を探して、見当たらなければ不動産会社に相談してください。

名義人が多いほど、時間はかかります。相続で名義が変わっていない、連絡先がわからない。こうなると、売り出す前に動いておかないと間に合いません。

前面道路の条件は価格の見方にも関わります。間口と前面道路で売却価格はどれだけ変わるかで整理しています。

登記の床面積と、いまの家の大きさが合わないことがある

古い戸建てでは、登記に書かれた床面積と、実際の建物の大きさが違うことがあります。多いのは増築です。

子ども部屋を足した、離れを建てた、車庫に屋根と壁を付けた。工事はしたが登記は直していない、という家です。

登記に反映されていない部分を、実務では未登記部分と呼びます。売るときに引っかかるのは、買主が住宅ローンを使う場面です。

金融機関は担保に取る建物を登記で確認します。登記と現況が合っていないと、融資の手続きが止まったり、引き渡しまでに直すよう求められたりすることがあります。

気づき方は二つあります。一つは登記事項証明書を取り、床面積を実際の間取りと見比べること。もう一つは固定資産税の課税明細書です。

市町村は現況を見て課税するため、登記に出てこない建物が明細に載っていることがあります。数字が食い違っていたら、増築の履歴を疑ってください。

直すときは、建物表題部の変更登記をします。窓口は法務局で、測量や図面が必要になるため、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。工事をした業者の図面や請負契約書が残っていれば、その分だけ話が早く進みます。

相続した家では、ここが一番わかりにくくなります。いつ誰が増築したのか、知っている人がもういない。

この場合は登記と課税明細を突き合わせたうえで、不動産会社と土地家屋調査士に見てもらってください。相続した家の進め方は相続した実家を名古屋で売る、進め方で整理しています。

未登記のままだと売れない、という話ではありません。ただ、買主が現金で買うのか、ローンを使うのかで進め方が変わります。売り出す前に状態を把握しておけば、条件の説明で止まりません。

高低差のある土地は、擁壁の状態も見られる

戸建ての敷地が、道路や隣地と同じ高さとはかぎりません。坂の途中や、造成された住宅地。土を支えるために擁壁(ようへき)が造られています。

ブロックを積んだもの、コンクリートで固めたもの。形はいろいろです。

まず確かめたいのは、その擁壁が誰のものかです。自分の敷地の中にあるのか、隣地の側にあるのか。

境界を調べるときに、あわせて見ておくと二度手間になりません。上の家の擁壁が自分の敷地にかかっている、ということもあります。

次に状態です。ひび割れ、傾き、膨らみ、水抜き穴のつまり。見えるところだけでも写真を撮っておいてください。

買主は、建て替えのときに擁壁をやり直す必要があるかを気にします。やり直しになれば、その工事費を見込んで価格を考えることになります。

高低差のある土地では、建て方に条例で決まりが設けられていることがあります。内容は自治体ごとに違います。

接している道路の種類を役所の建築指導課で確認するとき、高低差の扱いもあわせて聞いてください。窓口が同じなので、一度で済みます。

古い擁壁は、いつ誰が造ったのか、許可を取っているのかがわからないことがあります。その場合は、わからないままで構いません。

わからないことを「大丈夫です」と言ってしまうほうが、あとで困ります。知っている範囲を不動産会社に伝えて、調べ方を相談してください。

土地の条件が価格にどう効くかは、土地の形と用途地域で、価格はどう変わるかで整理しています。売りにくくなる要素の見つけ方は、売れる家か、売りにくい家かにまとめています。

上下水道とガスは、引き込みの状態も確かめる

戸建ては、水道もガスも敷地の中まで自分で引き込んでいます。マンションのように建物全体でまとめて、という形ではありません。ここは買主が気にするところです。

まず下水です。前面道路に公共下水道の本管が来ているか、浄化槽で処理しているか。

地域によって分かれます。本管が来ていても、宅地の中で接続していない家もあります。

次に水道の引込管です。古い家では、いまの暮らし方に対して管が細いことがあります。

買主が建て替えたり、水回りを増やしたりするとき、引き込みからやり直しになることがあります。買主はその工事費を見込んで価格を考えます。

もう一つが、他人の敷地を通っている引込管です。古い分譲地では、隣の敷地の下を通って自分の家に水が来ていることがあります。

逆に、隣の家の管が自分の敷地を通っている場合もあります。工事のときに所有者の承諾がいるため、前面道路が私道かどうかとあわせて確かめておくと安全です。

調べ方は役所です。水道と下水は市の上下水道の窓口で、給水装置や排水設備の図面が残っていることがあります。

ガスは供給している会社に聞きます。家を買ったときの書類に図面が挟まっていることもあるので、先に手元を探してください。

見つからないこともあります。その場合は「わからない」とそのまま不動産会社に伝えてください。あるはずだと思い込んだまま話を進めるより、調べ方を相談したほうが早く済みます。

引き込みの状態は、更地にして売るかどうかを考えるときにも関わります。判断の分かれ目は更地で売るか、古家付き土地のまま売るかで整理しています。

境界・接道・建物状態、調べ方と査定への効き方

本文で挙げた3つの論点を、調べ方と査定への効き方で並べます。建物の見た目を整える前に、ここから確かめてください。

論点何を確かめるか調べ方曖昧なまま売ると主に関わる評価
境界確定測量図の有無と、塀などの越境手元の測量図を探す。争いがあれば法務局の筆界特定制度引き渡し後に隣地とトラブルになることがある土地
接道建築基準法上の道路に2m以上接しているか役所の建築指導課の窓口で確認建て替えできない土地(再建築不可)と後で分かることがある土地
建物の状態雨漏り・シロアリ被害の有無既存住宅状況調査(インスペクション)。あっせんは不動産会社に相談引き渡し後に責任を問われることがある(契約不適合責任)建物

市区町村ごとの中央値を並べたときの真ん中で、戸建ては築0-10年が3,300万円、築46年以上が1,000万円です。築年数が経った戸建てほど土地の評価が査定の中心になるので、境界と接道を先に確かめてください。

出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ(不動産取引価格情報)を家売却ラボが集計

必要書類は、査定の前に確認しておく

境界・接道・建物の状態を確かめる際、あわせて手元にそろえておきたいのが書類です。確定測量図、建築確認済証・検査済証があれば、査定や売却の話が早く進みます。

測量図や建築確認済証を紛失していても、法務局や自治体の窓口で代わりの証明を取れる場合があります。たとえば建築確認済証は、建物のある自治体の建築指導課(特定行政庁)に「台帳記載事項証明書」を申請すると、確認・検査を受けた履歴を証明してもらえます(出典:東京都都市整備局)。

手続き先は自治体によって異なるため、事前に窓口へ確認してください。必要書類の全体像は、不動産売却の必要書類にまとめています。

まずは境界・接道・建物の状態を確かめるところから始めれば大丈夫です。

よくある質問

戸建てを売るとき、境界が曖昧な場合はどうすればいいですか?

まず、確定測量図があるかを確認してください。ない場合は、土地家屋調査士に相談し、隣地の立ち会いのもとで確定測量を行う方法があります。境界そのものが争いになっている場合は、法務局が扱う筆界特定制度を使い、裁判をせずに専門家の意見を踏まえて境界を明らかにする道もあります。まずは不動産会社や土地家屋調査士に相談してください。

接道義務を満たしていない戸建ては、売れませんか?

売れないわけではありません。ただし今の建物を壊すと建て替えができないため、通常の仲介では買い手が限られ、価格の見方も変わる傾向があります。隣地の一部を買う・借りるなどで接道義務を満たせる場合もあるため、まず役所の建築指導課や不動産会社に、自分の土地が接している道路の種類を確認してください。

雨漏りやシロアリは、自分で確認してもいいですか?

目視で気づける場合もありますが、天井裏や床下など見えない部分の劣化は、素人目では判断が難しいことがあります。国土交通省の既存住宅状況調査(インスペクション)制度を使い、第三者の技術者に調べてもらう方法があります。調査結果は、買主との交渉の材料にもなります。

参照した情報源

  1. 名古屋市「接道許可(建築基準法第43条)」(名古屋市)・確認日 2026-07-20
  2. 長岡市「建築基準法上の道路とは(建築基準法第42条)」(長岡市)・確認日 2026-07-20
  3. 法務省「筆界特定制度」(法務省)・確認日 2026-07-20
  4. 国土交通省「既存住宅状況調査技術者講習制度について」(既存住宅状況調査=インスペクション)(国土交通省)・確認日 2026-07-20
  5. 国土交通省 不動産情報ライブラリ(実際の成約価格・地価)(国土交通省)・確認日 2026-07-20
  6. 東京都都市整備局「台帳記載事項証明書の発行」(東京都都市整備局)・確認日 2026-07-20

本記事は下書きにAIを活用し、出典との照合・建築士監修を経て公開しています。

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