淀川区の成約はマンション2,608件。戸建て627件の4倍を超える
大阪市淀川区の2023〜2025年の成約を、国交省の不動産情報ライブラリで数えました。中古マンションが2,608件です。
土地と建物をまとめて売った戸建ては627件でした。土地だけの取引は110件で、三つの中でいちばん少ない数です。
マンションの件数は、戸建ての4倍を超えています。淀川区で「家を売る」と言えば、多くの場合はマンションを売ることを指します。
だからこの記事は、マンションの話から始めます。戸建てと土地の話は、後半にまとめました。
中央値は、マンションが1,900万円、戸建てが3,300万円です。マンションの面積あたりの単価は44万円/㎡でした。戸建ての安いほうから4分の1の値は1,700万円、高いほうから4分の1の値は4,700万円です。
真ん中の半分が、この幅に入ります。一つの中央値より、この幅のどこに自分の家が入るかを見てください。
件数が多いということは、比べる事例に困らないということです。淀川区のマンションは、同じ築年の帯と同じ間取りの成約を探せば、たいてい見つかります。
査定を受けるときは、担当者が何件の事例を根拠にしたかを聞いてください。この区で「事例が少ない」と言われたら、探し方を疑っていい数です。
マンションも戸建ても、築21〜30年から築31〜45年に移るところで最も下がる
淀川区の成約を築年の帯で分けると、マンションと戸建てに共通する境目が出てきます。築21〜30年の帯から築31〜45年の帯に移るとき、中央値の落ち幅がいちばん大きくなります。マンションも戸建ても、同じ場所で落ちていました。
同じ境目で落ちる理由は、データからは一つに決められません。ただ、ここには法律の区切りが一つ重なります。1981年6月に建築基準法の耐震基準が改正されました。
それ以降の確認申請で建てた建物を「新耐震」と呼びます。築31〜45年の帯の奥には、この改正の前後の建物が混じります。買い手がローンの審査や税の控除を受けられるかどうかが、ここで変わることがあります。
売る側にとって大事なのは、自分の家がいまどの帯にいるかです。築28年と築32年では、比べられる成約の水準が変わります。帯の境目に近い人は、査定を二つの前提で出してもらってください。
「いま売る場合」と「次の帯に入ってから売る場合」です。差額を見てから、急ぐかどうかを決められます。
落ち幅が最大、と言っても、そこで価格がゼロに近づくわけではありません。次の節で書くとおり、築46年以上でもマンションには値段が残っています。
築46年以上のマンションは築10年以内から3割下。戸建ては半分以下まで落ちる
落ちる境目は同じでも、落ちる深さは違います。淀川区の中古マンションは、築46年以上の中央値が築10年以内に比べて3割ほど下がる水準でした。戸建ては、築46年以上の中央値が築10年以内の半分以下です。
この差は、建物の造りで説明がつきます。マンションの多くは鉄筋コンクリート造で、税法上の耐用年数は住宅用で47年です。木造の戸建ては22年です。
築46年の時点で、木造は耐用年数を大きく過ぎています。建物の評価がほとんど残らず、土地の分だけで値段が決まりやすくなります。一方、鉄筋コンクリート造はまだ耐用年数の内側です。
建築士の視点
築46年以上のマンションで値段が残るのは、建物の造りだけの話ではありません。管理組合が積み立てた修繕積立金と、修繕の履歴がそのまま価値になります。外壁や給排水管の更新をいつやったか、長期修繕計画はあるか。これは築年数では読めません。
逆に、築年が浅くても積立金が足りない棟は、買い手が値段を下げて見ます。売る前に、管理会社から直近の総会議事録と長期修繕計画を取り寄せてください。査定の担当者にこの二つを渡すと、根拠の付いた価格が返ってきます。
築古のマンションの売り方は、中古マンションを売る。戸建てと違う準備と進め方にまとめています。戸建てと違って、部屋の外の情報が値段を決める点を押さえてください。
直近1年、淀川区はマンションも戸建ても横ばい。動かない年の査定の読み方
直近1年の中央値を、その前の1年と比べました。淀川区は、中古マンションも戸建てもほぼ横ばいでした。上がった、下がった、と言える差が出ていません。
動かない年は、査定の読み方が変わります。上がっている年なら「去年の成約より高めに出る」と見込めます。下がっている年なら逆です。
横ばいの年は、去年の成約がそのまま今年の物差しになります。担当者が「これから上がる」「いま売らないと下がる」と言ったら、根拠の事例を出してもらってください。淀川区のデータには、どちらの向きも出ていません。
横ばいのときに価格を動かすのは、相場ではなく物件の条件です。築年の帯、間取り、改装の有無。マンションなら階数や向きも入ります。
これらの差が、そのまま査定の差になります。次の節から、淀川区のデータで差が出た条件を順に見ていきます。
3LDKと1Kが同じ区に並ぶ。淀川区のマンションは部屋ごとに比べる相手を変える
淀川区のマンションで最も多い間取りは3LDKです。次が1Kでした。家族が住む部屋と、一人で住むか貸すための部屋が、同じ区の成約に並んでいます。
3LDKの買い手は、たいてい自分で住む人です。見るのは、部屋の広さ、日当たり、階数、買い物や通勤のしやすさです。成約の事例は、同じ棟か近くの棟の3LDKと比べます。
1Kの買い手には、貸して家賃を得る目的の人が混じります。この人たちが見るのは、家賃と価格の比率です。管理費と修繕積立金を引いた後に、手元に残る家賃で判断します。
つまり、同じ区でも、3LDKと1Kでは値段の決まり方が違います。査定を受けるときの根拠も変わります。3LDKなら「同じ棟の成約」、1Kなら「周辺の家賃水準と利回り」です。
1Kを貸したまま売るなら、いまの家賃と契約の残り期間を先に整理しておきます。借り手がいる部屋は、買い手が内見できないぶん、書類の情報が値段を決めます。
借り手に出てもらってから売る必要はありません。貸したまま売る取引では、賃貸借契約は買い手に引き継がれます。
逆に、売るために退去を求めるには、借地借家法で貸主側に正当な事由が要ります。売りたいという理由だけでは足りません。
2,608件の中で間取りに偏りがあるということは、自分の間取りの事例だけでも十分な数があるということです。3LDKの人は3LDKの、1Kの人は1Kの成約だけで比べてください。全体の中央値1,900万円は、両方を混ぜた数字です。
改装済みのマンションは中央値が高い。淀川区で直してから売るかを決める順番
淀川区では、改装済みとして成約した中古マンションの中央値が、未改装より高くなっていました。この数字だけを見ると、直してから売るほうが得に見えます。そう読むのは早すぎます。
改装済みの中央値が高い理由は、一つではありません。改装した部屋は、売主が費用をかけた部屋です。同時に、もともと広い部屋や条件のよい部屋ほど改装されやすい、という事情も混じります。
かけた改装費がそのまま価格に乗ったかどうかは、中央値の差からは分かりません。改装費のほうが差より大きければ、手取りは減ります。
順番はこうです。まず現況のまま査定を受ける。次に「改装した場合の査定」も同じ担当者に出してもらう。
差額と改装の見積もりを並べて、差額が見積もりを上回るときだけ直す。この順番なら、直した費用が戻らない失敗を避けられます。
直すかどうかの判断の手順は、売る前にリフォームすべきかでも扱っています。淀川区のデータでは改装済みが上でしたが、判断の手順は同じです。
戸建ては商業地域が最も高く、近隣商業地域が最も低い。同じ「商業」でも両端に分かれる
ここから戸建ての話です。淀川区の戸建て627件を用途地域で分けると、中央値が最も高いのは商業地域でした。最も低いのは近隣商業地域です。
名前は似ていますが、両端に分かれました。件数が最も多いのは第1種住居地域です。
商業地域と近隣商業地域は、都市計画法で定められた用途地域です。商業地域は、主に商業や業務の利便を増やすための地域です。建てられる建物の大きさの上限が高く設定されます。
近隣商業地域は、近隣の住民が日用品を買う店などの利便を増やすための地域です。どちらも住宅を建てられますが、周りに建つものと、敷地に建てられる大きさが違います。
淀川区で近隣商業地域が最も低かった理由は、データからは決められません。用途地域だけで値段が決まるわけではなく、敷地の広さ、前面道路、築年が重なっています。言えるのは一つです。
自分の家がどの用途地域にあるかを知らずに査定を受けると、比べる相手を間違えます。用途地域は、購入時の重要事項説明書に書いてあります。手元になければ、大阪市の都市計画を扱う窓口で確かめられます。
商業地域の戸建てを売るときは、買い手が「住む人」だけではない可能性があります。大きな建物を建てられる土地として見る人がいます。古家付きの土地として売る場合と、家として売る場合の両方で査定を出してもらってください。
前面道路の幅は三段階。淀川区では幅を測る前に道路の種別を調べる
淀川区の戸建ては、前面道路の幅で中央値に差が出ました。区分は4m未満、4〜6m、6m以上の三つです。幅が違うと、比べられる成約の水準が変わります。
理由は建築基準法にあります。建物を建てる敷地は、原則として幅4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。幅が4m未満の道でも、法で道路とみなされるものがあります。
その場合、建て替えのときに道の中心から2mまで敷地を下げる必要があります。下げた分には建物を建てられません。買い手はこの減る分を、価格から引いて考えます。
だから、幅を測る前に調べることがあります。前面の道が建築基準法上の道路かどうか。4m未満ならどの種別か。
すでに後退しているか。これは大阪市の建築を扱う窓口で確認できます。
購入時の重要事項説明書にも、道路の種別が書かれています。査定の前にこれを手元に置くと、担当者の説明が具体的になります。
幅6m以上の道に面した戸建ては、駐車や工事車両の出入りが楽です。買い手の範囲が広がります。道路条件は後から変えられません。
間口と道路幅が価格に与える差は、間口と前面道路で売却価格はどれだけ変わるかで扱っています。淀川区の査定でも、同じ見方が使えます。
土地だけの成約は110件で最も少ない。築46年以上の戸建ての底を読む物差しにする
淀川区で土地だけを売った成約は110件です。マンション、戸建て、土地の三つで最も少ない数でした。単価の中央値は33万円/㎡です。
件数が少ない土地の単価を、淀川区で何に使うか。築46年以上の戸建ての値付けです。前に書いたとおり、淀川区の戸建ては築46年以上で築10年以内の半分以下まで落ちます。
木造の耐用年数を過ぎ、建物の評価がほとんど残らない帯です。このとき価格の土台になるのが、土地の単価です。敷地の面積に33万円をかけ、そこから解体費を引いた額が、更地として売る場合の目安になります。
ただし、110件の単価は、場所も形も混ざった数字です。自分の土地と敷地の広さや道路幅が近い事例を、担当者に絞って出してもらってください。
古家付きのまま売るか、解体して売るかは、解体費の見積もりと、買い手がどちらを好むかで変わります。淀川区の戸建ては第1種住居地域に多く、住む目的の買い手なら古家付きでも検討します。
淀川区で家を売るときにかかるお金と順番。仲介手数料・印紙・登記費用と査定の受け方
最後に、淀川区で売るときの実務です。進め方の全体は、家を売る流れは7ステップにまとめてあります。ここでは、淀川区のデータを踏まえて順番を決めます。
最初にやるのは、自分の家がどの帯にいるかを確かめることです。マンションなら、築年の帯、間取り、改装の有無。戸建てなら、築年の帯、用途地域、前面道路の幅と種別。
この記事で差が出た条件を、書類で確かめてから査定を受けてください。重要事項説明書と登記事項証明書があれば、ほぼ分かります。
次に査定です。淀川区は件数が多いので、事例の根拠を求めて困ることはありません。複数の会社に頼み、金額ではなく「何件の、どの条件の成約から出したか」で比べてください。
帯の境目に近い人は、二つの前提で出してもらいます。改装を考えている人は、現況と改装後の二つで出してもらいます。
かかるお金は、主に三つです。仲介手数料は、宅地建物取引業法で上限が決まっています。売買価格が400万円を超える場合、価格の3%に6万円を足した額に消費税を加えた金額が上限です。
売買契約書には印紙税がかかります。ローンが残っていれば、抵当権を消す登記の費用がかかります。内訳は、不動産売却でかかる費用の一覧にまとめてあります。
売った後の税金は、買った金額と売った金額の差で決まります。自分が住んでいた家なら、譲渡所得から3,000万円を差し引ける特例があります。適用には要件があるので、契約の前に税理士か税務署に確認してください。
貸していた部屋は、自分の住まいに当たりません。1Kを貸したまま売る人は、この特例が使えない前提で手取りを計算してください。