空き家を、壊すか貸すか売るか
大阪市の空き家、解体補助金は? 重点対策地区なら4/5・上限170万円
編集部
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結論から 大阪市の解体・除却の補助は3本に分かれます。民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助制度の耐震除却工事は補助率3分の1・1戸あたり70万円(1棟あたり140万円)で、昭和56年5月31日以前に建てられ、耐震診断で耐震性不足と判定された民間住宅が対象です。狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度は地区限定で、対策地区が2分の1以内・上限105万円/戸(戸建)、重点対策地区が5分の4以内・上限170万円/戸(戸建)です。防災空地活用型除却費補助制度は重点対策地区のみで、更地を3年以上無償で地域に貸す契約が要ります。空き家専用の補助は解体ではなく空家利活用改修補助事業のほうにあり、耐震改修工事が50%・上限115万円です。いずれも2026年8月時点の内容で、申請締切は12月28日(改修工事は12月15日)。動く前に大阪市住宅供給公社(06-6882-7053)へ確認してください。
大阪市の空き家をどうするか。決める前に、その家の住所と建てた年を手元に置いてください。
大阪市の解体・除却の補助は3本あります。そのうち2本は、密集市街地の対策地区に入っているかどうかで対象が分かれます。どこに建っているかが、そのまま補助の有無になります。
この記事は大阪市の制度と、24区の実成約データだけで書きます。内容は2026年8月時点のものです。
大阪市の解体補助は3本。年代と、面している道路の幅で分かれる
1本目は、民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助制度のうち耐震除却工事です。市内の民間住宅が対象で、市内全域で使えます。
補助率は3分の1、上限は1戸あたり70万円、1棟あたり140万円です。空き家専用ではないので、人が住んでいる家でも使えます。
要件は4つあります。昭和56年5月31日以前の建築であること、耐震診断で耐震性が不足と判定されていること。それに加えて、過去に市の耐震改修補助を受けていないこと、市税等の滞納がないことです。
ここで見落としやすいのが2つめです。入口は解体の見積もりではなく、耐震診断のほうにあります。診断を受けていない家は、まずそこから始まります。
2本目は狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度です。こちらは建物の状態ではなく、面している道路と地区で決まります。
対策地区は、幅員4m未満の道路に面する昭和25年以前建築の木造住宅が対象です。補助率は2分の1以内、上限は戸建で105万円/戸、集合住宅で80万円/戸となっています。
重点対策地区はもう一段厚くなります。対象は幅員6m未満の道路に面する昭和56年5月31日以前建築の木造住宅です。
補助率は5分の4以内で、上限は戸建が170万円/戸、集合住宅が125万円/戸。一部のエリアは3分の2以内・上限100万円/棟、200万円/棟です。
3本目は防災空地活用型除却費補助制度で、重点対策地区だけの制度です。解体費が5分の4補助(一部3分の2)、上限170万円/戸。
一部エリアは100万円/棟で、集合住宅は125万円/戸、一部200万円/棟です。空地の整備費にも3分の2・上限160万円の枠があります。
ただし、この3本目には重い条件がつきます。土地の所有者が3年以上の無償使用貸借契約を結び、地域住民や市と管理協定を結ぶことです。
つまり壊したあとの土地を、3年以上ただで地域に貸す形になります。敷地50㎡以上、昭和56年5月31日以前の木造住宅、幅員6m未満の道路に面すること。売却を予定しているなら、この制度は合いません。
自分の家が対策地区か重点対策地区に入っているかは、地図を眺めても分かりません。耐震除却と狭あい道路沿道の受付は大阪市住宅供給公社(06-6882-7053)です。
防災空地活用型は都市整備局 住環境整備課 密集市街地整備グループ(06-6208-9233)が担当します。住所と建築年を伝えて確かめてください。
締切は12月28日。狭あい道路の制度は着工の40日以上前に出す
耐震除却工事の令和8年度の申請締切は12月28日(月)です。工事の完了期限については、公式ページでは確認できませんでした。
狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度は、受付が4月1日から12月28日まで。そのうえで、工事着手の40日以上前に申請するという条件がついています。
これは実務で影響してきます。12月28日に受け付けてもらえたとしても、着手できるのはそこから40日以上あとです。年内に壊してしまいたいなら、秋のうちに見積もりと業者選びを終えておく必要があります。
庭木と雑草は、放っておくと近隣からの苦情になります。空き家の管理で、いちばん先に問題になる場所です。
もうひとつ、契約の順番に注意してください。交付決定より前に契約や着工をすると対象外になる制度は少なくありません。大阪市の各制度で申請と契約の前後をどう扱うかは、公式ページの本文では読み取れませんでした。
だから、判を押す前に電話を1本入れてください。見積もりを取る行為そのものは、ふつう制限されません。危ないのは、話の流れでその場で契約書に署名してしまう場面です。
見積もりは複数社から取ってください。解体の費用は建物の構造で変わります。
大阪市の補助の対象になる家は、そもそも幅の狭い道路に面しています。重機やダンプが入らなければ手壊しの割合が増え、金額も工期も動きます。
費用の決まり方と業者の選び方は空き家・古家の解体費用は何で決まる?にまとめました。
確認できなかったことも書いておきます。令和8年度の予算の上限と件数の枠は、どの制度の公式ページにも書かれていませんでした。
宅地建物取引業者を除く規定の有無も同じです。年度の途中で受付が終わることもあります。
空き家専用の補助は、壊すほうではなく直すほうにある
ここまでの3本は、どれも空き家専用の制度ではありません。大阪市で空き家であることが要件になっている補助は、空家利活用改修補助事業のほうです。
対象は平成12年5月31日以前に建てられた戸建・長屋。3か月以上空家であり、かつ不動産市場に流通していないことが条件になっています。
住宅再生型の枠は段階に分かれています。インスペクションが50%・上限3万円、耐震診断が11分の10・上限5万円/戸(20万円/棟)。
耐震改修設計は3分の2・上限10万円/戸(18万円/棟)です。工事の枠は耐震改修工事が50%・上限115万円、性能向上改修工事が50%・上限75万円になります。
地域まちづくり活用型になると、地域まちづくり改修工事の枠が加わります。50%・上限300万円です。
注意したいのが「不動産市場に流通していない」という要件です。売りに出しながら改修補助を申し込む形は、そのままでは通らない可能性があります。
売るのか、直して使うのか。順番を決めてから窓口に相談してください。
受付は令和8年4月1日開始。締切はインスペクション等が12月28日、改修工事が12月15日です。窓口は大阪市住宅供給公社(06-6882-7053)です。
長屋が対象に入っている点は、大阪市の住宅事情に沿った作りです。相続した実家が長屋の一戸なら、両隣とのつながりも含めて相談してください。
登録して待つ形の空き家バンクは、市全体では見当たらない
貸す道を考えている人がまず探すのは空き家バンクでしょう。ところが、市全域を対象にしたバンクは市の公式ページ上で確認できませんでした。
生野区のように、区単位で個別のバンクを持つところはあります。ただし市全体で統一された制度ではありません。「無い」と書かれた公式ページを見たわけでもないので、断定はしません。
かわりに市が持っているのが、大阪市不動産団体連携協定です。大阪府宅地建物取引業協会と全日本不動産協会大阪府本部との協定です。
市が特定空家等の情報を専門家団体に提供し、活用策の提案を受ける仕組みです。あわせて24区の区役所で不動産の無料相談会が開かれています。
ここは誤解しやすいところです。成約したときの補助はありません。物件を登録して借り手を待つマッチング型のバンクとは、性質が違います。
窓口は計画調整局 建築指導部 建築企画課(06-6208-8759)で、空家等対策の全般を扱っています。貸す道と売る道の比べ方は家を売るか貸すか。判断の分かれ目と貸した場合の収支にまとめました。
「大阪市の相場」という数字は出せない。区ごとに見る
国土交通省の実成約データは、大阪市では区ごとに取れる形です。24区を合わせた戸建ての成約は11,010件です。中古マンションの成約はその倍を超えます。
戸建ての中央値は区によってまるで違います。いちばん高い区といちばん低い区では、水準の桁が変わってきます。だから市全体を平均した数字は、あなたの家の目安になりません。
査定を受けるときは、同じ区の成約事例を根拠にしてもらってください。町名まで近い事例なら、なお確かです。区ごとの数字は大阪の家売却のページで区別に出しています。
もうひとつ、件数の話も判断に関わります。大阪市で数が多いのは中古マンションです。
分譲マンションの一室は区分所有で、自分の判断で壊すことはできません。ここまで書いた3本の補助は木造住宅を対象にしたもので、マンションの空き室では出番がありません。残る道は、売るか、貸すか、持ち続けるかです。
戸建てなら、築年から入る手もあります。耐震除却の対象になる昭和56年5月31日以前の建物は、2026年の時点で築45年を超えています。自分の家が入るかどうかは、登記か建築確認の年で確かめてください。
売る・貸す・壊す・持ち続ける。大阪市の材料で決める
迷っているなら、この順で確かめてください。
まず名義。 登記事項証明書で名義と権利関係を確認します。共有になっていれば、売るのも壊すのも全員の合意が要ります。
次に、現況のままの査定。 手を加える前の値段を先に知ってください。相続した空き家を売るなら、譲渡所得から3,000万円を差し引ける特例が使えることがあります。要件は細かいので相続した空き家を売る。譲渡所得から3,000万円を引ける制度で確認してください。
貸す道は、改修補助とセットで考える。 空家利活用改修補助事業は、不動産市場に流通していないことが要件です。売りに出す前に検討する順番になります。区役所の無料相談会も使えます。
壊すのは、いちばん後。 更地に戻すとやり直しがききません。住宅用地の特例が外れて土地の税負担が変わることもあります。防災空地活用型を使うなら、3年以上は無償で地域に貸す前提です。古家付きのまま売る道と比べてから決めてください。判断の材料は更地で売るか、古家付き土地のまま売るかにあります。
持ち続けるなら、費用が出続ける前提で。 管理の手間と固定資産税は毎年かかります。傷みが進めば、市が特定空家等として扱う対象に近づきます。
この記事の制度の内容は、2026年8月時点の大阪市の公開情報にもとづきます。令和8年度の予算上限と件数の枠は確認できませんでした。
宅地建物取引業者を除く規定の有無と、市が配布しているPDF資料の中身も同じです。動き出す前に、次の窓口で最新の内容を確かめてください。
- 空家等対策の全般: 計画調整局 建築指導部 建築企画課 06-6208-8759
- 耐震除却・空家利活用改修・狭あい道路沿道除却の受付: 大阪市住宅供給公社 06-6882-7053
- 防災空地活用型除却費補助: 都市整備局 住環境整備課 密集市街地整備グループ 06-6208-9233