大垣市の空き家に出る補助は二つ。壊す補助と、片付けの補助
大垣市で空き家に使える市の補助は、大きく二つあります。
一つは解体に使う「大垣市空家等除却支援事業補助金」です。補助率は対象工事費用の1/3です。
上限は延床面積240㎡未満で30万円。240㎡以上か、中心市街地活性化基本計画区域内なら40万円です。
もう一つは、家財の片付けに使う「空家バンク活用促進事業補助金」です。市の空家バンクに登録した物件が対象で、対象経費の1/2・上限10万円です。
どちらも、申請の順番と頼む相手を選ぶ制度です。除却は、市内業者と契約を結ぶ前に申請します。
片付けの補助も、作業に着手する前の申請が条件です。受付はどちらも予算の範囲内で終わります。
窓口はどちらも都市計画部 住宅課(0584-47-8184)です。制度は年度で変わるので、この記事は2026年8月時点の内容として読んでください。
除却補助の対象は「管理不全」の家。敷地は丸ごと空にする
除却支援は、どの空き家でも使えるわけではありません。対象は、管理不全な状態にあるもの、またはそのおそれがあるものです。
どこからが管理不全に当たるかは、市のページだけでは判断できません。壊すと決める前に、自分の家が対象になるかを住宅課に確かめてください。
所有者側の要件もあります。申請できるのは所有者や相続人等です。相続人が入っているので、相続したばかりの家でも入口はあります。
個人の所有で、所有権以外の権利が設定されていないことも条件です。抵当権が残っていないか、登記を先に確かめておいてください。市税等を完納していることも求められます。
工事の中身にも条件があります。同一敷地内の建築物・工作物・立木等を、すべて除却する工事であることです。母屋だけ壊して、物置や庭木を残す壊し方は対象になりません。
見積もりは、敷地を丸ごと空にする前提で頼んでください。工事を行うのは市内業者であることも条件です。
申請は契約の前、着手の2週間前まで。完了は年度の2月末
この補助でいちばん落ちやすいのは、順番です。業者と契約を結ぶ前に申請していることが条件です。先に契約してから市役所に行くと、その時点で対象から外れます。
時間の条件は三つあります。申請は、工事着手の概ね2週間前までに出します。着工は、申請から概ね3か月以内です。
完了と実績報告は、年度の2月末日までです。年明けから動き出すと、完了の期限に間に合わない恐れがあります。壊すと決めたら、年度の早いうちに動くほうが安全です。
募集の開始日と締切日は、市のページに明記されていません。受付は予算の範囲内で終わるとだけ書かれています。枠が残っているかは、住宅課に電話で確かめてください。
契約はまだでも、見積もりを取るのは進められます。解体費は建物の構造と、重機が入れる道があるかで大きく変わります。
複数の市内業者から見積もりを取って比べてください。取り方は 空き家・古家の解体費用は何で決まる? 見積もりの取り方と業者選び にまとめています。
なお、大垣市には耐震の観点の木造住宅除却工事費補助金もあります。ただし対象は「現に居住している」木造住宅です。空き家は対象外なので、空き家の解体は除却支援の一本で考えてください。
外壁の色あせは、買い手が値段を下げる理由にはなりにくい部分です。塗り替えの費用は、売値に戻ってきません。
貸す・売るの入口は空家バンク。登録すると片付けに補助が出る
まだ使える空き家なら、壊す前に空家バンクがあります。運営は都市計画部 住宅課です。
大垣市のバンクには、登録した物件だけが使える補助が付いています。先に触れた空家バンク活用促進事業補助金です。
対象経費の1/2、上限10万円。対象は、ごみや家電4品目の処分、家財・仏壇の処分や移設、樹木の伐採・草刈りです。
空き家を動かせない理由が「中の物」という人は多いはずです。親の家財や仏壇が残ったままでは、人に見せられません。この補助は、その最初の壁に使えます。
条件は四つです。市内業者に依頼すること。作業に着手する前に申請すること。
1年以上登録する意思があること。補助は登録物件1件につき1回です。1年以上の登録が前提なので、すぐ壊す予定の家とは合いません。
バンクの登録要件の詳細は、別サイトでの案内になっています。この記事では確認できなかったので、登録を考えるなら住宅課に問い合わせてください。なお、空き家の改修だけを対象にした市の補助は、公式サイトでは見当たりませんでした。
大垣の実成約。戸建ては横ばい、値落ちの崖は築46年の先
制度から市場に話を移します。大垣市で取引がいちばん多いのは戸建てで、次が土地です。
中古マンションはいちばん少ない種別でした。空き家の多くは戸建てですから、比べられる成約事例が豊富な市場です。
戸建ての成約価格の中央値は1,800万円です。成約は541件で、真ん中の半分は680万円〜2,600万円に入ります。
土地は1平方メートルあたりの中央値が3.7万円、成約は446件です。市全体の相場は 大垣市の不動産売却 にまとめています。
築年数の影響の出方を見ます。戸建ては、築46年以上の中央値が築10年以内の3分の1以下です。いちばん大きく落ちるのは、築31〜45年から築46年以上に移るところでした。
実家がいま築40年前後なら、この崖の手前に立っています。数年持ち続けるかどうかの判断に、この段差は関わります。
直近1年の戸建ての中央値は、前の1年とほぼ横ばいでした。待っていれば上がる、という見方をいまの数字は支えていません。一方で、中古マンションの中央値ははっきり上がっています。
ただし取引の数は戸建てよりかなり少なく、査定の根拠になる事例も限られます。マンションの間取りは3LDKが最多で、次が4LDKです。
場所の影響の出方も数字に出ています。戸建ての中央値がいちばん高い用途地域は、第1種中高層住居専用地域です。いちばん低いのは市街化調整区域でした。
取引がいちばん多いのは第1種住居地域です。前面道路の幅でも中央値に差が出ています。
区分は6m以上、4〜6m、4m未満です。前の道の幅は、査定を頼む前に自分で測れます。
名義が親のままの空き家は、そのままでは売れない
大垣の空き家には、相続で引き継いだ家が多く含まれます。名義が亡くなった親のまま、という家も珍しくありません。
除却補助は相続人でも申請できます。ただし売却は別です。名義が親のままでは、買主に所有権を移せません。
売る前に、相続登記で名義を自分に移す必要があります。相続登記はいまは義務です。期限と放置した場合の扱いは 相続登記の義務化と期限 で確かめてください。
相続人が複数いるなら、その前に決めることがあります。家を誰の名義にするかです。
遺産分割の話がまとまらないと、登記も売却も止まります。まとまらないときの進め方は 遺産分割がまとまらない家を売る にまとめています。
順番はこうです。相続人の確定、遺産分割の合意、相続登記、それから売却。時間を食うのは、たいてい合意のところです。
一方で、査定は名義変更の前でも受けられます。家がいくらになりそうかは、分け方を話す材料になります。
売るのか、誰かが住むのか、壊すのか。金額を見てから話すほうが、協議は進めやすくなります。
登記の手続きは司法書士に頼むのが一般的です。祖父母の名義のまま二代分残っている家は、相続人がさらに増えています。
こうした家ほど、早く動いてください。時間が経つほど関係者は増え、合意は取りにくくなります。
自己負担は見積もりから上限を引いた額。補助が出るのは工事のあと
補助率は工事費の1/3ですが、先に影響するのは上限のほうです。工事費の1/3が30万円を超えるなら、補助は30万円で止まります。残りは全額が自己負担です。
見積もりが出たら、総額から30万円を引いた額を自己負担として見てください。上限が40万円になるのは、延床面積240㎡以上か、中心市街地活性化基本計画区域内の家です。
延床面積は固定資産税の課税明細書で確かめられます。区域に入っているかは、住所を伝えて住宅課に聞くのが早いです。
もう一つ、お金の出る順番があります。補助は完了後の実績報告が条件なので、入金は工事が終わったあとです。業者への支払いを補助で賄う計画は、立ちません。
市が業者に直接払う仕組みがあるかどうかで、用意する現金が変わります。申請の時に住宅課に聞き、なければ工事費の全額を自分で払う前提で組んでください。
壊したあとに土地を売る予定なら、それも申請の時に伝えてください。補助を受けた土地の使い道に条件が付くかどうかは、自治体で扱いが違います。売る前提で使えるかを確かめてから、契約に進んでください。
解体費と更地の売値を並べて考える手順は 空き家・古家の解体費用と、更地で売る進め方 にまとめています。
今年度の枠が終わっていたら。来年度まで待つか、補助なしで壊すか
住宅課に電話して、今年度の受付はもう終わったと言われることがあります。受付は予算の範囲内で終わるので、年度の途中でも起こります。そのとき取れる道は三つです。
一つ目は、来年度の受付まで待つことです。待つあいだに業者と契約を結ぶと、その時点で対象から外れます。見積もりを取るところまでにして、契約は申請のあとに回してください。
ただし、来年度も同じ内容で続くかは決まっていません。制度は年度で変わります。受付がいつ始まるかも市のページに書かれていないので、年度が替わる前に住宅課へ聞き直してください。
二つ目は、補助なしで壊すことです。補助で減るのは上限の30万円か40万円までで、工事費の残りはもともと自己負担です。待つあいだの草刈りや火災保険、様子を見に行く手間と、この額を並べて比べてください。
傷みが進んだ家は、待つほど管理の手間と費用が増えます。空き家に保険がかけられるかは 空き家に火災保険はかけられるか にまとめています。遠くに住んでいて管理が続かないなら 遠方の空き家管理 も読んでください。
三つ目は、壊さずに古家付きのまま売ることです。壊す費用と手間を買主側に渡す売り方で、補助の枠に左右されません。古家付きの売値と、解体費と待つ間の管理費を引いた更地の手取りを並べて比べてください。
壊すのは年内か年明けか。土地の固定資産税は元日の状態で決まる
固定資産税は、毎年元日の時点で建物が建っているかどうかで決まります。年内に壊すと、翌年の土地は更地として課税されます。年が明けてから壊せば、その年の土地の税は住宅用地のまま計算されるのが一般的です。
建物が無くなれば、その翌年から建物分の税はかかりません。代わりに土地分は上がるのが一般的です。どちらの動きが大きいかは家によって違うので、課税明細書で建物分と土地分を分けて見てください。
補助の期限と合わせると、段取りが見えてきます。完了と実績報告は年度の2月末までなので、年明けの着工でも間に合う余地はあります。ただし申請は着工の概ね2週間前まで、着工は申請から概ね3か月以内です。
年内に住宅課へ申請を済ませて、着工を年明けに回す段取りです。この組み方が補助の条件に収まるかは、申請のときに住宅課に確かめてください。年明けから2月末までの工期に収まるかも、業者に先に聞いておくと安全です。
壊してすぐ売る予定なら、差が出るのは引き渡しまでの期間分だけです。固定資産税は引き渡しの日で買主と日割り精算するのが通例だからです。精算の仕組みは 固定資産税の日割り精算とは にまとめています。
持ち続ける前提なら、上がった土地の税を毎年払うことになります。年にいくらかかるかの見方は 持ち続けると、年にいくらかかるか で確かめてください。
家の状態から決める。迷ったら先に住宅課へ一本電話する
売るなら。 現況のまま査定を取るのが先です。壊すかどうかは、数字を見てから決められます。更地か古家付きかの見極めは 更地で売るか、古家付き土地のまま売るか。見極め方 が土台になります。相続した空き家なら、譲渡所得から3,000万円を引ける特例があります。要件は 相続した空き家を売る。譲渡所得から3,000万円を引ける制度 で確かめてください。
貸すなら。 空家バンクが入口になります。登録すれば、家財や庭木の片付けに1/2の補助が使えます。ただし1年以上登録する意思が条件です。短期で手放す前提とは合いません。貸した場合の収支の見方は 家を売るか貸すか。判断の分かれ目と貸した場合の収支 にあります。
壊すなら。 自分の家が管理不全に当たるかを、先に住宅課に聞いてください。当たるなら、契約前の申請と2月末の完了期限から逆算して段取りを組みます。更地にすると住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税は上がるのが一般的です。壊した後にその土地をどうするかまで決めてから、着手してください。
持ち続けるなら。 管理を自分で続けられるかが前提です。管理が切れて傷みが進んだ家は、除却補助が想定する状態に近づいていきます。それは、壊す選択肢が現実になるということでもあります。直近1年の戸建ての中央値は横ばいでした。待つほど高く売れる見通しを、いまの数字は示していません。築の段差が近い家ほど、持ち続ける期限を決めておいてください。
この記事は、2026年8月時点の大垣市の公開情報にもとづいています。除却支援の募集開始日と締切日は、ページに明記されていません。制度は年度で変わり、受付は予算の範囲内で終わります。
窓口は都市計画部 住宅課、電話は0584-47-8184です。補助が使えるかどうかは、必ず市に確かめてから動いてください。