空き家を、壊すか貸すか売るか
板橋区の空き家|除却費助成は10分の5・上限100万円。接道なしは200万円
編集部
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結論から 板橋区の老朽建築物等除却費助成事業は、除却費用(消費税を除く)の10分の5・上限100万円です。建築基準法第43条の接道義務を満たさない敷地なら、10分の8・上限200万円に上がります。ただし空き家専用の制度ではありません。対象は特定空家等、管理不全空家等、または特定老朽建築物に認定された建物で、特定老朽建築物なら人が住んでいても申請できます。申請の期限は除却工事の着手予定日の14日前までです。板橋区に空き家バンクはありません。令和8年度の予算上限や件数の枠は公式ページで確認できなかったので、動く前に建築安全課 老朽建築物対策係(03-3579-2574)へ確認してください(2026年8月時点)。
東京都板橋区で空き家を持っているなら、先に押さえることが1つあります。板橋区の除却助成は、空き家専用の制度ではありません。
空き家の要件と、人が住んでいても通る要件が、1つの制度に同居しています。「うちは空き家だから対象だろう」では通りません。
以下は2026年8月時点の板橋区の公開情報と、板橋区で実際に成約した数字だけで書きます。
「空き家だから使える」ではない。板橋区は認定が入口
制度の名前は老朽建築物等除却費助成事業です。対象になるのは、特定空家等、管理不全空家等、または特定老朽建築物に認定された建物です。
前の2つは空き家の話。3つめの特定老朽建築物は、人が住んでいても対象になります。1つの制度に、性格の違う入口が並んでいる形です。
肝心なのはここ。どちらの入口でも、区の認定が先に立ちます。
助成額は、除却費用の10分の5で、上限は100万円です。計算のもとになる除却費用からは消費税を除きます。見積書を見るときに影響してくる点です。
建物の要件は細かめです。木造であること。住宅部分の延床面積が建物の2分の1以上あること。
不良住宅であること。そして建物の全部を除却することです。
一部を残す工事は対象になりません。共有名義なら、共有者全員の同意が要ります。兄弟で相続した実家は、ここで止まりやすい。
窓口は都市整備部 建築安全課 老朽建築物対策係です。電話は03-3579-2574、区役所北館5階16番窓口です。
申請は着手予定日の14日前まで。日程は電話1本から逆算する
板橋区の案内では、申請の期限は除却工事の着手予定日の14日前までです。ここを外すと、同じ工事でも助成の対象から外れます。
解体の話は、見積もり、契約、着工日の決定という順で進みます。だから業者と着工日を握る前に、区へ電話を入れてください。順番が逆になると間に合いません。
もう1つ、先に確かめてほしいことがあります。令和8年度の予算の上限や件数の枠は、区の公式ページでは確認できませんでした。
つまり、いま受付枠が残っているかどうかは、こちらでは判断できません。年度の後半になると、残りは読みにくくなります。今年度の枠が埋まっているなら、来年度の受付開始に合わせて動くほうが確実です。
電話で聞くことは2つです。うちの建物は認定の対象になるか。
いま申請を受け付けているか。この2つを先に潰してください。
宅建業者が関わる場合に除外規定があるかどうかも、本文とQ&Aでは確認できませんでした。買主が事業者になりそうなら、その点も一緒に聞いてください。
見積もりを取る行為そのものは、ふつう制限されません。複数社から取ってください。解体費は建物の構造で変わりますし、現場まで重機が入るかどうかでも動きます。
見積もりの見方は地域を問わない話なので、空き家・古家の解体費用は何で決まる?にまとめています。
外壁の色あせは、買い手が値段を下げる理由にはなりにくい部分です。塗り替えの費用は、売値に戻ってきません。
接道を満たさない敷地は10分の8・上限200万円
板橋区の制度には、助成の額が変わる条件が1つあります。建築基準法第43条の接道義務を満たさない敷地です。
この場合、助成は除却費用の10分の8、上限200万円になります。率も上限も上がります。
接道義務を満たさない土地は、原則として建て替えができません。買い手が付きにくく、売るときの価格も抑えられます。制度は、その分を見ている形です。
ここで板橋区の成約データと重なります。板橋区では、前面道路の幅で戸建ての中央値に差が出ています。集計の区分は4m未満、4〜6m、6m以上の3つです。
道が狭ければ、解体の段取りも変わります。重機が入らなければ手作業が増えます。
ただし順番だけは間違えないでください。壊してから「建てられない土地だった」と気づいても、戻せません。再建築ができない土地の売り方は再建築不可物件を売るにまとめています。
更地にするか、古家付きのまま出すかは、価格を見比べて決める場面です。材料は更地で売るか、古家付き土地のまま売るかに整理しています。
板橋区で数が多いのはマンション。壊す話は戸建ての話
板橋区の実成約データで、取引がいちばん多いのは中古マンションです。次が戸建てで、いちばん少ないのが土地でした。
分譲マンションの一室は区分所有です。所有者の判断で解体はできません。ここまで書いた助成は、マンションの空き家には関係しません。
残る道は、売るか、貸すか、持ち続けるかです。
築年数の落ち方には段があります。板橋区の中古マンションでいちばん大きく落ちるのは、築21〜30年から築31〜45年に移るところでした。
築46年以上の中央値は、築10年以内より3割ほど低くなります。相場が動いていても、建物は毎年その段に近づきます。
値動きの材料も出ています。直近1年の中古マンションの中央値は、その前の1年に比べてやや上がりました。
間取りはいちばん多いのが3LDKです。次が1K。
単身向けの部屋にも買い手がいる、ということです。比べられる事例が多ければ、査定の根拠を確かめやすくなります。
改装についても数字があります。板橋区では、改装済みのマンションの中央値が未改装より高く出ています。ただし、かけた改装費をそのまま価格に乗せられるとは限りません。
中央値が高いことと、費用を回収できることは別です。直す前に、現況のままの価格と直した場合の価格を両方聞いてください。
成約が多い地区は、多い順に高島平、板橋、成増、坂下、前野町でした。
用途地域と地区で値が分かれる。板橋区の戸建てと土地
戸建ての段は、マンションより後ろに来ます。いちばん大きく落ちるのは、築31〜45年から築46年以上に移るところです。
築46年以上の中央値は、築10年以内の半分以下になります。旧耐震の家は、すでにこの区分に入っています。
用途地域による差もはっきりしています。戸建ての中央値がいちばん高いのは商業地域、いちばん低いのは第1種低層住居専用地域でした。
静かな住宅地が高い、という並びにはなっていません。取引がいちばん多いのは第1種中高層住居専用地域です。事例が集まりやすいのは、この層になります。
地区の差も出ています。戸建ての成約が多いのは、多い順に赤塚、徳丸、高島平、西台、成増です。中央値が高いのは常盤台、低いのは西台でした。
土地は、1平方メートルあたりの単価が高いのが小茂根、低いのが若木です。同じ板橋区でも水準が違います。
板橋区全体では、戸建ての成約価格の中央値は6,000万円です。成約は1,591件で、真ん中の半分は4,500万円〜8,200万円に入ります。
土地は1平方メートルあたりの中央値が56万円、成約は431件です。取引の数はいちばん少ない区分なので、更地にしたあとの出口は厚くありません。
直近1年の戸建ての中央値は、その前の1年に比べてやや上がっています。急いで手放す理由も、待てば上がるという保証も、この数字だけからは出てきません。
同じ市のなかでも、駅からの距離と土地の形で価格は変わります。まず自分の地域の実際の成約価格を見ます。
決めかねているなら、この順で確かめる
売る、貸す、壊す、持ち続ける。順番を決めると迷いが減ります。
まず名義。 登記事項証明書で権利関係を確認します。共有なら、売るのも壊すのも全員の合意が要ります。除却助成も同じです。
次に現況のままの査定。 板橋区はマンションと戸建ての取引が厚く、比べられる事例があります。手を加える前の値段を先に知ってください。
貸す道も並べて見る。 板橋区に空き家バンクはありません。区が借り手や買い手を連れてくる仕組みは無い、ということです。貸すなら一般の賃貸として自分で募集します。
区は所有者向けの空家・古家相談会を開いています。税理士、司法書士、不動産事業者が無料で対応する場です。
ただし現在は満員で受付を終了しています。次の回の予定は建築安全課に聞いてください。
売るか貸すかの比べ方は家を売るか貸すか。判断の分かれ目と貸した場合の収支を土台にしてください。
壊すのは、いちばん後。 更地に戻すとやり直しがききません。住宅用地の特例が外れて、土地の税負担が変わることもあります。古家付きのまま売る道と比べてから決めてください。
持ち続けるなら、費用が出続ける前提で。 管理の手間と固定資産税は毎年かかります。傷みが進めば、区が特定空家等や管理不全空家等として扱う対象に近づきます。
相続した空き家を売るなら、譲渡所得から3,000万円を差し引ける特例が使えることがあります。この特例に必要な被相続人居住用家屋等確認書は、板橋区が交付しています。
要件は細かいので相続した空き家を売る。3,000万円を引ける制度で確認してください。
この記事の制度の内容は、2026年8月時点の板橋区の公開情報にもとづきます。確認できなかったことも書いておきます。令和8年度の予算上限と件数の枠は分かりませんでした。
宅建業者の除外規定があるかどうかも、本文とQ&Aには書かれていません。空き家専用のリフォーム補助や家財処分の補助も確認できませんでした。
動き出す前に、次の窓口で最新の内容を確かめてください。
- 老朽建築物等除却費助成事業・空き家の相談: 都市整備部 建築安全課 老朽建築物対策係 03-3579-2574(区役所北館5階16番窓口)