船橋市の除却助成は、空き家専用の制度ではない
船橋市に「空き家だから使える」解体補助は確認できませんでした。入口は木造住宅除却助成事業です。
この制度が見ているのは旧耐震の木造住宅で、空き家専用の規定はありません。人が住んでいる家でも使えます。
ここが船橋市の特徴です。空になるのを待たなくていい。まだ親が住んでいる段階でも、条件が合えば申請できます。
補助は除却工事費の23%、上限30万円です。工事費の大半は自己負担になります。この点は先に押さえてください。
対象になる建物の条件は次のとおりです。
- 昭和56年5月以前に新築された木造住宅
- 平屋または2階建て
- 耐震診断などで倒壊の危険性があると判定されたもの(上部構造評点1.0未満。2段階改修の場合は0.7未満)
所有者の側にも条件が付きます。所有者は法人を除く、と決められています。相続対策で法人名義に移していると、この制度からは外れます。
市税の滞納がないことも要件です。複数人で持っている家なら、所有者全員の同意が要ります。
受付は令和8年度分が動いています。締切は令和8年11月30日。ただし予算に達した時点で終了します。
予算の総額や件数の枠は、市の公開情報からは確認できませんでした。締切まで必ず残っているとは限りません。
窓口は建築指導課 耐震係(047-436-2632)です。この記事の内容は2026年8月時点のものです。
判を押す前に電話する。船橋市は診断が先に要る
この種の助成は、工事の契約を結ぶ前に申請しておくのが原則です。契約や着工を先に済ませると、対象から外れることがあります。
船橋市の場合、その手前にもう一段あります。耐震診断です。
対象は「倒壊の危険性があると判定されたもの」と決められています。判定がない家は、そのままでは申請の土俵に乗りません。
順番はこうなります。診断を受ける、判定が出る、申請する、それから解体業者と契約する。見積もりを取ってすぐ判を押す流れとは違います。
締切から逆算してください。令和8年11月30日までに、診断と申請を終わらせる必要があります。しかも予算次第で早く閉まる。
共有名義の家は、ここでさらに時間がかかります。所有者全員の同意が要るからです。
相続した家で、誰がどれだけ持ち分を持っているか曖昧なままだと、同意を集める段階で止まります。登記から先に確かめてください。
解体費そのものは、建物の構造と、敷地に重機が入るかどうかで変わります。前面道路が狭ければ手作業が増えます。
複数社から見積もりを取ってください。取り方と業者の見分け方は空き家・古家の解体費用は何で決まる?にまとめています。
まだ決めていない段階で使える。船橋市の無料相談は四つの団体につながる
売るか貸すか壊すか、まだ決めていない。その段階から使えるのが市の空き家相談です。
窓口は市民安全推進課 空家対策係(047-436-3113)です。
船橋市は四つの専門家団体と協定を結んでいます。千葉司法書士会、千葉県宅建協会船橋支部、千葉県土地家屋調査士会、千葉県弁護士会です。
聞きたい内容で行き先が変わります。相続と登記なら司法書士会。売却と利活用なら宅建協会。
境界がはっきりしないなら土地家屋調査士会。争いになりそうなら弁護士会。
電話と対面は初回30分程度が無料です。現地に来てもらう相談も無料と案内されています。
現地まで無料で見てもらえるのは大きい。写真では伝わらない傷みを、その場で見てもらえます。
ただし30分は長くありません。聞くことを紙に書いてから電話してください。
家財の片付けについては、市は一般廃棄物収集運搬業の許可業者4社を紹介しています。京葉総業、佐野清掃、サンアップ、ヤマウチです。
これは紹介であって、市の補助ではありません。費用は自分で負担します。ここを取り違えないでください。
費用の考え方は遺品整理の費用の考え方と、業者選びで確認しておきたいことにあります。
空き家バンクについては、市の公式サイト内にバンクやマッチングの制度ページを見つけられませんでした。実施していないという明記もありません。
貸す道を考えているなら、まず空家対策係に有無を聞いてください。無ければ、一般の賃貸として自分で募集することになります。
判断の材料は空き家の活用方法。貸す・売る・解体、選び方の全体像で整理しています。
なお、直して使う場合には木造住宅耐震改修助成事業があります。ただし耐震補強を伴わない単独のリフォームは対象外です。
船橋市で動いているのはマンション。戸建ての段は築46年の手前にある
船橋市で成約した戸建ては2,944件です。中央値は3,500万円でした。真ん中の半分は2,400万円から4,600万円に収まります。
取引がいちばん多いのは中古マンションです。次が戸建てで、土地がいちばん少ない。
築年による落ち方を見ます。戸建ては築10年以内に比べて、築46年以上の中央値が3分の1以下まで下がります。
いちばん大きく落ちるのは、築31〜45年から築46年以上へ移るところです。ここに段があります。
除却助成の対象は昭和56年5月以前に建てられた木造です。築年で言えば、この段を越えた側にあたります。
助成が使えるかもしれない家は、値段が落ちきったあとの家でもある。この二つはだいたい重なります。
中古マンションも形は同じでした。築10年以内に比べて、築46年以上は3分の1以下。段の位置も築31〜45年から築46年以上のところです。
ただしマンションは壊すという道がありません。持っているのがマンションなら、選ぶのは売るか貸すかになります。
直近1年の動きは、種類で分かれました。戸建ての中央値は前の1年とほぼ横ばいです。
中古マンションの中央値は、前の1年よりはっきり上がりました。急いで手放す理由がない人でも、この差は見ておいてください。
間取りは3LDKがいちばん多く、次が2LDKです。改装済みのマンションは、未改装より中央値が高くなっています。
ただし、かけた改装費をそのまま売値に上乗せできるとは限りません。
用途地域でも差が出ます。取引がいちばん多いのは第1種低層住居専用地域でした。
戸建ての中央値がいちばん低いのも、同じ第1種低層住居専用地域です。いちばん高いのは第2種住居地域でした。数が多い地域と値が高い地域は一致しません。
前面道路の幅でも中央値が分かれます。区分は4メートル未満、4〜6メートル、6メートル以上の三つ。
道が狭いと解体で重機が入りにくく、費用が上がります。売るときの条件にも影響します。
地区の差も大きい。戸建ての成約が多いのは三山、松が丘、飯山満町、習志野台、前原西の順でした。
中央値が高いのは海神、低いのは松が丘です。松が丘は成約数では上位に入りますが、中央値は市内で低いほうにあります。
数が出ている地区が高く売れる地区とは限らない、ということ。自分の地区がどちらなのかは、査定を取る前に見ておいてください。
土地だけの成約は821件です。1平方メートルあたりの中央値は15万円でした。単価が高い地区は本町、低い地区は金杉です。
中古マンションの成約が多いのは、習志野台、本町、前原西、北本町、浜町の順でした。
売る・貸す・壊す・持ち続ける。船橋市の材料で分ける
売る場合。 持っているのが中古マンションなら、直近1年は中央値が上がっています。船橋市でいちばん取引が多い種類でもあります。
戸建ては横ばいです。ただし築46年以上に入ると中央値が段で落ちます。待てば戻るという材料は、船橋市のデータの中には見当たりません。
貸す場合。 空き家バンクの有無が確認できないため、市の仕組みを当てにした計画は組めません。一般の賃貸として募集する前提で考えてください。
築古の戸建てを貸すなら、直すお金と回収の年数を先に並べます。耐震補強を伴う改修なら、木造住宅耐震改修助成事業の対象になる可能性があります。窓口で確認してください。
壊す場合。 助成は除却工事費の23%・上限30万円です。残りは自分で払います。
更地にすると住宅用地の特例が外れ、翌年の固定資産税が上がります。古家ごと買いたい買い手もいます。壊す前提で進める必要はありません。
判断は更地で売るか、古家付き土地のまま売るかにまとめています。
持ち続ける場合。 誰が管理するかを決めてください。草木も雨漏りも、放っておけば進みます。
相続した空き家を売るなら、譲渡所得から3,000万円を引ける特例が使えることがあります。この特例には、市が発行する被相続人居住用家屋等確認書が要ります。
船橋市はこの確認書を発行しています。要件は細かいので相続した空き家を売る。譲渡所得から3,000万円を引ける制度で確かめてください。
船橋市で最初にかける電話は二つ
登記の名義を確かめる。 親の名前のまま止まっていると、買い手が決まっても契約できません。除却助成でも所有者全員の同意を求められます。
建てた時期を調べる。 昭和56年5月以前かどうかで、除却助成の土俵に乗るかが決まります。登記事項証明書や建築確認の書類で分かります。
建築指導課 耐震係(047-436-2632)に電話する。 除却助成の要件と、今年度の受付がまだ動いているかを聞きます。かけるのは業者と契約する前です。
決めきれていないなら市民安全推進課 空家対策係(047-436-3113)へ。 相続、売却、境界、法律。四つの団体の無料相談につないでもらえます。
現況のままの査定を取る。 片付ける前、壊す前の値段を先に知っておく。動く順番は、それから決めても遅くありません。
この記事の内容は2026年8月時点のものです。補助率も上限額も締切も、年度で変わります。金額を当てにして動く前に、必ず船橋市の窓口で今の扱いを確かめてください。