空き家を売る
春日井市の空き家|解体補助は費用の2/3・上限20万円。契約前に申請
編集部
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結論から 春日井市老朽空き家解体費補助金は、解体工事費の3分の2で上限20万円です。1,000円未満は切り捨てになります。対象は昭和56年5月31日以前に着工された空き家で、個人所有であることが要ります。所有者以外の権利者がいないこと、市内で1年以上使用されていないことも条件です。床面積の1/2以上が居住用だったものに限られます。空家特措法にもとづく措置命令を受けていないことも求められます。いちばん間違えやすいのは順番です。解体工事の契約前に申請する必要があり、契約後は対象外になります。受付期間の明記はなく、予算の範囲内での交付です。窓口はまちづくり推進部住宅政策課(0568-85-6572)です(2026年8月時点)。
春日井市の空き家で、いちばん最初に確かめてほしいのは築年数ではありません。着工した日です。春日井市の解体費補助は、昭和56年5月31日以前に着工された空き家だけが対象になっています。
この一本の線で、使えるか使えないかが分かれます。そして使える場合も、解体工事の契約書にサインした後では間に合いません。
この記事は春日井市の制度と、春日井市の実成約データに絞って書きます。内容は2026年8月時点のものです。
春日井市の解体補助は、昭和56年5月31日という一本の線で決まる
制度の名前は「春日井市老朽空き家解体費補助金」です。補助率は解体工事費の3分の2で、上限は20万円です。1,000円未満は切り捨てになります。
3分の2という補助率は、費用の半分を超える枠です。ただし上限が20万円なので、工事費が一定を超えると頭打ちになります。実際にいくら戻るかは、見積もりを取らないと分かりません。
市の案内に書かれている主な要件は、次のとおりです。
- 昭和56年5月31日以前に着工された空き家であること
- 個人が所有していること
- 所有者以外の権利者がいないこと
- 市内で1年以上使用されていないこと(床面積の1/2以上が居住用だったもの)
- 空家特措法にもとづく措置命令を受けていないこと
- 解体工事の契約前に申請すること
まず「着工日」で確かめてください。完成した日ではありません。
手元の建築確認済証や登記事項証明書で、いつ着工したかをたどることになります。この日付が昭和56年6月1日以降なら、この補助は使えません。
「所有者以外の権利者がいないこと」も見落としやすい条件です。古い抵当権が抹消されないまま残っている例があります。
相続した実家では珍しくありません。登記簿を先に取り寄せて、権利の欄を確認しておくと安全です。
「措置命令を受けていないこと」という条件にも意味があります。行政から命令が出るところまで進んでしまうと、この補助の枠からは外れるということです。傷みが進んでから動くほど、選択肢は減っていきます。
受付の期間については、市の案内に明記がありませんでした。書かれているのは「予算の範囲内において補助金を交付」という一文です。
通年で受け付けているのか、時期が決まっているのかは、公開情報からは分かりません。動く前に、まちづくり推進部住宅政策課(0568-85-6572)で必ず確認してください。
契約前に申請する。春日井はここが特に早い
もう一度書きます。解体工事の契約前に申請してください。契約後は対象外です。
工事が終わってから申請するのでも、着工前でもありません。契約する前です。多くの人がやってしまう「業者を決めて契約を交わし、それから市に相談する」という進め方は、この補助では通用しません。
やってよい順番は、こうなります。
- 空き家の着工日と登記の権利関係を確認する
- 住宅政策課に相談し、対象になるか確かめる
- 複数の解体業者から見積もりを取る
- 契約を結ぶ前に、市へ申請する
- 市の手続きを済ませてから契約し、着工する
見積もりを取るところまでは、先に進めてかまいません。止めるのは契約です。業者から「今なら空きがあるので押さえます」と言われても、契約書に署名する前に一度立ち止まってください。
解体費は、構造と現場の条件で大きく変わります。重機が入る道があるかどうかで段取りが変わり、金額も動きます。木造か、そうでないかでも違います。
だからこそ、複数社から見積もりを取って比べる価値があります。見積もりの見方と業者の選び方は、地域を問わない話なので 空き家・古家の解体費用は何で決まる? にまとめてあります。
なお、市の情報を確認するなかで「不良空き家解体費補助金」という名前も見かけました。これが老朽空き家解体費補助金と同じものか、別の制度かは判別できませんでした。
名前が似た制度がある場合、要件も上限額も違う可能性があります。窓口で制度名を伝えて確かめるのが確実です。
庭木と雑草は、放っておくと近隣からの苦情になります。空き家の管理で、いちばん先に問題になる場所です。
補助が使える家は、市場でいちばん値が落ちた層と重なる
ここが春日井市の空き家を考えるうえで、いちばん大事なところだと思います。
昭和56年5月31日以前の着工ということは、2026年の時点で築45年を超えています。そして春日井市の成約データを見ると、値段の落ち方には、はっきりした段差があります。
- 戸建てでいちばん大きく下がるのは、築31〜45年から築46年以上に移るところです
- 戸建ての築46年以上の中央値は、築10年以内の半分以下です
- 中古マンションでいちばん大きい段差も、築31〜45年から築46年以上のあいだにあります
- 中古マンションの築46年以上の中央値は、築10年以内の3分の1以下です
解体補助の対象になる築年と、値段が最も落ちる築年が、ほぼ重なっています。つまり、この補助が使える空き家は、市場では最も評価が低くなった層だということです。
この重なりから、二つのことが言えます。
ひとつは、補助が使える空き家では、建物に値段が期待しにくいということです。買い手は土地として見ます。
更地にして売るか、古家付きのまま売るかを、価格を見比べて決める場面になります。判断の材料は 更地で売るか、古家付き土地のまま売るか に整理しています。
もうひとつは、まだ補助の対象になっていない空き家の話です。昭和56年6月以降に着工した家は、この補助を使えません。ただし値段の段差の手前にいる可能性があります。
補助が使えないことと、売りにくいことは別です。この場合は解体を前提にせず、まず現況で査定を取るほうが理にかなっています。
春日井市全体では、戸建ての成約価格の中央値は3,200万円です。成約は1,370件で、真ん中の半分は2,500万円〜3,900万円に入ります。
土地は1平方メートルあたりの中央値が12万円、成約は718件です。市全体の価格帯は 春日井市の不動産売却 にまとめています。
直近1年の動きも見ておきます。戸建ての中央値は、その前の1年に比べてやや下がりました。
中古マンションの中央値は、ほぼ横ばいでした。待てば戻るという材料は、いまのところ数字には出ていません。
春日井の空き家バンクは、先に媒介契約を結ぶ仕組み
春日井市空き家・空き地バンクは、令和4年4月に開設されました。令和5年4月からは空き地も対象になっています。
登録の条件で押さえておきたいのは、次の一点です。所有者が協力事業者と媒介契約を締結していること。 協力事業者は、市が指定する宅地建物取引士です。
これは、市に申し込めば掲載してもらえる仕組みではないということです。先に不動産の専門家と媒介契約を結び、そのうえでバンクに載る流れになります。「まずバンクに出して、反応があってから業者を探す」という順番は取れません。
ほかの登録条件は、市内の建物であること、床面積の1/2以上が居住用だったこと、現在居住者がいないこと、暴力団等でないことです。
媒介契約には種類があり、どれを選ぶかで動き方が変わります。専任にするか一般にするかは、バンクに載せる前に決めることになります。
違いは 媒介契約は3種類。違いはレインズ登録と自己発見取引にある にまとめています。
春日井市には、別枠で高蔵寺ニュータウン空き家バンクもあります。平成28年2月から始まっており、地元事業者と共同でリノベーションを前提とした流通を進める仕組みです。
市全体のバンクより先に立ち上がっています。高蔵寺ニュータウン内に空き家があるなら、こちらも選択肢になります。
バンクが市の直営なのか、外部への委託なのかは、公開情報では確認できませんでした。協力事業者の一覧や現在の掲載状況とあわせて、住宅政策課(0568-85-6572)で聞いてください。
バンクに載せると、残置物の片付けにも道がつきます。春日井市の空き家残置物撤去補助金は、対象経費の2分の1で上限10万円です。市内で1年以上使用されていない空き家で、バンクに掲載中であることなどが条件になっています。
片付けだけを先に済ませてしまうと、この補助を逃す可能性があります。順番の話が、ここでもう一度出てきます。
買う側にも補助がある。春日井では建て替える人が買い手になる
春日井市には、買う側への補助もあります。空き家付き土地の購入に対する補助金です。
対象経費の10分の1で、上限は50万円です。対象になるのは建替え工事の経費、つまり解体と新築です。
売る側から見ると、これは買い手の顔ぶれに関わる話です。古い建物が建ったままの土地を買って、壊して建てる人に、市が補助を出しているということになります。
だとすれば、必ずしも自分で解体してから売る必要はありません。古家付きのまま出したほうが、この補助を当てにする買い手に届く可能性があります。
解体して更地にすると、住宅用地の特例が外れて土地の固定資産税が上がるのが一般的です。先に壊すと、費用と税負担の両方が自分に乗ります。
どちらが得かは、査定を取ってから比べる話です。この補助の詳しい要件と現在の受付状況は、住宅政策課で確認してください。
用途地域による差も見ておきます。春日井市で戸建ての中央値がいちばん高いのは近隣商業地域で、いちばん低いのは市街化調整区域でした。取引件数がいちばん多いのは第一種住居地域です。
市街化調整区域に空き家がある場合は、話が変わります。建て替えができるかどうかで、買い手の範囲が大きく変わるためです。
事情は 市街化調整区域の家・土地を売る。再建築の壁と売り方 にまとめています。
前面道路の幅でも、戸建ての中央値に差が出ています。区分は6m以上、4〜6m、4m未満です。自分の空き家の前の道が何mあるか、先に測っておくと相談が早く進みます。
売る・貸す・壊す・持ち続ける。春日井の材料で決める
四つの選択肢を、春日井市の数字と制度に当てはめます。
売る。 春日井市で取引がいちばん多いのは戸建てです。次が土地で、いちばん少ないのが中古マンションでした。空き家が戸建てなら、比べられる成約事例は多い市場です。まずは現況のまま査定を取ってください。空き家がマンションなら、事情がひとつ違います。成約事例が少ないぶん、会社によって査定額の幅が開きやすくなります。間取りは3LDKがいちばん多く、次が4LDKでした。改装済みの中央値は未改装より高く出ていますが、かけた改装費がそのまま売値に乗るとは限りません。
貸す。 春日井市の空き家関連の補助は、解体と残置物の撤去、そして購入者向けが中心です。貸すための改修に使える補助として「空き家地域貢献活用事業補助金」という名前を確認しましたが、補助率と上限額は公開情報では分かりませんでした。貸す前提で修繕費を見込むなら、住宅政策課で使える制度があるか確かめてください。売るか貸すかの比べ方そのものは 家を売るか貸すか。判断の分かれ目と貸した場合の収支 を土台にしてください。
壊す。 着工日が昭和56年5月31日以前なら、解体工事費の3分の2で上限20万円の補助が使えます。契約前に申請することが絶対条件です。ただし、壊すと決める前に一度、古家付きで売れないかを確かめてください。買う側にも建替え向けの補助があるためです。
持ち続ける。 固定資産税と保険料は出続けます。建物は人が住まないほうが早く傷みます。春日井市のデータでは、築46年の手前に大きな段差がありました。持ち続ける年数が、そのまま段差との距離になります。傷みが進んで措置命令の段階まで行くと、解体補助の要件からも外れます。
相続した空き家なら、税の特例も確認してください。譲渡所得から差し引ける3,000万円の特別控除があります。
要件は 相続した空き家を売る。3,000万円を引ける制度 にまとめています。
補助金の要件も受付の扱いも、年度ごとに変わります。この記事は2026年8月時点の春日井市の公開情報にもとづくものです。
解体費補助の受付期間、空き家・空き地バンクの運営形態、「不良空き家解体費補助金」が別制度かどうか、空き家地域貢献活用事業補助金の補助率と上限は、公開情報では確認できませんでした。動き出す前に、まちづくり推進部住宅政策課(0568-85-6572)で最新の内容を確かめてください。