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空き家を、壊すか貸すか売るか

家を売るか貸すか。判断の分かれ目と貸した場合の収支【建築士監修】

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結論から

家を売るか貸すか迷ったら、先に「売るならいくら」「貸すならいくら」の両方の数字を出して並べます。売却は一度きりの現金化、賃貸は継続収入と引き換えに維持・修繕の責任が続きます。数字と自分の事情の両面で、急がず選んで大丈夫です。

「売る」と「貸す」は、そもそも何が違うのか

家を手放すか迷っているなら、「売る」のほかに「貸す」道もあります。両者は、お金の入り方も、その後の責任も、まったく別ものです。

  • 売る: 一度きりの現金化。まとまったお金が入り、そのあとの管理・修繕・税金からは解放されます。相続や住み替え、離婚などで「区切りをつけたい」ときに向きます。
  • 貸す: 家を持ち続けたまま、毎月の家賃収入を得る。ただし建物は自分のもののままなので、修繕・空室・入居者対応といった「貸主としての責任」が続きます。

どちらが正解ということはありません。大事なのは、片方だけを見て決めないことです。

「売るならいくら」と「貸すならいくら」の両方の数字を並べて、はじめて比較になります。

5つの判断軸で確かめる

感覚だけで決めると、あとで「なぜそちらを選んだのか」が自分でもわからなくなります。次の5つを、順番に確かめてみてください。

どれか1つだけで結論が出るものではなく、いくつかが重なったところに答えが見えてきます。焦らず確かめてください。

  • 将来その家に住む予定があるか: 子が戻ってくる可能性、自分がいずれ戻る可能性を考えてみてください。その可能性があるなら、今すぐ手放さず貸すという選択肢が現実的です。予定がまったくないなら、持ち続ける理由も薄くなります。
  • 建物が人に貸せる状態か: 水回り、給湯器、雨漏りの跡、シロアリの被害、耐震性。これらは、貸すと決める前に確認しておきたい項目です。修繕費が大きくかかりそうな状態なら、貸してから直すより、今の状態で売るほうが負担が軽いこともあります。
  • 管理の手間を負えるか: 近くに住んでいれば自分で見に行けますが、遠方であれば管理会社への委託が現実的です。委託すれば手間は減りますが、その分手取りは減ります。
  • 相続人が複数いるか: 相続した家を共有のまま貸すとします。家賃の分け方や修繕の判断を、そのつど共有者どうしで合意する必要が出てきます。人数が多いほど話がまとまりにくく、売って現金で分けるほうが単純なケースもあります。共有名義のまま進める場合は、考え方を先に知っておくと安心です。くわしくは共有持分だけを売る。相続・離婚で起こる共有と、売り方の選択肢にまとめています。
  • 住宅ローンが残っていないか: 住宅ローンは自宅として使うことを前提にした借り入れであることが一般的です。残ったまま賃貸に出すと、契約違反にあたる場合があります。実際の扱いは金融機関によって異なるため、貸すことを考え始めた段階で確認が必要です。返済自体が苦しい場合の考え方は住宅ローンの返済が苦しいとき、家を売る前に知っておくことで扱っています。
古い戸建ての洗面台と浴室
水回りの入れ替えは費用が大きい割に、売値には返ってきにくい工事です。壊れているかどうかで判断が変わります。

貸すのが向いているケース・売るのが向いているケース

向き・不向きの目安

貸すのが向きやすい

  • 立地がよく、借り手が見込める(駅近・生活利便・学区など)
  • まとまった現金は今すぐ要らず、当面は資産として持っておきたい
  • いずれ戻る・子に残すなど、手放したくない事情がある

売るのが向きやすい

  • まとまった現金が必要(住み替え資金・相続人での分割・返済など)
  • 空室や家賃滞納、修繕対応といった手間・リスクを負いたくない
  • 建物の老朽化が進み、貸すには相応の修繕費がかかる

多くの人がここで迷います。相続した実家や、住み替えで空く家は、この分岐に立つ典型です。相続の進め方は相続した実家を売る、進め方にまとめています。

相続した実家に絞って考えたい場合は、別に判断材料があります。相続した実家、貸すか売るか。判断の分かれ目と収支の見方にも整理しています。実家特有の論点です。

お金の見え方の違い

売ると貸すでは、お金の入り方がまったく違います。

  • 売る: 一度にまとまったお金が入ります。そのあとは固定資産税も、管理も、修繕の心配も終わります。
  • 貸す: 毎月の収入になりますが、家賃がそのまま手取りになるわけではありません。管理会社への委託手数料、修繕・設備更新の費用、空室になっている期間の家賃ゼロ、退去後の原状回復費用がかかります。確定申告の手間も発生します。固定資産税・都市計画税も、貸している間ずっと所有者が払い続けます。

手取りは、家賃からこれらを引いた残りです。

ずれの理由は単純です。ここを見落として「家賃×12か月」で考えると、実際の収支と大きくずれます。想定家賃そのものは、無料の賃料査定で確かめられます。

時間の視点:家は貸している間も古くなる

見落とされやすいのが、時間の経過です。貸している間も、建物は年をとります。待ってはくれません。

「今は貸して、いずれ売る」と考えている場合、10年貸してから売ろうとするとします。そのときの建物はさらに10年古くなっています。

このサイトで集めている取引データでも、傾向は同じです。全国379市区町村の戸建てについて、市区町村ごとの真ん中の値段を並べ、その真ん中をとりました。

築11〜20年が2,900万円、築21〜30年が2,400万円です。築31〜45年は1,900万円、築46年以上は1,100万円まで下がります(築20年の家はいくらで売れるか)。

出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ(不動産取引価格情報)を家売却ラボが集計

「いつか売る」という選択そのものが間違っているわけではありません。ただし、いつ売るかによって、手元に残る金額は変わります。貸すことを選ぶなら、この先何年貸して、いつを出口にするかまで、はじめに考えておくと、あとで判断に迷いにくくなります。

建築士の視点:貸すと「設備の責任」が続く

建築士の視点

売れば建物の責任からは離れますが、貸すと「貸主としての修繕義務」が続きます。雨漏り、給排水設備の不具合、シロアリなど、住まいとして機能を保つための修繕は、原則として貸主の負担です。入居後にこれらが出ると、家賃収入から持ち出しになります。

もうひとつ見落とされやすいのが、設備の残り寿命です。給湯器・エアコン・水回りといった設備は、築年数が経つほど壊れやすくなります。入居中に故障して交換となると、空室のときより費用も手間もかかります。

工務店を経営してきた実感として、これらの設備は築15〜20年を超えたあたりから更新時期が重なりやすくなります。ここが重なると、負担も重なります。

築年数が古く、設備がすでに寿命に近い状態であれば、貸して収入を得るつもりが、修繕費で持ち出しになることもあります。貸すと決める前に、それぞれの設備があとどれくらい持ちそうかを、一度見ておいてください。逆に、内装の古さだけであれば、大きく手を入れずに貸せるケースも多くあります。

やらないほうがいいこと

決めるのを先延ばしにしたり、確認を飛ばしたりすると、あとで困る場面が出てきます。次のことは避けてください。

  • 住宅ローンの契約を確認せず貸す: 契約違反にあたる場合があります。貸すと決める前に、必ず金融機関へ確認してください。
  • 共有名義のまま、片方の判断だけで貸す: 相続や離婚で共有になっている家を、共有者の同意なしに貸すとします。あとで揉める原因です。
  • 修繕せずに貸して、入居後にトラブルになる: 水回りや給湯器の不具合は、貸したあとに発覚することがあります。その場合、入居者との関係や追加費用の面で、事前に直すよりも負担が大きくなりがちです。
  • 「とりあえず空き家のまま置く」: 決めきれないからと先延ばしにしている間も、建物の傷みは進みます。傷みが進むほど、売るにも貸すにも条件が悪くなり、どちらの選択肢も不利になっていきます。

貸す実務には、そのまま貸す・リフォームして貸す・サブリースといった違いがあります。費用の内訳を含めた詳細は、空き家を貸す方法と費用にまとめています。貸すと決めたあとは、そちらを読み進めてください。

貸すと、売るときの特例が使えなくなることがある

見落とされやすいのが税金です。貸すか売るかで、売ったときに手元へ残る金額が変わることがあります。ここも軽視できません。

相続した空き家を売るときには、譲渡所得から一定額を差し引ける特別控除があります。この控除は、相続してから売るまでの間に、その家を人に貸していないことが条件のひとつです。つまり「とりあえず数年貸して、あとで売る」と決めた時点で、この控除は使えなくなります。

空き家のまま置いたか、貸したかで、売却後に払う税額が変わるということです。制度の中身は相続した空き家を売るときの特別控除にまとめています。

自分が住んでいた家の場合は、扱いが違います。マイホームを売ったときの特別控除は、住まなくなったあと一定の期限内に売れば、その間に人へ貸していても使えます。

ただし期限を過ぎると対象外です。転勤などで一度貸して、あとで売るつもりなら、この期限を最初に確かめておいてください(マイホーム売却の特別控除)。

どちらの特例も要件が細かく、個々の事情で結論が変わります。貸すことを考え始めた段階で、税務署か税理士に「貸したら特例はどうなるか」を確認してください。一度貸したあとで、貸さなかったことにはできません。

貸すときの契約の型で、あとから戻れるかが決まる

ここは要注意です。家を貸すときの契約には、大きく分けて2つの型があります。この違いを知らずに貸すと、「いずれ戻る」「いずれ売る」という予定が崩れます。

一般的なのは普通借家契約です。期間を決めて結びますが、借主が住み続けたいと言えば、原則として更新されます。貸主の側から契約を終わらせるには、正当な事由が必要です。

「自分が戻りたいから」「売りたいから」というだけでは、通らないことがあります。出ていってもらうために、話し合いや立退料が必要になる場合もあります。

もうひとつが定期借家契約です。決めた期間が来たら契約が終わり、更新はありません。転勤の間だけ貸す、数年後には売ると決めている、という場合はこちらが合います。

ただし結び方に決まりがあります。書面で契約し、そのうえで「更新がない契約だ」と事前に書面で説明する必要があります。この手順を外すと、普通借家契約として扱われることがあります。

定期借家にも弱点はあります。借主から見れば、期限が来たら出ていく前提の家です。

そのぶん借り手が限られたり、家賃が下がったりすることがあります。長く安定した収入という点では、普通借家のほうが有利に働く場面もあります。

決める順番は単純です。先に「この家を、いつ、どうしたいか」を決めてください。戻る予定や売る予定があるなら定期借家、当面は手放さず収入を優先するなら普通借家、という並びになります。

どちらで貸すかは、募集を始める前に不動産会社へ伝えてください。契約を結んだあとで普通借家から定期借家に切り替えることは、借主の同意なしにはできません。

転勤で一時的に空く場合は、考え方が別にあります。くわしくは転勤で家が空くとき。売る・貸す・管理する、の選び方にまとめています。貸す実務の流れは空き家を貸す方法と費用で扱っています。

家賃にかかる税金まで引いて、はじめて手取りになる

申告は義務です。家を貸すと、家賃は不動産所得になります。

会社員でも、毎年の確定申告が必要です。ここを入れずに収支を見ると、手元に残る額を多めに見積もることになります。

税金は家賃の全額にかかるわけではありません。かかった費用を差し引いた残りが所得です。差し引けるものには、たとえば次があります。

  • 管理会社に払う委託手数料
  • 修繕費や設備の交換費用
  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険料
  • 建物の価値の目減り分(減価償却費)

この所得は、給与や年金など他の収入と合わせて税額が決まります。同じ家賃でも、人によって残る額は変わります。

「家賃が入れば、その分そのまま増える」とは考えないでください。住民税の計算にも入ります。

見る順番はこうなります。家賃×12か月から、空室になる期間を引く。そこから上の費用を引く。

最後に税を引く。残った額が、1年で手元に増えるお金です。これを貸すつもりの年数だけ積み上げて、売った場合に一度で入る金額と並べてください。

売ったときの税は、これとは別の仕組みです。毎年ではなく、売った年に一度だけ計算されます(不動産売却の譲渡所得税)。

何が費用として認められるかは、建物の状態や貸し方で変わります。迷う部分は、貸し始める前に税務署か税理士へ確認してください。

申告を始めてから直すより、先に聞くほうが手間がかかりません。貸すときにかかる費用そのものの内訳は空き家を貸す方法と費用にまとめています。

売る・貸す・空き家のまま置くを、同じ物差しで比べる

ここまで見てきた違いを、同じ物差しで並べます。貸す場合は、契約の型で出口が変わるため2つに分けました。

選択肢お金の入り方続く責任・手間あとで売る・戻れるか向いている人
今の状態で売る一度にまとまった現金が入る固定資産税・管理・修繕から離れられる戻れない。手放して終わりまとまった現金が必要な人。手間やリスクを負いたくない人
貸す(普通借家)毎月の家賃。費用と税を引いた残りが手取り修繕義務が続く。毎年の確定申告も要る貸主の都合では終わらせにくい。立退料が要る場合も当面は手放さず、収入を長く得たい人
貸す(定期借家)同じく家賃。借り手が限られ、家賃が下がることも修繕義務・確定申告は普通借家と同じ期間が来たら終わる。戻る・売るに移れる転勤の間だけ貸す人。売る時期を決めている人
空き家のまま置く収入はない。固定資産税は払い続ける傷みが進み、売るにも貸すにも不利になる選べるが、遅れるほど条件は悪くなる—(先延ばしはどちらの条件も悪くする)

貸すなら、何年貸していつ売るかまで決めてから選んでください。先ほどの全国の戸建ての数字でいうと、築21〜30年は2,400万円、築31〜45年は1,900万円です。

築25年の家を10年貸せば、売るときは築35年です。数字の上では、1つ下の段に入ります。

出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ(不動産取引価格情報)を家売却ラボが集計

決められないときは、両方の数字をそろえる

ここは慌てなくて大丈夫です。売るか貸すか、気持ちだけでは決めきれないことのほうが多いはずです。そういうときは、次の順番で数字をそろえてください。

  1. 売るならいくら: 近所で実際に売れた値段は、国土交通省の不動産情報ライブラリで調べられます。国が公開している成約価格です。そのうえで無料査定で複数社の実額を比べます。
  2. 貸すならいくら: 想定家賃は賃料査定で無料に調べられます。

数字を見ずに、気持ちだけで決めないことが大事です。売却の査定と賃料の見込みを、両方そろえてから比べれば、判断の材料は揃います。どちらの査定も、依頼したから売る・貸すを決めなければいけないわけではありません。

まずは数字を知るところから始めて大丈夫です。急いで結論を出す必要はありません。

見本(愛知県豊橋市の戸建ての例) 見本: 値段の目安レポートの表紙。目安の幅と、土地・建物それぞれの値段が載っている 見本: 土地の計算のページ。㎡単価・広さ・補正率を掛けた式が載っている

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売ると決める前に、いくらくらいか見ておく

近くで実際に売れた取引と比べて、土地と建物を分けて計算します。比べた取引も、掛けた数字も、全部レポートに載せます。

レポートを作ると、このアドレスにリンクが届きます。届くのはそのメール1通です。無料です。名前・電話番号・番地は聞きません。

あわせて、資料「空き家の三択 売る・貸す・持ち続ける」(PDF・18ページ)も、このアドレスにお送りします。

よくある質問

家は売るのと貸すの、どちらが得ですか?

一概には決まりません。まとまった現金が要る、維持の手間や空室リスクを負いたくないなら売却です。当面は手放したくない、立地がよく借り手が見込めるなら賃貸が向きます。損得はケースで変わるため、「売るならいくら」「貸すならいくら」の両方を数字で出して比べるのが確実です。

住宅ローンが残っている家を貸すことはできますか?

住宅ローンは、自宅として使う前提の借り入れであることが一般的です。返済が残ったまま賃貸に出すと、契約違反にあたる場合があります。実際の扱いは金融機関や契約内容によって異なるため、貸すことを考え始めた段階で、まず借入先の金融機関に確認してください。返済自体が苦しい場合は、貸すより先に売却も含めて検討する必要があります。

相続人が複数いる場合、貸すという選択は難しいですか?

難しくなりやすいです。家賃を誰がどう分けるか、修繕やリフォームの判断を誰がするかなど、共有のまま貸すと継続的な取り決めが必要になります。合意に時間がかかる、一人でも反対がいる。そんな場合は、現金で分けやすい売却のほうが話がまとまりやすいこともあります。

貸したあとに、やっぱり売りたくなったら売れますか?

売れます。入居者がいる状態のまま「オーナーチェンジ」として売る方法と、契約の区切りで空室にしてから売る方法があります。ただし入居中は、買い手が限られたり、価格が下がったりする場合があります。将来の出口も最初に考えておくと、選択肢が広く残ります。

参照した情報源

  1. 国土交通省 不動産情報ライブラリ(実際の成約価格・地価)(国土交通省)・確認日 2026-07-16
  2. 総務省統計局 住宅・土地統計調査(空き家・賃貸住宅ストック)(総務省統計局)・確認日 2026-07-16
  3. 国税庁 タックスアンサー No.1370 不動産収入を有する場合(不動産所得)(国税庁)・確認日 2026-07-16

本記事は下書きにAIを活用し、出典との照合・建築士監修を経て公開しています。

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