空き家を、壊すか貸すか売るか
中央区の空き家、解体補助金は? 5分の4・上限150万円。区の用地買取が前提
編集部
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結論から 中央区で空き家の除却に使える区の補助は、密集街区環境改善まちづくり事業の建物除却補助です。除却費用の5分の4・上限150万円ですが、区が土地を買い取ることが前提の制度で、対象は再建築が難しい無接道敷地等のうち、老朽空き家(1年以上不使用・旧耐震木造)がある土地に限られます。一般の戸建て向けの除却補助はありません。区の耐震助成で除却が対象になるのは特定緊急輸送道路沿道建築物だけです。中央区に空き家バンクはなく、区は空家等管理活用支援法人の指定を行わないと明記しています。申請と契約の前後関係は公表資料で確認できなかったため、解体業者と契約する前に窓口へ確認してください(2026年8月時点)。
東京都中央区で空き家を持っているなら、最初に確かめることがあります。区の除却補助が、土地を手放す話とセットになっている点です。
一般の戸建て向けの解体補助は、中央区にはありません。使えるのは、区が土地を買い取ることを前提にした制度だけです。
この記事は中央区の制度と、中央区の実成約データに絞って書きます。制度の内容は2026年8月時点のものです。
中央区の除却補助は、区に土地を売ることとセットになっている
区の制度は、密集街区環境改善まちづくり事業の建物除却補助です。補助率は除却費用の5分の4、上限は150万円です。
金額だけ見れば手厚い制度です。ただ、解体費を助けるためだけのものではありません。
対象になるのは、再建築が難しい無接道敷地等のうち、老朽空き家がある土地です。老朽空き家の中身は、1年以上使われていない旧耐震の木造建築物と定められています。
そのうえで、区が土地を買い取ることが前提になります。ここが中央区の特徴です。
つまり、壊して更地にして自分で売るためのお金ではありません。土地を区に渡す道の、途中にある補助です。
要件はほかにもあります。土地所有者等として本事業を利用すること。敷地内の建築物と工作物を、すべて除却すること。
施工は東京都登録の解体業者、または建設業許可業者である必要があります。近所の付き合いで頼んだ業者が該当しないと、そこで話が止まります。
国・都・区の同種の補助をすでに受けているときは、その分が控除されます。二重には出ません。
窓口は地域整備課 まちづくり推進担当(03-3546-5474)です。相談の申し込みは03-3546-5773で受け付けています。
なお、宅地建物取引業者が対象から除かれるかどうかと、令和8年度の予算の上限・件数の枠は、公表資料では確認できませんでした。窓口で確かめてください。
無接道の土地そのものの売り方は、再建築不可物件を売る。接道義務・価格が下がる理由・売り方にまとめています。
順番を間違えると使えない。解体業者より先に区へ相談する
補助を使うつもりなら、動く順番が大事です。多くの補助制度は、交付決定より前に契約や着工をすると対象外になります。
中央区のこの制度について、申請と契約の前後関係は公表資料の本文で確認できませんでした。だからこそ、契約の前に窓口へ聞いてください。ここを飛ばすと、あとから取り返せません。
中央区の場合は、もう一段手前に順番があります。土地の買取が前提の制度なので、区との土地の話が先に立ちます。
解体の見積もりを集めることから始めると、順番が逆になります。まず相談。それから業者です。
区は相談会を開いています。開催は令和8年5月から令和9年3月まで、複数回です。会場は本庁舎と、日本橋特別出張所・月島特別出張所です。
見積もりは複数社から取ってください。解体の費用は建物の構造で変わります。現場まで重機が入る道があるかどうかでも、金額と工期は動きます。
中央区の実成約データでは、前面道路の幅で戸建ての中央値に差が出ています。集計に出ている区分は6m以上と4m未満です。道の広さは、解体の段取りと売却の条件の両方に影響してきます。
中央区には解体工事の事前周知に関する指導要綱もあります。近隣への説明と標識の設置が求められます。密集した区域では、この手続きが工期に影響します。
費用の決まり方と業者の選び方は、空き家・古家の解体費用は何で決まる?で確認してください。
庭木と雑草は、放っておくと近隣からの苦情になります。空き家の管理で、いちばん先に問題になる場所です。
一般の戸建てに除却補助は無い。耐震助成の中身を見ておく
区の耐震助成に除却の枠を期待しても、中央区では見つかりません。
木造建築物の助成概要に載っているのは3つです。耐震診断・補強計画、耐震補強工事、簡易補強工事。除却は含まれていません。
除却の助成があるのは、特定緊急輸送道路の沿道建築物に限られます。助成率は工事費用の30分の11から60分の11です。
自分の建物が沿道の指定に当たるかは、住所で決まります。心当たりがあるなら、建築課 耐震化推進係(03-3546-5459)に住所を伝えて聞くのが早いです。
ここから分かることは単純です。中央区で普通の空き家を壊すなら、区の補助を待つ前提では計画が立ちません。
税金の面では、被相続人居住用家屋等確認書の交付を区が行っています。
相続した空き家を売るとき、譲渡所得から3,000万円を差し引ける特例があります。この確認書は、その特例を使うために必要になる書類です。
要件は細かく、対象から外れる場合もあります。制度の中身は相続した空き家を売る。譲渡所得から3,000万円を引ける制度で確認してください。
空き家バンクは無い。区は支援法人の指定もしないと書いている
中央区に空き家バンクはありません。区の公式サイトには、その理由まで書かれています。
「社会問題化している居住実態のない空き家が少ないことから、空家等管理活用支援法人の指定は行わない」。区はこう明記しています。
登録して借り手を待つ公的な受け皿は、中央区には無いということです。
この方針は、市場の形と合っています。中央区で取引がいちばん多いのは中古マンションです。次が戸建てで、いちばん少ないのが土地でした。
マンション中心の市場です。そして分譲マンションの一室は区分所有で、自分の判断では壊せません。
ここまで書いた除却補助は、マンションの空き家には関係しません。残るのは、売るか、貸すか、持ち続けるかです。
マンションの築年の落ち方は、はっきりしています。築46年以上の中央値は、築10年以内の3分の1以下です。
落差がいちばん大きいのは、築21〜30年から築31〜45年に移るところでした。
直近1年の中古マンションの中央値は、その前の1年に比べてはっきり上がりました。相場が上がっていても、建物は毎年その段差に近づきます。
間取りは2LDKがいちばん多く、次が1LDKでした。比べられる事例が多い層です。査定の根拠を確かめやすくなります。
改装済みのマンションの中央値は、未改装より高く出ています。ただし、かけた改装費をそのまま価格に上乗せできるとは限りません。売る前に直すか迷うなら、現況のままの価格と直した場合の価格を両方聞いてから決めてください。
マンションの成約が多い地区は、多い順に晴海、勝どき、日本橋浜町、月島、佃でした。
戸建ては地区で水準が違う。銀座と月島を同じ物差しで見ない
戸建ての数字は、マンションと別の動きをしています。築46年以上の中央値は、築10年以内より3割ほど低い水準です。
落ち幅がいちばん大きいのは、築10年以内から築31〜45年に移るところでした。
地区の差は、築年の差より大きく出ています。成約が多いのは、多い順に月島、銀座、佃、日本橋人形町、築地です。
中央値が高いのは銀座、低いのは月島でした。同じ中央区でも、地区で水準がまるで違います。
だから「中央区の相場」という言い方は、判断の役に立ちません。見るべきは自分の土地がある地区の数字です。
用途地域にも偏りがあります。戸建ての中央値がいちばん高いのは商業地域、いちばん低いのは第2種住居地域でした。
取引がいちばん多い用途地域も商業地域です。価格の上位と取引の厚みが、同じ地域に重なっています。
中央区全体では、戸建ての成約価格の中央値は33,500万円です。成約は196件で、真ん中の半分は16,000万円〜86,000万円に入ります。
幅が広く、1件ごとの条件で値段が動く市場です。
土地は1平方メートルあたりの中央値が265万円、成約は36件です。
直近1年の戸建ての中央値は、その前の1年に比べてやや下がりました。中古マンションが上がっている一方で、戸建てはそうなっていません。
戸建てを持っているなら、マンションの値上がりの話をそのまま自分に当てはめないでください。
中央区での決め方。名義、現況の査定、そのあとに解体
迷っているなら、この順で確かめてください。
まず名義。 登記事項証明書で、名義と権利関係を確認します。共有になっていれば、売るのも壊すのも全員の合意が要ります。相続登記が済んでいないなら、そこが先です。
次に、古家付きのままの査定。 手を加える前の値段を先に知ってください。中央区は中古マンションと戸建ての取引に厚みがあり、比べられる事例があります。
貸す道は、民間で組み立てる。 区に空き家バンクはなく、支援法人の指定も行われません。売るか貸すかの比べ方は、家を売るか貸すか。判断の分かれ目と貸した場合の収支にまとめています。
壊すのは、いちばん後。 中央区は土地の取引がいちばん少ない区分です。更地にしたあとの出口は厚くありません。
更地に戻すとやり直しがきかず、住宅用地の特例が外れて土地の税負担が変わることもあります。古家付きのまま売る道と比べてから決めてください。判断の材料は更地で売るか、古家付き土地のまま売るかにあります。
区の除却補助に乗るなら、それは「売る」の検討です。 土地の買取が前提の制度だからです。壊す話としてではなく、区に売る話として、他の売り方と並べて比べてください。
持ち続けるなら、費用が出続ける前提で。 管理の手間と固定資産税は毎年かかります。旧耐震の木造なら、傷みは進みます。
この記事の制度の内容は、2026年8月時点の中央区の公開情報にもとづきます。宅地建物取引業者が除却補助の対象から除かれるかどうか、令和8年度の予算の上限と件数の枠は確認できませんでした。動き出す前に、次の窓口で最新の内容を確かめてください。
- 空き家全般・住宅の相談: 都市整備部 住宅課 計画指導係 03-3546-5466
- 密集街区環境改善まちづくり事業(除却補助・土地買取): 地域整備課 まちづくり推進担当 03-3546-5474/相談申込 03-3546-5773
- 耐震助成・特定緊急輸送道路沿道建築物の除却助成: 建築課 耐震化推進係 03-3546-5459