西区の成約は中古マンションが2,973件。戸建てとは桁が一つ違う
国交省の不動産情報ライブラリで、大阪市西区の2023〜2025年の成約を種類ごとに数えました。中古マンションが2,973件です。
土地と建物を一緒に売った戸建ては208件でした。土地だけを売った取引は61件しかなく、三つの種類では最少でした。
マンションの件数は、戸建てと桁が一つ違います。西区で「家を売る」と言えば、ほとんどの場合はマンションの部屋を売ることを指します。
だからこの記事は、マンションの話を先に置きます。戸建てと土地の話は後半にまとめました。
中古マンションの中央値は3,100万円です。広さで割った単価は、1平方メートルあたり76万円でした。件数が多い市場なので、自分の部屋と築年・広さ・間取りが近い成約を探しやすい区です。
査定を受けるときは、担当者に同じ条件で絞った成約を出してもらってください。中央値は区全体の真ん中の値で、自分の部屋の値段ではありません。
マンションは築30年まで落ち幅が小さく、築31〜45年に入るところで最も下がる
西区の中古マンションを築年の帯で分けて、中央値を並べました。いちばん大きく落ちる境目は、築21〜30年と築31〜45年の間にありました。それより手前の境目では、落ち幅はこれより小さくなっています。
築46年以上の帯でも、中央値は築10年以内から3割ほど下がった水準にとどまっています。築30年までは値段が持ち、そこから先で一段下がる。これが西区のマンションの形です。
築31〜45年の帯には、1981年の耐震基準の改正より前に建った建物が含まれます。この帯に入ると、買い手が見る資料が一つ増えます。耐震診断を受けているか、受けていればその結果です。
住宅ローン控除は、1982年以降に建った住宅か、耐震基準に適合する証明がある住宅が対象です(租税特別措置法第41条)。買い手がローン控除を使えるかどうかで、買える人の範囲が変わります。築年の境目で中央値が動く理由の一つは、ここにあると考えられます。
築20年台の部屋を持っている人は、いまは落ち幅が小さい帯の中にいます。次の帯に移ると、比べられる成約の水準が一段下がります。ただし、直近1年の中央値は前の年よりやや上がっています。
急ぐ根拠と待つ根拠の両方が、同じデータの中にあります。売るか持つかは、査定額を見てから決めれば間に合います。
築46年以上は、鉄筋コンクリート造の住宅の法定耐用年数47年に近づく帯です。それでも西区では、中央値が築10年以内から3割ほど下がった位置で止まっています。
ゼロに近づいてはいません。この帯では、管理組合の修繕の履歴と長期修繕計画が値段を支える資料になります。
最多の間取りは2LDK、次が1K。住む買い手と貸す買い手が同じ区にいる
西区のマンション成約を間取りで数えると、最も多いのは2LDKで、次が1Kでした。この並びは、買い手が二種類いることを示しています。
2LDKは、自分で住む人が買うことが多い間取りです。1Kは自分で住む人もいますが、貸して家賃を得る目的の買い手が多く混じります。
二つの市場では、値段の決まり方が違います。住む人は、部屋の広さ・日当たり・管理の状態を見て、払える上限で決めます。貸す目的の買い手は、家賃を価格で割った利回りで決めます。
同じ棟でも、2LDKと1Kでは査定の根拠が別です。1Kを売る人は、いまの家賃か周りの家賃の水準を先に調べてください。査定のときに、利回りで見た値段も出してもらえます。
貸したまま売る場合は、借り手との契約が買い手に引き継がれます。退去してもらってから売る必要はありません。
逆に、売るために退去を求めるには、貸主側に正当な事由が要ります(借地借家法第28条)。売りたいという理由だけでは足りません。
改装済みの中央値は上。西区で先に確かめるのは「どの築年の部屋が改装されているか」
西区では、改装済みとして成約したマンションの中央値が、未改装より高くなっています。この数字をそのまま「直せば上がる」と読むのは早いです。改装済みの部屋は、改装していない部屋と築年の分布が同じではありません。
改装の内容も、水回りだけから全面まで幅があります。中央値の差には、改装費の差だけでなく、立地や階数の差も混じっています。
売る前に直すかどうかは、二つの数字を並べて決めます。改装にかかる見積もりと、改装した場合と現状のままの査定額の差です。後者は、査定のときに両方の前提で出してもらえます。
差が見積もりを下回るなら、直さずに売るほうが手取りは多くなります。傷みが目立つ箇所だけを直す、という中間の選び方もあります。
愛知の実成約で同じ問いを調べた記事が 売る前にリフォームすべきか です。考え方は西区でも変わりません。
直近1年は、マンションも戸建てもやや上がった。「やや」をどう読むか
直近1年の中央値は、その前の1年と比べて、マンションも戸建てもやや上がりました。はっきり上がったというほどではなく、下がってもいない、という幅です。
売る側にとって、この動きは二つの意味を持ちます。一つは、1年前の査定書や知人が売った価格を基準にすると、低めに出してしまう可能性があることです。
もう一つは、「もう少し待てばもっと上がる」と読む根拠にはならないことです。やや上がった程度の動きは、翌年も続くとは限りません。
マンションは件数が多いので、中央値の動きは比較的安定して読めます。戸建ては208件で、1年ごとに区切ると件数はさらに少なくなります。
戸建ての「やや上がった」は、数件の成約で動いた可能性があります。戸建てを売る人は、区全体の傾向より、自分の家に近い条件の成約が最近いくらだったかを見てください。
戸建ては築10年を過ぎたところで最も下がり、築46年以上では築10年以内の3分の1以下
ここからは、件数の少ないほうの市場である戸建てを見ます。西区の戸建ては208件で、中央値は8,500万円でした。真ん中の半分は、3,900万円から28,000万円の間に入ります。
築年の帯で見ると、落ち幅が最も大きいのは築10年以内から築11〜20年に移るところです。マンションが築31〜45年に入るところで最も下がるのと、順番が逆です。
戸建ては新しいうちに大きく下がり、マンションは古くなってから下がります。築46年以上の戸建ての中央値は、築10年以内の3分の1以下です。
この動きには、建物の評価の仕組みが関わっています。木造住宅の法定耐用年数は22年です。築10年を過ぎると、建物の評価は年ごとに目に見えて減ります。
築20年を過ぎると建物の分はわずかになり、価格の多くは土地で決まります。だから築46年以上でも3分の1以下で止まり、ゼロにはなりません。土地の分が残っているからです。
築10年以内の戸建てを売る人は、建物の評価がまだ残っている間に売るかどうかを決める立場にいます。築30年を超えた戸建てを売る人は、建物の評価より、土地の条件を数字でそろえることが先です。次の二つの節で、その条件を説明します。
西区の戸建ては商業地域の取引が最も多く、中央値も最も高い。最も低いのは準工業地域
西区の戸建て成約を用途地域で分けると、件数が最も多いのは商業地域でした。中央値が最も高いのも商業地域です。最も低いのは準工業地域でした。
住宅地が中心の市では、戸建ての成約は住居系の用途地域に集まります。西区では商業地域が最多です。この区の戸建ての中で最も大きな集団が、店や事務所と同じ街区に建っていることを示しています。
商業地域は、建てられる建物の用途が広い地域です(都市計画法第9条)。買い手が「住む家」としてだけでなく、「建て替えて貸す土地」としても見ます。そのため、土地の分が高く評価されやすい地域です。
準工業地域は、工場と住宅が混じる地域です。中央値が最も低い理由を、用途地域だけで決めつけないでください。準工業地域の成約が、たまたま築年の古い家に偏っていた可能性もあります。
自分の家の用途地域は、大阪市の都市計画の図面か、購入時の重要事項説明書で確かめられます。用途地域は重要事項説明の項目です(宅地建物取引業法第35条)。査定のときに先に伝えると、比べる成約が絞れます。
前面道路の幅は4〜6mと6m以上の二つの帯で中央値が違う。4m未満の帯は集計に出ない
西区の戸建ては、前面道路の幅で中央値が変わります。集計に出てくる区分は、4〜6mと6m以上の二つです。この二つの帯で、中央値に差が出ています。
4m未満の区分は集計に出てきません。4m未満の道に面した家がない、という意味ではありません。件数が少なく、帯として比べられなかったと読んでください。
道路の幅が値段に効く理由は、建て替えの条件にあります。建築基準法は、建物の敷地が幅4m以上の道路に2m以上接することを求めています(第43条)。幅4m未満の道でも、法の施行前からある道は道路とみなされます。
ただし建て替えのときに、道の中心から2m下がる必要があります(第42条第2項)。下がった分は敷地として使えません。この条件は、買い手が建て替えの計画を立てるときの計算に入ります。
4m以上の道に面していても、幅によって違いは残ります。幅が広い道は車の出し入れがしやすく、工事車両も入りやすいので、解体や建て替えの費用が下がります。
一方で、幅の広い道は交通量が多いこともあり、住む人にとっては静けさと引き換えになります。西区の戸建ては商業地域が最多なので、道の幅と街区の性格が重なって値段に出ていると読めます。
自分の家の前面道路の幅は、法務局で取れる公図と、購入時の重要事項説明書に出ています。道路の種別も重要事項説明の項目です。
測る前に書類で確かめ、査定のときに幅と種別を伝えてください。道路と間口が価格にどう効くかは、間口と前面道路で売却価格はどれだけ変わるか で愛知の実データを使って整理しています。
土地61件の単価98万円は、古い戸建てを土地として値付けするときの物差し
土地だけの成約は61件で、三つの種類の中で最も少ない数です。1平方メートルあたりの単価の中央値は98万円でした。
この数字の使い道は、土地を売る人だけのものではありません。築30年を超えた戸建てを売る人が、自分の家を「古家付きの土地」として見るときの物差しになります。
敷地の面積にこの単価をかけ、そこから解体費を引いた額が、更地で売る場合のおおまかな位置です。建物の評価が残っている家として売る場合の査定額と並べると、どちらで売り出すかを決められます。
注意点が二つあります。件数が少ないので、中央値は一つの大きな取引で動きます。
また、用途地域や面積が違う土地の単価をそのまま当てはめると、ずれが大きくなります。自分の土地の用途地域と面積に近い成約を、担当者に絞って出してもらってください。
西区で売るときの進め方。マンションは管理の書類から、戸建ては道路の幅から
最後に実務です。進め方の全体は 家を売る流れは7ステップ に書いてあります。ここでは、西区で順番が変わる点だけ書きます。
マンションを売る人は、査定の前に管理の書類をそろえます。管理費と修繕積立金の月額、長期修繕計画、直近の総会議事録、大規模修繕の履歴です。築31〜45年の帯に入っている部屋なら、耐震診断の有無もここで確かめます。
同じ棟で売りに出ている部屋があれば、その価格も見ておきます。件数が多い区なので、同じ棟の成約が見つかることも珍しくありません。
それが最も近い査定の根拠になります。書類の集め方と戸建てとの違いは、中古マンションを売る にまとめています。
戸建てを売る人は、前面道路の幅と種別、用途地域、敷地の面積を書類で確かめるところから始めます。建物の評価が残っている築10年以内と、土地の分が主になる築30年超では、査定で見られる資料が違います。古い家は、家として売る場合と、古家付きの土地として売る場合の両方で査定を出してもらいます。
かかるお金は、仲介手数料・印紙税・登記の費用が中心です。マンションでは、管理会社に書類を出してもらう費用がかかることがあります。戸建てを更地で売るなら解体費が加わります。
それぞれの内訳は 不動産売却でかかる費用の一覧 で確かめてください。売った利益にかかる税金と控除の条件も、同じ費用と税金の章に入っています。
査定は一社で決めず、複数の会社から取ってください。金額の高さより、西区の成約を築年と間取りで絞って根拠を示せる担当者かどうかで選びます。
この記事に出てくる数字は区全体の値です。自分の部屋や家の値段は、査定で確かめるまで決まりません。