空き家を、壊すか貸すか売るか
墨田区の空き家、解体補助金は? 上限100万円。無接道なら200万円、跡地を区に貸せば300万円
編集部
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結論から 墨田区の老朽危険家屋除却費等助成制度は、空き家専用の制度で区内全域が対象です。不良住宅対象型は除却工事費の2分の1・上限100万円、無接道敷地なら3分の2・上限200万円。除却後10年間の跡地を区に無償で貸す土地無償貸与型は、除却費の実費・上限300万円まで上がります。個人または中小企業者が対象で、宅地建物取引業者は除かれます。建物の全部を除却して更地にすることが条件。2026年8月時点の内容なので、動く前に安全支援課(03-5608-6520)で確認してください。
墨田区で空き家を持っている人に、先に伝えておきたいことがあります。墨田区の除却助成は、空き家のための制度です。人が住んでいる家の耐震対策とは別枠で用意されています。
そして上限額が一つではありません。100万円・200万円・300万円の三つに分かれます。
どれになるかは、敷地が道に接しているかどうかと、壊したあとの土地をどうするかで決まります。以下は2026年8月時点で墨田区が公開している内容と、墨田区で実際に成約した数字だけを書きます。
上限は100万円・200万円・300万円。分かれ目は「接道」と「跡地」
制度の名前は老朽危険家屋除却費等助成制度です。平成28年6月1日に始まり、区内の全域で使えます。
型が二つあります。
不良住宅対象型
- 通常の物件: 除却工事費の2分の1・上限100万円
- 無接道敷地の物件: 除却工事費の3分の2・上限200万円
土地無償貸与型
- 除却後10年間、跡地を区に無償で貸す場合: 除却費の実費・上限300万円
無接道の敷地が別枠になっているところが、墨田区らしい設計です。道に接していない家は建て替えができません。
売るときも買い手が絞られます。そこに補助率の上乗せがある。
土地無償貸与型は考え方が違います。跡地を10年間、区に無償で貸す。そのかわり除却費の実費が出て、上限は300万円まで上がります。
10年は長いです。すぐ現金にしたい人には向きません。ただ、売っても大きな値が付きにくい土地なら、比べてみる価値はあります。
要件も見ておいてください。
- 個人または中小企業者であること(宅地建物取引業者は除く)
- 住民税・法人住民税の滞納がないこと
- 建物の全部を除却して更地にすること
三つめが関わります。一部だけ壊す工事は対象外です。母屋を残して離れだけ、という進め方はできません。
一つめも見落とされがちです。宅地建物取引業者は対象から外れます。
買取業者に売ってから壊してもらう段取りでは、この助成は使えないということ。壊すなら、自分が持っているうちに動くことになります。
窓口は安全支援課(03-5608-6520)です。
「2月末までに工事完了」から逆算する
申請の時期について、区は当該年度の2月末までに工事を完了することと示しています。
ここは読み方に注意が要ります。2月末は申請の締切ではありません。工事が終わっている期限です。
解体は工程が積み上がります。近隣への挨拶、各種の届出、足場の設置、廃材の搬出。年をまたぐ工事なら、その前に見積もりと申請が済んでいる必要があります。
順番の話も外せません。この種の助成は、工事の契約を結ぶ前に申請しておくのが原則です。
実際、次に触れる不燃化特区の除却費助成では、工事着工前までと明記されています。着手後は受付できません。老朽危険家屋除却費等助成のほうでどの時点までに申請が要るかは、見積もりを頼む前に安全支援課で確かめてください。
「業者を決めてから相談」では遅い場合があります。ここで落ちるのが、いちばんもったいない。
令和8年度の予算総額と件数の枠は、区の案内では確認できませんでした。枠が埋まれば期限より早く締め切られることもあります。残りの枠も窓口で聞いてください。
解体費そのものは、建物の構造と、敷地に重機が入るかどうかで変わります。複数社から見積もりを取ってください。取り方と業者の見分け方は空き家・古家の解体費用は何で決まるかにまとめました。
京島と鐘ヶ淵には、もう一つの入口がある
墨田区には不燃化特区の除却費助成もあります。対象は京島周辺地区と鐘ヶ淵周辺地区の二つだけ。区内の全域ではありません。
上限は200万円です。補助率は区のページの本文に書かれていませんでした。
ここでは書きません。窓口で確かめてください。
主な要件は次のとおりです。
- 耐用年数の3分の2以上を経過した建築物であること
- 個人・中小企業者・公益法人が対象(宅地建物取引業者による販売目的の除却は対象外)
- 工事着工前までに申請すること(着手後は受付不可)
事業の期間は令和13年3月31日までです。
ここで、墨田区の取引データとつながる点があります。戸建ての成約が多い地区は、八広、東向島、墨田、立花、京島の順でした。五番目に京島が入っています。
京島は、戸建てが実際に動いている地区でありながら、不燃化特区でもあります。壊して更地にする道と、そのまま売る道が両方ある。先に査定を取ってから決めても遅くありません。
問い合わせは不燃・耐震促進課です(代表 03-5608-1111)。
なお、木造住宅耐震改修促進助成事業にも除却の枠があります。対象は緊急対応地区で、北部地域・本所三丁目・東駒形二丁目と三丁目・横川二丁目が挙がっています。
ただし区のページが表示できず、金額は確認できませんでした。該当する地区に家があるなら、これも窓口で聞いてください。
空き家バンクは無い。窓口は「すみだ空き家相談処」
貸したい人がまず思い浮かべるのが空き家バンク。墨田区では確認できませんでした。
かわりに空き家等ワンストップ相談窓口があります。名前は「すみだ空き家相談処」。一般財団法人墨田まちづくり公社に委託されていて、対面でもオンラインでも相談できます。
電話は03-3617-2262です。
区が借り手や買い手を連れてくる仕組みではありません。貸すなら一般の賃貸として自分で募集することになります。費用と手間は空き家を貸すときの方法と費用にまとめました。
墨田区にはもう一つ、押さえておきたい動きがあります。区は空家等管理活用支援法人を指定しています。空き家等対策に関する協定を結んだ団体もあります。
税の書類も区が出します。被相続人居住用家屋等確認書と、低未利用土地等確認書。前者は相続した空き家を売るときの特例で要る書類です。
そして区は、老朽建物等の行政代執行を実際に行っています。放置し続ければ区が動く区だということ。持ち続ける判断をするなら、管理の実態まで含めて考えてください。
売る・貸す・壊す・持ち続ける。墨田区の数字で見る
墨田区で成約した戸建ては750件です。中央値は6,300万円でした。真ん中の半分は4,400万円から13,000万円の間に収まります。
取引がいちばん多いのは中古マンションです。次が戸建て。
土地はいちばん少ない。マンション中心の市場です。
築年の落ち方を見ます。戸建ては築10年以内に比べて、築46年以上の中央値が3割ほど下がります。いちばん大きく落ちるのは、築31〜45年から築46年以上に移るところ。
中古マンションも、築10年以内に比べて築46年以上は3割ほど下がります。ただし段差の位置が違います。マンションは築21〜30年から築31〜45年に移るところで大きく落ちます。
同じ3割でも、落ちるタイミングがずれている。持っているのがマンションなら、築30年の手前が一つの分かれ目です。
直近1年の動きも違います。戸建ての中央値は前の1年に比べてほぼ横ばい。中古マンションははっきり上がっています。
間取りは1Kが最多で、次が3LDKでした。単身向けが多い区です。
改装済みのマンションは未改装より中央値が高い。ただし、かけた改装費をそのまま売値に上乗せできるとは限りません。
地区の差も見ておいてください。戸建ての中央値が高いのは緑、低いのは墨田です。中古マンションの成約が多いのは東向島、緑、向島、江東橋、両国の順でした。
土地だけの成約は217件。1平方メートルあたりの中央値は84万円です。単価が高い地区は緑、低い地区は八広でした。
ここが前とつながります。八広は戸建ての成約がいちばん多い地区でありながら、土地の単価は区内で低いほうです。
解体費を売値で取り戻しにくい地区、ということ。だからこそ、上限100万円や200万円の助成を使えるかどうかで判断が変わります。
用途地域も影響しています。取引がいちばん多いのは準工業地域です。
ところが戸建ての中央値は、準工業地域がいちばん低い。高いのは商業地域でした。
数が多い場所と、値が高い場所は違います。近所の売却事例を、そのまま自分の家に当てはめないでください。
前面道路の幅でも中央値が分かれています。区分は4メートル未満、4〜6メートル、6メートル以上の三つ。道が狭いと解体で重機が入りにくく、売るときも条件が付きます。
無接道敷地の助成が2分の1ではなく3分の2になっているのは、この現実に合わせたものです。自分の敷地が無接道かどうかは、思い込みで決めないでください。
更地にして売るか、古家を付けたまま売るか。判断の材料は更地と古家付き土地、どちらで売るかにまとめています。区全体の価格の動きは東京都墨田区の不動産売却にあります。
決めきれないときは、この順番で
まず名義を確かめる。 登記が親の名前のまま止まっていると、買い手が決まっても契約できません。固定資産税の納税通知書が誰宛に届いているかで当たりが付きます。
次に、現況のままの査定を取る。 片付けも解体もしていない状態の値段を、先に知る。壊す前提で話を進める必要はありません。
制度の確認は、業者と契約する前に。 除却助成は安全支援課(03-5608-6520)。不燃化特区は不燃・耐震促進課(代表 03-5608-1111)。全般の相談はすみだ空き家相談処(03-3617-2262)です。
壊すのは、いちばん最後。 更地にすると住宅用地の特例が外れ、翌年の固定資産税が上がります。古家が付いたまま買って、自分で壊したい買い手もいます。
相続した空き家を売るなら、譲渡所得から3,000万円を差し引ける特例が使えることがあります。墨田区は被相続人居住用家屋等確認書を交付しています。
要件は細かいので相続した空き家を売る。3,000万円を引ける制度で確認してください。
この記事の内容は2026年8月時点のものです。金額も要件も期限も、年度で変わります。動く前に、必ず墨田区の窓口で今の扱いを確かめてください。