空き家を、壊すか貸すか売るか
名古屋市中川区の空き家|解体補助は最大80万円。改装しても価格に乗らない市場
編集部
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結論から 名古屋市中川区の空き家の解体に使えるのは、名古屋市老朽危険空家等除却費補助金です。対象は、法および条例に規定する「特定空家等」として市が判断した建築物に限られます。築年数では決まりません。金額は「老朽危険空家等の評価」表の評価で二段階に分かれ、75点以上で工事費の3分の1(最大40万円)、125点以上で3分の2(最大80万円)です。所有者全員の同意を得た者であること、市税を滞納していないことも要件になります。交付決定前に着手した工事は対象外のため、契約と着工より先に申請してください。受付は先着順で、予算額に達し次第終了します。窓口はスポーツ市民局 地域振興部 地域振興課(052-972-3126)です(2026年8月時点)。
名古屋市中川区で空き家を持っているなら、補助の金額より先に確かめることがあります。名古屋市の解体補助は、市が「特定空家等」と判断した建築物にしか出ません。築年数では決まりません。
この記事は名古屋市の制度と、中川区の実成約データに絞って書きます。内容は2026年8月時点のものです。
中川区の解体補助は最大80万円。金額は市が付ける点数で決まる
制度の名前は「名古屋市老朽危険空家等除却費補助金」です。金額は建物の評価で二段階に分かれます。
- 「老朽危険空家等の評価」表の評価が75点以上で、工事費の3分の1(最大40万円)
- 125点以上で、工事費の3分の2(最大80万円)
点数を付けるのは市です。所有者が申告して決まるものではありません。
その手前に、もっと大きな関門があります。法および条例に規定する「特定空家等」として、市が判断した建築物であることです。
この判断が出ない空き家は、点数を付ける段階に進めません。傷みが軽い家は対象になりません。
ほかの主な要件は次のとおりです。
- 所有者全員の同意を得た者であること
- 市税を滞納していないこと
- 交付決定前に着手した工事は対象外であること
「所有者全員の同意」でつまずく人が多いところです。名義が亡くなった親のままだったり、兄弟の共有になっていたりする場合です。登記事項証明書を先に取り、名義と権利関係を確かめてください。
受付は先着順です。予算額に達し次第、受付を終えます。
受付の開始日と予算の総額は、市の公開情報では確認できませんでした。動き出す前に窓口で聞いてください。
窓口はスポーツ市民局 地域振興部 地域振興課(052-972-3126)です。空家等対策全般も同じ課が扱います。
見積もりは取ってよい。止めるのは契約と着工
補助を落とす原因でいちばん多いのが、順番の間違いです。交付決定前に着手した工事は対象外になります。工事のあとで申請する制度ではありません。
現実的な進め方は、こうなります。
- 登記事項証明書で名義と権利関係を確認する
- 地域振興課に相談し、特定空家等の判断を受けられるか確かめる
- 解体業者から見積もりを取る
- 市に申請し、交付決定を受ける
- 交付決定のあとで契約し、着工する
3までは先に進めてかまいません。止めるのは契約と着工です。
見積もりは複数社から取ってください。解体の費用は構造で変わります。
木造かどうかで手間が違います。現場まで重機が入る道があるかどうかでも、段取りが動きます。
この点は中川区では影響してきます。区の成約データは、前面道路の幅で戸建ての中央値に差が出ることを示しています。区分は6m以上、4〜6m、4m未満の三つです。
4m未満の道に面した家は、解体でも売却でも条件が変わります。見積もりの取り方と業者の選び方は空き家・古家の解体費用は何で決まる?にまとめました。道路の条件が価格をどう動かすかは間口と前面道路で売却価格はどれだけ変わるかで確認できます。
昭和56年5月31日より前の木造なら、相談先はもう一つある
名古屋市には別の助成もあります。「老朽木造住宅除却助成」です。担当は住宅都市局 市街地整備部 市街地整備課で、さきほどの補助金とは課が違います。
対象は、昭和56年5月31日以前に着工された木造住宅です。耐震診断により倒壊の危険性ありと判定されたものに限られます。上限は40万円です。
押さえる点が二つあります。
ひとつは、居住中でも空き家でも使えることです。空き家であることが条件になっていません。まだ親が住んでいる実家にも道があります。
もうひとつは、木造住宅密集地域内が対象という線です。市内のどこでも使えるわけではありません。
自分の家が入るかどうかは、地図を眺めても判断できません。市街地整備課に住所を伝えて確かめてください。
二つの制度のどちらが向くかは、建物の状態と場所によります。使い分けの判断も市に聞くしかありません。
老朽危険空家等除却費補助金は地域振興課(052-972-3126)、老朽木造住宅除却助成は市街地整備課が窓口です。電話を一度で済ませたいなら、建てた年・構造・住所を手元に用意してからかけてください。
庭木と雑草は、放っておくと近隣からの苦情になります。空き家の管理で、いちばん先に問題になる場所です。
中川区で戸建ての値が高いのは、住宅専用の地区ではない
中川区の成約データには、はっきりした特徴があります。
戸建ての中央値がいちばん高い用途地域は、近隣商業地域でした。いちばん低いのは第二種中高層住居専用地域です。
住宅専用の地区が上位に来ていません。そして取引がいちばん多い用途地域は第一種住居地域でした。
自分の空き家がどの用途地域にあるかで、期待できる価格帯の位置が変わります。査定を頼む前に、用途地域だけは調べておいてください。
取引の種類にも偏りがあります。いちばん多いのは戸建てで、次が中古マンション、いちばん少ないのが土地です。
土地の取引が少ないという事実は、壊すかどうかの判断に関わります。更地にして売る出口は、中川区では戸建てほど厚い市場ではありません。
解体を決める前に、古家付きのまま売れないかを確かめる価値があります。比べ方は更地で売るか、古家付き土地のまま売るかに整理しました。
築年数の段差も見ておきます。戸建てでいちばん大きく下がるのは、築31〜45年から築46年以上に移るところです。築46年以上の中央値は、築10年以内の3分の1以下まで落ちます。
老朽木造住宅除却助成の対象になる昭和56年5月31日以前の着工は、2026年の時点で築45年を超えています。段差の向こう側です。制度が助けてくれる築年と、市場でいちばん評価が下がる築年が重なっています。
中川区全体では、戸建ての成約価格の中央値は3,300万円です。成約は1,004件で、真ん中の半分は2,700万円〜4,000万円に入ります。
土地は1平方メートルあたりの中央値が16万円、成約は379件です。区全体の価格帯は名古屋市中川区の不動産売却にまとめています。
直近1年の戸建ての中央値は、その前の1年に比べてやや上がっています。
中川区のマンションは、値が下がる時期が戸建てより早い
受け継ぐ空き家がマンションのこともあります。中川区は中古マンションの取引が戸建てに次いで多い区です。戸建てと違う点が三つあります。
ひとつめは、値が落ちる位置です。中古マンションでいちばん大きく下がるのは、築21〜30年から築31〜45年に移るところでした。戸建ての段差は、その先の築46年以上の手前にあります。
マンションのほうが、下がる時期が早く来ます。築46年以上の中央値は、築10年以内の3分の1以下です。
ふたつめは、直近の値動きです。中川区の中古マンションの中央値は、直近1年で前の1年よりやや下がりました。
戸建てがやや上がったのとは逆の方向です。持ち続けて様子を見る判断は、マンションでは分が悪くなります。
みっつめは、改装の扱いです。中川区では、改装済みのマンションの中央値が未改装より高く出ていません。かけた改装費が価格に乗りにくい市場だということです。
売る前にリフォームをするか迷っているなら、これは重い材料になります。査定のときに「直した場合と現況のままで、価格がどう変わるか」を聞いてから決めてください。
間取りは3LDKがいちばん多く、次が4LDKでした。
そして、解体という選択肢はありません。区分所有の住戸を自分だけ壊すことはできません。
ここまで書いた二つの助成は、どちらも関係しません。住まないあいだも管理費と修繕積立金は出続けます。
四つの選択肢を、中川区の数字に当てはめる
売る・貸す・壊す・持ち続ける。順に見ていきます。
売る。 中川区は戸建ての取引がいちばん多い区です。比べられる事例が多いので、まず現況のまま査定を取ってください。相続した空き家なら、譲渡所得から3,000万円を差し引ける特例があります。名古屋市も「空き家の発生を抑制するための特例措置」として案内しており、令和6年1月1日以降の譲渡分が対象です。要件は細かいので相続した空き家を売る。3,000万円を引ける制度で確認してください。
貸す。 入口のひとつが名古屋市空き家バンクです。運営は公益社団法人愛知県宅地建物取引業協会で、名古屋市は交渉や契約に関与しません。相談窓口は052-522-2567です。登録の条件は市の公開情報では確認できなかったため、宅建協会に直接聞いてください。改修費の補助としては名古屋市空き家活用支援事業費補助金があり、改修工事費の3分の2・上限100万円です。ただし用途は地域活性化を目的とするものに限られます。滞在体験施設・交流施設・体験学習施設などが挙げられています。一般の賃貸に出すための改修には使えません。一定の耐震性・安全性の確保と、改修後10年以上の活用も要件です。先着順で、予算額に達し次第終了します。
壊す。 市が特定空家等と判断した建築物なら、解体費の補助があります。評価75点以上で工事費の3分の1(最大40万円)、125点以上で3分の2(最大80万円)です。木造住宅密集地域内にある昭和56年5月31日以前着工の木造住宅なら、老朽木造住宅除却助成という別の道もあります。どちらも、交付決定より前に工事を始めないでください。中川区は土地の取引がいちばん少ないので、更地にしたあとの出口も先に確かめておきます。
持ち続ける。 出ていく費用は止まりません。それに加えて、税の扱いが変わる可能性があります。空家法の勧告を受けた土地は、固定資産税の住宅用地特例から除外されます。改正法では、管理不全空家等についても勧告ができるようになりました。特定空家等と判断されるほど傷んでいなくても、管理が行き届かない状態が続けば勧告の対象になり得ます。持ち続けるなら、管理を続ける前提で考えることになります。
補助金の要件も受付の扱いも、年度で変わります。この記事は2026年8月時点の名古屋市の公開情報にもとづくものです。
老朽危険空家等除却費補助金の受付開始日と予算の総額、空き家バンクの登録条件の詳細は、公開情報では確認できませんでした。動き出す前に、スポーツ市民局 地域振興部 地域振興課(052-972-3126)で最新の内容を確かめてください。
見本(愛知県豊橋市の戸建ての例)
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名古屋市中川区で売るなら、いくらくらいか
名古屋市中川区で実際に売れた取引と比べて、土地と建物を分けて計算します。比べた取引も、掛けた数字も、全部レポートに載せます。