空き家を、壊すか貸すか売るか
練馬区(東京都)の空き家|除却助成は4分の3・上限150万円。対象は実施地区内
編集部
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結論から 練馬区で空き家を壊すなら、区の「住宅の耐震改修工事等の助成」に含まれる除却工事の助成を確かめます。助成率は4分の3で、上限は一般地区が150万円、空家等活用促進地区内の住宅Eが200万円です。ただし対象は防災まちづくり事業の実施地区内にある旧耐震住宅で、区内全域ではありません。面積単価による限度額もあります。令和8年度の受付状況は公開情報では確認できませんでした。窓口は都市整備部 防災まちづくり課(03-5984-1938)、空き家全般の相談は環境部 環境課 空き家等対策係(03-5984-1192)です(2026年8月時点)。
練馬区の除却助成は、家がどこにあるかで決まる
練馬区で空き家を持っているなら、最初に確かめることは一つです。その家が「防災まちづくり事業の実施地区」の中にあるかどうか。
区は、空き家専用の解体補助という形では制度を置いていません。「住宅の耐震改修工事等の助成」という防災まちづくり事業の枠の中に、除却工事の助成があります。対象は旧耐震の住宅です。
助成率は4分の3。上限は地区で分かれます。
- 一般地区:150万円
- 空家等活用促進地区内(住宅E):200万円
住宅Eは空き家に着目した上乗せの区分です。ただし、どちらにも面積単価にもとづく限度額があります。工事費の4分の3をそのまま当てにして資金の計画を立てるのは危険です。
そして、いちばん大きな線がここにあります。**この助成は区内のどこでも使えるわけではありません。
** 防災まちづくり事業の実施地区内にある旧耐震住宅が対象です。つまり住所で決まります。
自分の家が入っているかは、地図を眺めても判断が付きません。都市整備部 防災まちづくり課(03-5984-1938)に住所を伝えて聞いてください。
なお、練馬区が東京都の「不燃化特区」に指定されているかは、区の公開情報では確認できませんでした。区は「防災まちづくり事業」「都市防災不燃化促進事業」という区の枠組みで実施しています。
令和8年度の受付状況・締切・予算枠についても、公開情報では確認できていません。この記事は2026年8月時点のものです。
契約書に判を押す前に、区へ電話する
自治体の解体助成は、金額より順番でつまずきます。工事の契約や着工が先になると対象外になる扱いが一般的だからです。あとから申請しても戻りません。
練馬区の除却助成について、申請と契約の前後がどう定められているかは、公開情報では確認できませんでした。だからこそ、やることは一つに絞られます。契約の前に防災まちづくり課へ電話することです。
先に進めてよいことと、返事を待つことを分けておきます。
先に進めてよいこと。
- 登記事項証明書を取り、名義と権利関係を確かめる
- 家が実施地区に入るか、旧耐震にあたるかを区に確認する
- 解体業者から見積もりを取り、金額と工期を比べる
区の返事が出るまで止めておくこと。
見積もりを取ること自体は、誰にも止められません。危ないのは、業者と話し込んだ勢いでその場の契約書に署名してしまう場面です。
解体費は構造で変わります。現場まで重機が入る道があるかどうかでも変わります。
練馬区の戸建ての成約データでは前面道路の幅で中央値に差が出ていて、集計には4m未満の区分もあります。狭い道の奥にある家は、解体でも売却でも条件が付きやすい。
見積もりは複数社から取り、何が含まれて何が別扱いかを見比べてください。取り方と業者の選び方は空き家・古家の解体費用は何で決まる? 見積もりの取り方と業者選びにまとめています。
練馬区は、地区と用途地域で値段の位置が変わる
練馬区で取引がいちばん多いのは中古マンションです。次が戸建てで、いちばん少ないのが土地でした。更地にしたあとの買い手は、練馬区では多い部類ではありません。
区全体では、戸建ての成約価格の中央値は6,300万円です。成約は3,252件で、真ん中の半分は4,800万円〜8,000万円に入ります。土地は1平方メートルあたりの中央値が49万円、成約は623件でした。
ただし、この数字を自分の家に当てはめるのは早いです。地区でかなり違います。
戸建ての成約が多いのは、大泉学園町・西大泉・大泉町・石神井台・南大泉の順でした。一方、戸建ての中央値がいちばん高い地区は石神井町で、低い地区は大泉町です。土地の1平方メートルあたりの単価も、石神井町が高く、大泉学園町が低く出ています。
取引が多い地区と、値が高い地区は同じではありません。「練馬区の相場」でまとめて見ると、自分の家の位置を読み違えます。
用途地域でも同じことが起きています。戸建ての中央値がいちばん高い用途地域は商業地域、いちばん低いのは第1種低層住居専用地域でした。ところが取引がいちばん多い用途地域は、その第1種低層住居専用地域です。
件数の多い層が、区全体の数字を作っています。自分の土地がどの用途地域にあるかは、査定を頼む前に調べておいてください。用途地域と土地の形が価格をどう動かすかは土地の形と用途地域で、価格はどう変わるかで確認できます。
助成の線引きと重ねると、練馬区は住所で二重に決まる区だと分かります。値段の位置も、使える制度も。
築年数の段差は、戸建てとマンションで来る場所が違う
戸建ての落ち方は急です。築10年以内に比べて、築46年以上の中央値は半分以下になります。いちばん大きく下がるのは、築31〜45年から築46年以上に移るところでした。
ここで制度と重なります。区の除却助成が対象にする旧耐震の住宅は、2026年の時点で築45年を超える年代です。市場でいちばん値が落ちる境目の、ちょうど向こう側にあります。
助成が用意されている築年と、価格が一段下がる築年は同じ場所にある。解体を考える人が多い層だということでもあります。
直近1年の戸建ての中央値は、その前の1年に比べてほぼ横ばいでした。急いで売る材料も、待てば上がるという材料も、戸建てには見当たりません。
中古マンションは動きが違います。直近1年の中央値は、その前の1年に比べてやや上がっています。築年数による下がり方も戸建てほど急ではなく、築10年以内に比べて築46年以上で3割ほどです。
ただし段差が来る場所が早い。いちばん大きく下がるのは、築21〜30年から築31〜45年に移るところでした。築20年台の後半にある住戸なら、段差を越える前かどうかは確かめる価値があります。
改装についても数字が出ています。練馬区では改装済みのマンションの中央値が未改装より高く出ました。
ただし、かけた改装費をそのまま価格に上乗せできるとは限りません。中央値が高いことと、費用を回収できることは別の話です。
間取りは3LDKがいちばん多く、次が1Kでした。成約が多い地区は豊玉北・中村北・関町北・貫井・北町の順です。
そして分譲マンションの一室なら、選べる道は三つに減ります。売る、貸す、持ち続けるです。区分所有の住戸を自分だけ壊すことはできず、除却助成も関係しません。
誰も住んでいないあいだも、管理費と修繕積立金は出続けます。進め方は中古マンションを売る。戸建てと違う準備と進め方にまとめています。
貸すことを考えるなら、区の枠は「地域貢献事業」
練馬区には、一般の売買・賃貸をマッチングする空き家バンクはありません。区の枠組みは「練馬区空き家地域貢献事業」です。
窓口は練馬区環境まちづくり公社 みどりのまちづくりセンターです。建築士等アドバイザーの派遣、改修工事などの初期整備費用の補助といった内容があります。登録にも補助にも要件があり、事前相談が必須です。
要件の詳細と補助の上限額は、区の公開情報では確認できませんでした。金額を織り込んで段取りを組む前に、センターへ相談してください。
名前のとおり地域への貢献を前提にした事業です。普通に人へ貸したいだけの場合に当てはまるとは限りません。
貸すか売るかで迷っているなら、収支の見方は家を売るか貸すか。判断の分かれ目と貸した場合の収支で確認できます。
相談先はもう一つあります。区は平成29年8月23日に、空家等対策に関する協定を結びました。
相手は信用金庫(巣鴨・東京・西京など)、土地家屋調査士会、司法書士会、行政書士会、不動産業協会、建築士事務所協会です。相談窓口の設置、金融商品の開発、専門家の派遣などが協定の内容にあります。
区は「空き家なんでも相談会」も定期的に開いています。無料・予約制のワンストップ相談です。
名義のこと、税のこと、業者選びをまとめて聞きたいなら、ここが早い。予約と日程は環境部 環境課 空き家等対策係(03-5984-1192)へ。
売る・貸す・壊す・持ち続ける。練馬区での決め方
どれから手をつけるか迷うなら、次の順で確かめてください。
まず名義。 登記事項証明書で今の名義と権利関係を確認します。共有になっていれば、売るのも壊すのも全員の合意が要ります。ここが未確定だと、あとの検討はすべて仮の話になります。
次に現況のままの査定。 練馬区は中古マンションと戸建ての取引が多く、比べられる事例はあります。片付けや解体に金をかける前の値段を先に知ってください。相続した空き家を売るなら、譲渡所得から3,000万円を差し引ける特例があります。要件は細かいので相続した空き家を売る。譲渡所得から3,000万円を引ける制度で確認してください。
壊すのはいちばん後。 更地に戻す判断はやり直しがききません。先に実施地区に入るかを防災まちづくり課で確かめ、使えるなら助成率4分の3・上限150万円(空家等活用促進地区内の住宅Eは200万円)で見込みを立てます。そのうえで、契約と着工の前に区へ電話する。
貸す道は事前相談から。 みどりのまちづくりセンターに、家の状態と場所を伝えて聞くところから始まります。要件に合わないと分かれば、売る側の検討に早く戻れます。
持ち続けるなら、費用が出続ける前提で。 マンションなら管理費と修繕積立金、戸建てなら庭と建物の管理です。判断を先延ばしにするほど、支払いだけが積み上がります。
制度は年度で内容が変わります。この記事は2026年8月時点の練馬区の公開情報にもとづくものです。次の点は公開情報では確認できませんでした。
除却助成の令和8年度の受付状況・締切・予算枠、地域貢献事業の補助の上限額、不燃化特区の指定の有無です。動き出す前に、区の窓口で最新の内容を確かめてください。
解体の助成は都市整備部 防災まちづくり課(03-5984-1938)です。空き家全般の相談は環境部 環境課 空き家等対策係(03-5984-1192)が受け付けています。
見本(愛知県豊橋市の戸建ての例)
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練馬区で売るなら、いくらくらいか
練馬区で実際に売れた取引と比べて、土地と建物を分けて計算します。比べた取引も、掛けた数字も、全部レポートに載せます。